車酔いしないのに、シミュレーターでは吐きかけた

 仮免許を取得してからの技能教習は基本的に路上教習になります。


 急ブレーキ、方向転換、縦列駐車のみ、所内教習です。

 私は縦列駐車で、距離感が上手く掴めず左後輪がしょっちゅう脱輪しまして、いつも通り指導員に笑われていましたね。ここまで来ると、私も一緒になって笑っていました。笑ってないで早く覚えろって話ですが。操作方法をすぐ頭に叩き込めても、上手く出来るかは別問題です。

 どうにか見極めまでにコツを掴んで克服出来ましたよ。方向転換や縦列駐車は、S字とクランクに比べたら覚えやすかったです。



 しかし、2段階のメインは路上教習と特殊教習ですので、所内の話はこのくらいにしておきます。


 私は地元の教習所に通っていたので、マイナーな裏道まで土地勘がありましたが、他市町村から通う方は道を覚えるところが大変かもしれません。しかし、教習中の経路は指導員が細かく指示して下さるので、完璧に道を覚えていなくても大丈夫です。ただし、自主経路の時だけは、指導員から指示がないので、自分でしっかりと経路を暗記しておく必要があります。

 また、私が通っていた教習所は屋上教習所でした。そのため、路上教習に出る際には、建物の屋上から坂を下り、歩道を通って車道に出る必要があります。つまり、坂道走行と歩行者保護の練習が毎回出来る仕様でした。


 所内では出しても時速20㎞~30㎞ほどだったのに対し、路上では時速40㎞や50㎞をバンバン出していかなければならず、このギャップに慣れるのに苦労しました。

 速度を出すのは良いものの、停止する時にどの辺りからブレーキを掛ければ良いのかイマイチ掴み切れず、最初の頃は何度も補助ブレーキのお世話になりました。いやはや、担当の方に申し訳なかったですし、我ながら情けないものです。それでも、回数を重ねたら、ちゃんと慣れましたので、諦めずに通い続けることは大切だと思います。



 そして、2段階の後半で特殊教習が挟まれます。危険予測、シミュレーター、高速教習です。私が通っていた教習所では、高速教習も実車で行いました。


 印象に残っているのは、シミュレーターですね。ゲームセンターにあるような感じのマシンに乗って、危険予測のシミュレーションを行いました。

 乗る前は楽しそうだとワクワクしていましたが、いざ運転席に座った瞬間、悟りました。


「まずい。これは気持ち悪くなる」と。


 運転席に座って画面を見ただけで、もう眉間の辺りがキューっとしたんですね。エンジンを掛けると、実車と同じように振動が来るのですが、それだけで頭がくらくらしました。車酔いなんてしたことがないのに。

 これは我慢していたら迷惑をかけてしまうと思いまして、始まる前に担当指導員に申告しておきました。既に酔っています、と。


 私のように、シミュレーターで酔ってしまう人は偶にいるようで、「無理はしなくていいから、行けるところまで運転してみて」という感じで教習開始でした。

 ただの直進でもスピードが出せませんでした。少しでも速度を上げると、画面の動きで気持ち悪くなる。眩暈と胃のむかつきを耐えてスピードを出し、右左折は本当に頭がガンガンしたので、自然と徐行になり超安全運転でした。


 どうにか指導員が止めるまでやり切りましたが、降りた後は余韻から来る吐き気を抑えるのに必死で、一緒に教習を受けた方の運転を見ている余裕がありませんでした。

 私が乗ったのは最新式ではなく、かなり旧式のシミュレーターだったのですが、それでも酷く酔いましたし、完全に治るまで1時間以上掛かったと思います。


 シミュレーターで酔う人は本当に酔います。もし、気持ち悪いと思ったら、すぐ担当指導員に申告するのが良いと思います。無理をしても、迷惑をかけてしまうだけですから。体調不良は遠慮せずに申し出るのが一番です。



 また、高速教習では自主経路の設計も同時に行いました。

 教習所から最寄りの料金所までの道のりを自分で考えて運転します。経路は事前にイメージしておいた方が良いですね。教習を始める前に、考えた経路を担当指導員に伝えます。

 高速に乗ってからは、指導員の指示通りに運転していくだけです。私は緊張と冷え性で、ずっと手がつりそうでした。


 そして、基本的に教習で追い越しはしませんが、高速教習は例外でしたね。必要があれば、ガンガン追い越していきます。追い越しをする場合も、指導員から指示されますので、自主的に追い越す必要はありません。


 また、行きと帰りで運転者は交代します。一緒に乗る予定の教習生が急遽キャンセルでもしない限り、ずっと一人で運転し続けることはないと思って大丈夫なはずです。

 私は行きに運転して、帰りは後部座席で大人しくしていました。慣れないことをした疲労感から眠気が酷かったのですが、居眠りすると教習を受けなかった扱いにされてしまうので、必死に目を開けていました。



 特殊教習を終えてしまえば、後は数回路上教習を行って卒業検定の経路を確認し、見極めを受けて技能教習は終了です。



 1段階で苦労した学科ですが、2段階では朝から夜まで終日学科を受ける日を作ったりして、早めにこなしておいたので、余裕を持って卒業前効果測定に合格出来ました。



 卒業検定では、普段の路上教習で走っていた道をランダムに指定されます。そして、普段通り様々なことに注意しながら走りつつ、途中で路上停車を行います。その後、所内に戻って、方向転換や縦列駐車をこなし、検定終了です。

 私は目の前をフラフラしている自転車に占拠されて、ヒヤヒヤとイライラのダブルパンチを喰らいました。追い越したくても、対向車等で追い越せる状況ではなく、事故らないように立ち回ることしか、もう頭にありませんでした。


 合格すると、卒業式になります。そこで、免許センターで行う本免学科試験の説明を受けて、教習所生活は終了します。

 本免学科試験は自分の都合に合わせて、期日までに受験し、合格しなければなりません。期日までに合格できなければ、これまで受けた教習全ての効力が失われてしまいますので、早めに終わらせるのが良いですね。



 私は合宿ではなく、通いで教習所を利用しましたが、それでも2ヶ月程のことでした。ほぼ週5日、技能は1日につき2コマのペースです。


 教習所の印象としては、楽しかったですね。通い始める当初は気乗りしなかったのですが。大きな心境の変化です。

 ずっと自粛生活を送っていたこともあり、教習所に通うことで家族や職場以外の人と接する機会が増え、良い気分転換になりました。資金の見通しが立てば、AT限定免許をMTに切り替えるため、通い直すのもアリかなと思っています。またS字とクランクで苦労するのは目に見えていますが。そもそも、ATすら規定内で終わらないような不器用人間に、クラッチ操作なんて芸当が出来るのか。まあ、それは通う時になったら考えれば良いことですね。



 私の教習所生活は終了しましたが、もう少しだけ続きます。

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