第2話

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「はい、みんな静かに。昨日から3学期が始まり、いよいよ高校1年のまとめの時期に入った。進路を決めるタイムリミットも近づいてきているが、ここで朗報だ。君たちとこれから勉学を共にする新しい仲間が増える。どうぞ入ってきてくれ」


 担任が現実を突きつける話をしてきたかと思うと、新しい仲間なる人が教室に入って来る。

 肩まで伸ばした髪をユラユラ揺らしながら担任の横に並び、クラスメイトに正面を向けた。

 この田舎の高校では異質なくらい垢ぬけたオーラをまとっている。

 ごくありきたりな言葉で言い表すなら、きっとこういう子が美少女なんだと思う。


 けど、どこか気だるげだ。


 転校初日だというのにも関わらず、学校生活に何も楽しみを見いだせていない。

 それどころか、絶望しているかのような虚ろな目をしている。


 そんなことを気にも留めず、騒ぎ立てる男子。

 それを見ていい気分のしない者もいれば、憧れの視線を向ける者もいる女子。


朱宮結葉あけみや ゆづはです。よろしくお願いします」


 覇気のない挨拶もそこそこに、彼女はゆっくりと目線を上げた


 あれ? アケミヤユヅハ? ユヅハ?

 この名前、どこかで聞いたことがあるような……。


 彼女は、教室の端から横断するように視線を向けていき、最後に窓際の一番後ろにいるボクを見た。


「「え……?」」


 この出会いを人は〈運命〉と呼ぶのだろう。

 でもこれは、ボクからしてみれば、運命の歯車を狂わせる日常の始まりだったのかもしれない。

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