report 夜鳥島


 紀淡海峡の北東に位置する小さな孤島である。

 夜鳥島では、厄流しと呼ばれる世にも恐ろしい儀式が明治時代の終わりまで続けられていたといわれている。

 それは双子の片割れや生まれつき身体に障害を持った者を生きたままかめの中へと閉じ込めて海へと流すというものらしい。

 なぜ、このような奇妙な儀式が行われていたのか。

 それについて、ある民俗学者はこのように述べている。

 夜鳥島に住む者たちの祖はうしろ暗い来歴を持つ身分で、おいそれと島に余所者を迎え入れる事ができなかった。

 そうなると、当然ながら婚姻は島内の者同士で繰り返される事となる。

 そういった理由から血が濃くなり過ぎないように、または身体の弱い者の血を残さないように、という優生学的な見地から行われていた一種の間引きなのだという。

 また和歌山県の那智勝浦なちかつうらで盛んに行われていた捨身行すてみぎょうである、補陀落渡海ふだらくとかいとの関連を指摘する声もある。






危険度ランク【S+】

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