【完結】彼女はボクを狂おしいほど愛する ー超絶美少女の転校生がなぜかボクにだけぞっこんな件ー

竜竜

【プロローグ】狂おしい日常の始まり

第1話

 おそらく小学生くらいだろうか。

 とても可愛らしい二人の子どもがじゃれている。


「10円!」

「バーカ!」

「10円!」

「バーカ!」

「ボクが10円ならユヅちゃんは5円だ!」

「違うもん! ユヅは100円!」

「じゃあボクは500円! 大金持ち!」

「あっ! シュウちゃんズルいよぉ!」


 これは、ボクの幼い頃の夢だ。

 幼少期の思い出。

 懐かしい思い出。


 この子とは、物心がついたときからいつも一緒に遊んでいた。

 でも、小学校の高学年になる前に、親の都合で遠くに引っ越してしまった。

 今思えば、あの子のことが好きだったのかもしれない。

 できることなら、もう一度会いたい。


 ユヅちゃん……ユヅ……。

 

 これはあだ名だ。

 昔は名前なんて気にしてなかったから、本名がどんなだったかは思い出せない。

 たしか名前は……


 あの子のことが忘れられず、たまにこんな夢を見る。

 結局、名前を思い出すことができずに目を覚ましてしまうけど。

 今回もまた、何も思い出せずに朝を迎えることだろう。


 彼女は、今も元気に笑っているだろうか————

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