第46話 悠馬、また陽葵ちゃんに襲われる

僕と真白は今日も陽葵ちゃんの家庭教師をしていた。

今は算数の時間で、小学生位のところだ。僕が考えるに、陽葵ちゃんが勉強をできない理由は無理強いと、実力に合わない勉強を強いられた為だと思った。

成功体験のない事を強制される事はとても辛い事だ。


お金持ちの陽葵ちゃんは子供の頃から英才教育を受けていた。

実力に見合わない学力を強要された。

すると当然難しい問題ばかりやらされて、ついていけなくなり、失敗体験ばかりが積み重なる。

結果として、陽葵ちゃんは勉強が嫌いになった。

従者の莉子ちゃんもいつも一緒に勉強していたから…以下同文。


「でね、分子と分母がね…」


僕はすべての教科を小学生レベルに戻した。主に次回の期末テストに合わせて必要なところをピックアップして、小学生の頃まで遡って学んでもらった。


結果、うまく行った。ぎりぎり、高校1年生の期末テストには間に合いそうだ。陽葵ちゃんと莉子ちゃんの学力は面白いように向上した。


「陽葵がテストで100点取れたぁ~♪」


「莉子も90点台ですぅ~♪」


二人に算数の小テストをやってもらったら、見事陽葵ちゃんは満点を取った。決してレベルは低くない。小学生のテストって言っても、そんなの高校生でも満点なんて取れないよ。それに、きちんと覚えていないと高校生のテストにだって影響する。


「二人とも、凄く頑張ったね、この調子なら期末テストは赤点は回避できるよ」


「ええぇぇぇぇぇえええええ…赤点回避がやっとなんですか? 悠馬様?」


「そうです。こんなに頑張ったのに、赤点回避がやっとって…やっぱり陽葵様は頭が悪いのですか?」


「莉子ぉ! あなた、今、私より点数低かったわよねぇ 低かったわよねぇねぇ!」


いつものように莉子ちゃんがかなり失礼な事を言って、陽葵ちゃんと喧嘩になる。


でも、莉子ちゃんって、ほんとに傷つくような事は言わないんだ。今だって、莉子ちゃんの方が点数が低かったから言えたんだと思う。


「二人共、仲がいいのはいいけど、あまり騒ぐと…女の子なんだから、もう少しつつましやかにしないとダメよ。悠馬に嫌われるわよ?」


「「そんなの嫌ですぅ~♪」」


本を読んでいた真白が顔を上げて騒がしい二人を諭す。確かにこの子達、仲がいいけど、もう少し大人にならないと…もう高校一年なんだし。


「あっ!? そういえば、喉が渇きましたね。ジュース飲みません?」


「そうです。飲みましょう!!」


そう言って、陽葵ちゃんが何故か室内に備え付けられた小型冷蔵庫からジュースの入ったポッドを取りだす。


めちゃめちゃ怪しいよね? 昨日までなかったよね? 冷蔵庫?


「陽葵ちゃん? そのジュース、まずは陽葵ちゃんが飲んで?」


「え? い、いや、それは、やっぱり、お客様の為に用意したんだから、ね、莉子?」


「そ、そうです。私が昨日時間をかけて調合、あわわわわわわわっ!」


やっぱり毒物か…


「陽葵ちゃん! 飲んでもらうよ!」


僕は陽葵ちゃんに無理やりマグカップのジュースを飲ませた。毒ではないだろう。多分、睡眠薬かなんかだろう。これは懲らしめだ!


「やぁ~♪ そ、そんな、あふっ、無理やり、あん、どうせなら口移しでぇ♪」


ごくっという陽葵ちゃんがジュースを飲み下す音が聞こえた。そして、しばらく様子を見る。


「あれ? なんともないの? 陽葵ちゃん?」


「悠馬様! ひどいですわ! 莉子が昨日一生懸命作った天然のレモネードを疑うなんて」


「悠馬、どうも邪推だったみたいね? 謝ったほうがいいわね?」


「そっか、ごめんね。僕、てっきり陽葵ちゃんに何か変な飲み物を飲まされるとばかり」


「ひどいですわ」


「ごめん、ごめん、許して、ちゃんと飲むから」


僕は素直に謝ったけど、二人の悪知恵は僕の想像以上だという事に気が付かなかった。


莉子ちゃんが僕と真白のマグカップにジュースを注いでくれる。


僕と真白も陽葵ちゃんも莉子ちゃんもみなで飲む…あれ?


バタンキュ!…真白がその場で倒れた。僕は? あれ、僕の手足がうまく動かない?


「ふふふふふふ、見事に引っかかりましたね。毒はジュースでもマグカップでもなく、莉子がしこんでいたのです」


「こんな事したら、ボディーガードの人達が?」


「あの人たちならとっくに莉子が睡眠薬いりのコーヒーを差し入れて今頃羊の数でも数えてますわ」


いや、羊の数は眠れないときにするヤツだろうと言う突っ込みより、何が起きるの?


「一体、こんな事して、どうするつもり?」


「決まってますわ。悠馬様を悩殺するのです。恥ずかしいけど、男の子が見たい女の子の恥ずかしい姿を見せてあげます」


「そうです。最後はパンツまで陽葵様は脱ぎますからね。大丈夫です。陽葵様が責任もって、そのたぎった殿方の精子はドバドバ出して差し上げますからね♪」


「ちょっと、莉子、私だけだと恥ずかしいからあなたもやるのですわ。でも、精子ドバドバ出すのは私の役目だから、その時は譲りなさいね!!」


「もちろんです。陽葵様。悠馬様を興奮させるだけでいいのですね。こう見えても莉子はプロポーションには自身あります。きょ、今日はちゃんとお手入れも、し、してきてぇ♪」


二人がやばい目つきになり。


「まずは殿方の大好きなM字開脚ですわ。莉子、やりなさい!」


「ひやぁあ♪ わ、わらしですか?」


「そうよ、私はそのあと、同じポーズで下着を脱ぎます」


何の決意してんの? この二人はぁ! 


莉子ちゃんは制服のスカートをずり上げると両足を抱えて大きく広げて、ドエロいポーズになった。まだあどけなさが残る莉子ちゃんとのギャップが凄い。


「悠馬様、そんなそっぽをむかないで莉子の事グイグイ見てほしいです!」


莉子ちゃんは赤い顔で恥ずかしそうに言ったが…、M字開脚の女の子がそんな事を言ったらもうただの変態だよね?


「私が無理やり振り向かせてあげます!」


陽葵ちゃんが無理やり僕の顔をねじって莉子ちゃんの方を向かせようとする。あと、胸っ! 押し付けないでぇ!


僕はやむなく莉子ちゃんの恥ずかしい恰好を見てしまった。莉子ちゃんは羞恥で顔を真っ赤に染めている。


「そ、そんなに見つめられるとドキドキが止まりません……」


すっかり頬を赤く染めた莉子ちゃん。自らM字開脚姿を見せて興奮する女の子はもう手遅れかもしれない。


「じゃ、じゃ、今度は私の番です。まずはスカートをずり上げて、パ、パンツを見せぇ、みせまふ♪」


そう言って陽葵ちゃんもベッドの上で下を向きながら恥ずかしそうに、少しずつスカートをずりあげる。


そして、今度は莉子ちゃんが目を逸らす僕を無理やり陽葵ちゃんの方へ顔を向けさせる。


「んっ……♪ はぁぁ……っ……♪ だめぇ……♪ そんなに見られたら、おしっこじゃないのがでちゃうぅ……♪」


いや、陽葵ちゃんもドM確定です。もう、お嫁行けないレベルだと思う。


もちろん、僕は責任とらないよ。だって、僕のせいじゃないよね?


「だめぇ!! ひ、陽葵これ以上は無理ぃ♪」


もじもじしながら真っ赤な顔を俯かせる陽葵ちゃん。良かった! 莉子ちゃんは手遅れだったけど、陽葵ちゃんはギリギリのラインに踏みとどまってくれた!


陽葵ちゃんが恥ずかしそうにスカートを下げようとした時! ガチャリと大きな音がして、海老名が入ってきた。


「そこまでよ! それ以上すると、あたしが陽葵ちゃんのお父さんにいいつけるわよ!」


「ひ、ひやぁ~♪ は、恥ずかしいよぉ~♪」


海老名に見られた陽葵ちゃんは慌ててスカートを下すけど、僕に見られる方が恥ずかしいよね?


こうして、僕の貞操は守られた。ちなみに海老名はいつものように陽葵ちゃん家のエステのサービスを受けて帰って来てくれた。部屋のドアには鍵がかかっていたけど、海老名がピッキングのスキルでこじ開けてくれたようだ。


僕の周り、やばい子ばかりだな…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る