【第4章】議論! チーム名と決めゼリフ‼

第1話

「俺にはとてもとても不満に思っていることがあります。どれくらい不満かというと、寝る前に『あなたの不満に思ってることは何ですか』と聞かれたら、秒で『これじゃ!』と答えらえるくらいに、ものすごく不満に思っていることがあるのです! 一大事です!」


 三人ともお風呂から上がった直後、銭湯の待合室でいつものようにミーティングを開催。

 開始早々、俺がいかに不満を抱いているのかプレゼンを始めようとした。


 しかし、


「んっ、んっ、んっ、んっ、んっ、ぷはーっ! 今日は牛乳じゃなくてフルーツ牛乳にしてみたけど、案外捨てたもんじゃないわね!」

「……はいっ! お風呂上がりの火照った身体をマイルドに冷やしてくれます!」


 事前に、風呂上がり後すぐにミーティングをしたいと言っていたからなのか、杏沙も一葉もまだ髪がしっとり濡れた状態。


 しかも、服は汗でベタベタのため洗濯中ということで、二人ともゆったりめなワンピース型タオル?(名前は知らん)を着ているものだから、お泊り会的なラフさのある雰囲気を醸し出している。


 一言で言ってしまえば『エッティ』だ。

 それもかなりのエッティ。エッティ・オブ・エッティだ。


 俺には妹がいるから、女の子のこういう無防備な感じには慣れているが、仮に、俺のような紳士じゃなかったら、狼出没警報が発令されること間違いなしだぞ?


 そんな俺のヤキモキした気持ちを察しもしないで、二人仲良く女子トークを繰り広げている。

俺のことは蚊帳の外だ。


 ん? 蚊帳の外? 無視されてる?


「ちょっと! 君たち! 俺の話聞いてる⁉⁉⁉⁉」

「だって、なんかめんどくさいことを話そうとしてない? 変なことに巻き込まれるのはごめんよ。それに……」

「それに……?」


 杏沙は自分の胸元を隠すような動作を取り、


「さっきから目がエロい」

「違うし! 何も思ってねぇし! 勘違いしねぇでほしいし!」

「あの……その……武能さん最低ですっ!」


 一葉の目がうるうるし始める。


「ちょっと一葉ちゃんまで! 俺は断じてエッティなことは考えてませぬ! ませぬったらませぬ!」

「そうやってムキになるってことは、やっぱり変な目で見てたんだ!」

「あっ、くそ! かまかけやがったな!」

「かまかけなくても、あんたの変態的思考はお見通しなのよ」

「はぁ⁉ 俺の論理的ロジカルシンキング思考をお見通しだと⁉」

「それ、意味被ってるから」


 俺と杏沙が言い合っていたところに横やりが入る。


「こういうときだけ新斗と杏沙は仲がいいピ」

「「良くない!」」

「ほら、息ぴったりダピ」

「「ぬいぐるみは、おとなしく棚に並んでろ!」」


 ボコンッ!


 壁にめり込むぬいぐるみ……もとい、ネコ型AI・ダピル。


「ダピルさん、大丈夫ですか……?」


 ダピルを優しく介抱する一葉。やっぱりいい子だな。

 そんな彼女を横目に、狂暴女・杏沙と言葉による死闘を繰り広げた。

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