【第6章】登場! もう一人の幼女ヒーロー‼

第1話


 夏祭りを終えて9月になった。


 朝と夜は以前に比べて涼しくなったが、日中はまだまだうだるような暑さが残っている。

 暑さと寒さを選ぶなら断然寒さだ。

 寒いなら厚着をすればいいけど、暑いのは裸になっても暑い。

 でも、暑い方が女の子は薄着になって目の保養になるし……。


 うーん、季節というのはなかなか奥が深いぜ。


 そんなことを考えながら、お昼の買い出しを頼まれたので、街中を歩いていると、


 パサリ


 人が行きかう交差点で、何かが落ちるのを発見。


 ハンカチだ。

 真っ白で綺麗な生地。

 しかし、裏を見てみると、その真ん中にデカデカと『麺』とプリントされている。


 ……すごいセンスだ。


 ふと前を見ると女の子が歩いている。

 あの子が落としたのかもしれない。


「あの!」


 人通りはそこまで多くないので、自分が話しかけられたのが分かったのか、その女の子がこちらを振り返る。


「おお……!」


 あまりの完成度の高さに思わず感嘆の声をあげてしまった。


 大きくて綺麗な青い瞳。

 これがまず第一印象として俺の脳裏に焼き付いた。

 さらに、艶やかな銀色の髪を後ろに一本にまとめ上げてポニーテールにしている。

 身長は一葉くらいだろうか。

 おそらく160㎝には満たないだろう。


 しかし、最初に印象として残った青い瞳は、まるで何も感情がこもっていないかのように冷たく、何もかも見透かされているかのようだった。


 でも可愛い。


 そして明らかに日本人ではないことも確かだ。


 そして可愛い。


 なんか、ゾクゾクするぜ……。

 国境を越えたプレイ……グローバリゼーション・ニャンニャンラブ……いい……すごくいいっ!


 ……おっといけない!


 思考がどこかに飛び立つのをなんとか食い止め、


「これ、落としましたか……?」


 ハンカチを差し出すと、銀髪美少女が近づいて来る。そして、


 パスッ


 表情を一切変えずにハンカチだけを受け取り、何も言わずにそのまま去っていった。


 あれ?

 言葉が通じなかったのかな?

 それにしても、会釈や笑顔の一つくらい見せてくれたっていいじゃないか!


 でも、某青柳杏沙のせいで普段から蔑むような目で見られるのには慣れているため、その一件のことなんてすっかり忘れ、買い出しの続きをすることにしたのだった。

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