第40話 クソザコ幼馴染がグイグイ来る

僕は残念な御令嬢…もうクソ雑魚令嬢のおかげで、彼女の家で家庭教師をやる事になった。彼女の結婚の申し出は受けられないけど、勉強を教えると言う事は風紀委員クラブへ正式な依頼となるからだ。


僕達と陽葵ちゃん達の5人は車での彼女の家へ向かった。車は陽葵ちゃんが手配してくれた。しかし、陽葵ちゃんはお父様に紹介するとか言っていたけど、僕の事を自分を手込めにした先輩ですとか紹介しないだろうな? そんな事になったら生きて帰れないような気がする。


普通に考えると、僕…凄いピンチじゃない?


「悠真様、口をあけて。『あーん』」


「ズルいです。陽葵様、お弁当作ったのは莉子なのに! だから、莉子のも『あーん』」


僕は陽葵と侍女の莉子の二人に美味しそうなお弁当のおかずを口元にグイグイと無理矢理押し付けられていた。


「キチンと責任をとってくださいね。陽葵を傷ものにしたのですから、よ、よろしくおねふぁいします」


「そうです悠真様は陽葵様を傷ものにしたのですから、責任をとってください。ついでに私の責任もとってください。陽葵様と一緒に傷ものにされましたのですから!」


「ちょっと、いつ莉子が悠真様に手込めにされたの? そんなの事実無根じゃないの!!」


いや、陽葵ちゃんのだって、事実無根じゃないの?


「陽葵様、ズルいです。陽葵様が悠真様と結婚されたら、莉子はどうやって生きて行けばいいのですか? こう見えても高校を中退しそうなのですよ、陽葵様位残念な人にしか仕える事ができる訳がないでしょう! ここは悠真様の愛人になるのが自然な流れじゃないですか?」


「何ヨ、いつもわたくしの事馬鹿にしていたのに、わたくしより全然残念じゃないの! それに自分まで悠真様の愛人にだなんて図々しすぎますわ!!」


「そんな事を言うと悠真様に中学校で魔法陣を書くことにハマっていて、学園中に魔法陣を描いて校長先生に怒られたし、周りをドン引きさせていた事を暴露しますわよ」


「もう、暴露しているじゃないの! なんて事言うのよぉ! なんて事言うのよぉ! あれは闇に葬る闇歴史なのに!」


二人はリムジンの中で、ドタバタと喧嘩を始めた。この娘達、いつもこうだな。


勉強会には真白と海老名も来てくれた。僕だけだと陽葵達にめちゃめちゃ言われて、彼女のお父さんにこの世から抹殺されそうな気がする。今乗っているリムジン、ロールスロイスじゃないかな? 初めて見るからわかんないけど。


「ところで陽葵さんと莉子さんの成績はどれ位なの? 各教科のテストの点、どの位?」


「どうして莉子の成績まで気にされるのですか? 依頼は陽葵様の家庭教師なのに?」


「だって、聞いたら莉子さんも成績悪いみたいだし、二人は仲がいいんだから同時に教えた方が効率いいでしょ?」


「ええっ! 私まで勉強しないと駄目なんですか?」


当たり前だよね? 高校中退しそうって自分で言ってたんだから、当然だよね?


でも、この子達、確かに可哀そうだけど、自業自得のような気がする。ちゃんと勉強してさえしていればいいだけじゃなかったのかな?


「ねぇ、気のせいか、この子達、ちゃんと勉強していなかったから、自業自得のような気がするのだけど?」


「そ、そんな、悠真様、なんて酷い事を言われるのですか? 陽葵ないちゃいまふ」


「そうです。陽葵様の脳の実力を知らなさすぎます。陽葵様は全科目0点をとった伝説の方なのですよ。雪の下高校200年の歴史でたった二人だけしかいないのですよ!!」


「ええっ? そうなの?」


僕は少し萎えた。こんなに可愛いのに残念過ぎる。というか、僕に普通に責任を取らせるというのも酷くない? 僕、何もしていないし、この残念な子を一生面倒みなきゃいけないの?


「莉子! なんて事を言うんですか! それではわたくしが凄く馬鹿だと思われてしまうではないではないですか! 罰として、莉子も全科目0点取った事を暴露しますわ!!」


「陽葵様!? 酷すぎます! というか、何故それを知っているのですか? そんな事バラされたら、莉子! 立ち直れません。あの時のトラウマで不登校になりそうなのに!」


いや、それだとどうして入学できたのか…それに卒業できないんじゃない? 


二人は再び喧嘩を始めた。


「陽葵様なんて、『大好きなアニメの聖地巡礼をして一生犬と過ごすわ~!』って自虐的に学園中で言いふらして、学園中の人にドン引きされていた癖に!?」


「だから、どうして、莉子は主人の黒歴史をバラすの? ホントはわたくしの事嫌いなんでしょう?」


勉強会が開かれる陽葵の家 …二人に勉強を教える為に向かうが、嫌な予感しかしなかった。

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