第2話 怪物《デュラハン》でも正義の味方を目指していいですか

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 あなたは21歳の青年。


 子供の頃のことを、よく覚えていない。養護施設で暮らしていたのが、あなたに残る一番古い記憶だった。


 施設では共有スペースでテレビを見ることができ、日曜の朝は揃って特撮やアニメを見ていた。その中で、ある日、あなたは泣いたのを覚えている。


「……ただ、正義の味方は」


 どうして泣いたのか、それは曖昧だが。


 あなたは、正義の味方になりたいと思った。


 やがて警察学校を卒業し、派出所勤務となった。ある初春、交番に少年がやってきて、道を尋ねる。あなたは口頭で教えつつ、少年の顔色が悪いのを見て、休んでいくように話した。病院へ連れて行こうかとも言った。


 少年は首を横に振る。手が冷たかったので、あなたは、ひとまず温かいお茶を淹れることにした。給湯室から湯呑と急須を持って戻ると、少年の手に、あなたの拳銃があった。


「あぶない――」


 あなたは、お人よしだった。


 暴発するといけない、ただそれだけを思って少年へ手を伸ばす。震える銃口はあなたに向けられ、一瞬の閃光、破裂音と衝撃。硝煙のにおいをかぎながら、あなたは、


「けがは……」


 少年を気遣いながら、前のめりに倒れていき。


 ――そして、女神に出会った。[了]

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