第26話 真白、人類猫ちゃん化計画の夢を見る

朝ご飯を食べ終えると、私服の真白が僕のベッドの上で寝ていた。すやすやと穏やかな寝息を立てている。なんか、幸せそうな表情で、寝顔はとっても可愛い。


真白の胸が静かに上下しているのを見て、おもわずゴクリと唾を呑みこむ。


制服の時は分かりにくいけど、初夏の装いだと、胸の双丘が存在感を誇示している。


「…真白…油断し過ぎだよ、僕も男の子だよ」


ホント、もうちょっと危機意識を持ってよ。僕が寝ている真白にあんなことやこんなことしちゃっても、正当防衛だよ…正当防衛にはならないか…


「まぁ無防備なのは、僕を信じていてくれるという証でもあると思うけど……」


それはそれで嬉しいな……いかん。ついニヤけてしまった。


「あ、ん……」


真白は声を漏らした。あれ、起きるのかな? 少し物音をさせたしね。


「ゆ、悠馬ぁ……むにゃむにゃ……そんなところは触っちゃダメだってばぁ」


真白は寝言を漏らすけど、どんな夢見てるの?  今、寝言で『そんなところは触っちゃダメ』って……まさか二人で、エッチな事をしている夢?


「真白って、夢の中まで妄想癖あるんだ…でも、僕もその夢の中入りたいな」


僕が萌だえていると、真白がごろりと寝返りを打った。メロンみたいな胸がゴロンと…


「あ、あん……あっ、あっ、悠馬、ダメぇぇ……そんなところは触っちゃ、ダメだよぉぉっ……!」


真白の嬌声を初めて聞いて、心臓のBPMが一瞬で臨界点に達した。


真白の夢の中の僕、何してるの? 僕の馬鹿? 真白は僕の彼女だぞ? 例え僕でもだめだよぉ!! でも、夢の中の僕はどこを触ってるの? 真白、もう少し詳しく教えて!


「むにゃむにゃ……触っちゃダメぇ、悠馬……その槍、絶対ロンギヌスの槍だよ。カシウスの槍じゃない…はっ! 人類の王の罠に決まっているわ、その槍を抜くと爆発して、ガフの扉が開いて、人類猫ちゃん化計画が発動してしまう……むにゃむにゃ」


「どんな夢みてるの? 真白の夢って?」


人類猫ちゃん化計画って…真白に猫耳と尻尾が生えたら可愛いな……って、何僕まで妄想の世界に入り浸っているの! てっきり僕と真白のイチャラブな夢だと思ったけど…真白の夢…可愛い! 萌え悶えそう!


「ふにゃふにゃ……」


真白はまた寝返りをうった。かなり大きめの果実がそれに合わせてまた存在感を動かす。そして、綺麗な足も動かした。無防備な真白のスカートは寝返りに合わせてめくれる。


めくれたのはほんの僅かだけど、真白は今、かなり短めのスカート……透き通るように白くてまぶしい太ももに、僕の視線が引き込まれる。ほっておくと、その…見えちゃいそう。見えてはいけない下着が…いかん、何とかしなければ! と言いつつ、目線が外せない! 僕を責めないで! 僕だって健全な男子だよ!


真白が無防備過ぎる! でも、そんな無防備な女の子の下着を見ちゃだめだよね?


「見ちゃダメだ……見ちゃダメだ見ちゃダメだ見ちゃダメだ……!」


なんか、シンジ君の気持ちがわかる! そう自分に言い聞かせて、再び真白の寝顔を覗き込む。えへへ。普段はクールを気取っているのに、寝顔は子供みたいにあどけない。


いかんいかん、それより早く真白のスカートをずり上げないと、いけない処が見えてしまう。


「真白? 無防備過ぎるよ。スカートがずれちゃってるよ」


僕はベッドに腰かけると、右手で真白のスカートをきちんとした位置に戻そうと…


そのときに運悪く…


「あ、うん……んんっ!?」


真白が突然ばちっと目を開いた。目と目が合って、それも凄い近い距離、真白は僕の顔を見ると、不安気に身を震わせた。女の子と同じベッドにいて、そのスカートに手をかけている。なおかつ不覚にも覆い被さるような態勢になっている……この状況は…絶対勘違いされるよね?


「ま、真白! 違うんだ! こ、これは……その、真白のスカートを戻そうとぉ!」


「……」


真白はすっと目を閉じた…いや、それ、OKって事? いや、僕が困るんだけど?


僕は思わず真白の頭にチョップした。だって、僕達まだ高校生だよ! 早すぎるよ!


「い、痛いぉ! なんでよぉ、悠馬ぁ! 自分から真白に、その…♪」


恥ずかしそうに言う真白はホントに可愛い。でも、


「駄目でしょ? 僕達まだ高校生だよ? 赤ちゃんできたらどうするの?」


「大丈夫よ! 最近ちゃんと、チェックしているから! 今日はちゃんと一番危険な日だから、きっと二人の愛の結晶が80%以上の確率でぇ! い、痛い!♪」


僕は追いチョップを入れておいた。どっちの方向で危険日を把握してるの! 真白は!


赤ちゃんなんてできたら、僕が社会的に死ぬよ! そうなったら、真白を養っていけないじゃないか!


「真白、ホントに誤解なんだ。僕はただ、真白のスカートがずれていて、その…下着が見えちゃいそうだったから、戻そうとして、そのう、ホント、断じて、僕、女の子の寝込みを襲うような真似はしないよ」


「そうね。悠馬は絶対そんな事しないよね、でも……私の寝顔見たのはずるいよぉ♪。ヨダレとか垂らしてなかった? それに、寝言なんか言ってなかった? 私、悠馬の事を好きとか、結婚したいとか、結婚式場は早く予約したほうがいいとか、恥ずかしい事言ってなかった? あん♪、言ってたらどうしよう!!」


いや、普段から言っているだろう…えっ? まさか、妄想だだ洩れな事、無自覚?


「…真白」


「…悠馬」


僕は真白を抱きしめた。エッチな事をするんじゃないよ。ただ、抱きしめて、チークキス。


真白も応えてくれて、二人の頬が触れあう。僕は久しぶりに安堵を覚えた。

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