　県庁所在地の郊外に広がる古びた住宅街の外れに所在する。

　石垣に囲まれた高台の上に建つ、その異国情緒溢れる洋風建築は、かつては県内を中心に活動していたスペイン人画家の邸宅だったのだという。

　中庭を取り囲むように建物が配置されており、上空から見るとロの字型をしている。

　現在はアパートに改装され、立地の近いＫ大学の生徒たちが多数暮らしている。

　そして近頃、その住人たちの間で不思議な白い犬の目撃談があとを立たない。

　くだんの犬は東側の廊下に出没するとされ、出現後しばらく経つと煙のように消え失せるのだという。

　因みに二〇一九年四月、この東側の廊下に面した二〇三号室の住人が事故で大怪我を負い、その一週間後に同じ並びにある二〇一号室の住人が不審な死を遂げた。

　この件と白い犬の出現と何らかの因果関係があると見る者も多い。

　ある住人によれば、白い犬は前オーナーの飼い犬の亡霊であるのだというが、真偽のほどは定かではない。

　危険度ランク【Ｃ】

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