235 カウチン

 こんにちは。


 最近頑張って書いたパターンのコートがだんだん出来てきました。

 多分、基本的には直し無しで大丈夫っぽくてホッとしています。


 私だったらどんな機能が欲しいだろうと考える。例えば、季節の間に着るコートは縫いしろを開くけれど、冬用だから開かずに二枚一緒に立ち目かがりにしてしまおう とか、マフラーは巻きたいけれど襟が邪魔にならないように後ろ半分はスタンドカラーにしよう とか、ダブルにもオープンカラーにもなるようにしよう とか。もちろんポケットは必須。そしてウエストのラインはやっぱりちょっと上に持ってきて脚が長く見えるように。

 中でもこの襟がね。厄介だったのですがトルソーを使って型紙を作ったので思いのほか上手く行きました。


 でも冬用のコートって、どれだけ自分が思う理想の形を作ったとしても、どうしても私では理想に近づける事が出来ない事がある。それは重さ。

 軽いアウターにしたいと思うのだけど、冬用の生地はどうしても重たくなってしまう。無駄なものは無いハズなのに、シンプルに作っているハズなのに重い。生地が重いからどうしようもない。ウルトラライトダウンの様に作る事は絶対に出来ない。そこが悔しいなぁ、といつも思う。

 やっぱり疲れない洋服のポイントって、動きやすさや伸縮性もあるのだけど、重さも重要だと思っている。


 昔、古着屋で買ったカウチンを気に入って来ていたのだけど、お出かけをして帰宅したらもう、動けないくらいの疲労で。その頃は気が付いていなかったのだけれど、歩いた距離に比例しない疲労は、カウチンが途方もなく重たいからでした。

 荷物なんかを持たなくても、体全体で大きなに荷物を抱えて歩いているようなものなのだから、そりゃ疲れっている話ですよね。修行の亀の甲羅ですよね……

 でも重たさも温かさの一つ。不思議に軽い物よりも重い物の方が温かく感じるのです。

 カウチンが重たいのには理由があって、羊の毛から脂分を抜くことなく毛糸にしているので、普通の毛糸よりも何倍も重い。脂分をそのままにしているのは、土砂降りで無ければ防げるほどの防水効果と使い込むほどに脂によって毛が絡まってフエルト化し防寒能力が上がっていく為。猟師が着ていたというのだから、昔の人の知恵ですよね。分厚いし木の枝やら、なんだったら動物の牙も通しにくい鎧なのかもしれないです。

 確かに重たい事と脂によって、風は通さないし保温効果はあるしで、めちゃくちゃ温かいのです。でもどう転んでも重たい……朝着て出て行ったら昼頃には肩が凝って頭痛がするくらい重い。

 猟師さんはあんなものを着て雪山を縦横無尽に借りをしていたのかと思うとすごい体力ですね。しかも鉄砲も重いし、狩った獲物は運ばないといけないし。……全く筋肉の無い軟弱な私が気軽に着ていい防寒着では無かったです。


 そのカウチンの重さに気が付いてからは、重たい洋服が着られなくなってしまって……。しかも、重たいのにカウチンほど温かくないコートなんて最悪で。ダッフルコートもかわいいけれど、重たくてさほど温かくないから着られなくなってしまった。昔は気にしないで着ていたのになぁ。

 遠出をする時なんかは、どうやって疲れない状態を長く保つかという事が、お出かけを楽しめるポイントだったりするものだから、結構真剣にアウターは悩みます。

 結局、どんなにダサくてもかるっかるのダウンになってしまうんですよねぇ~(笑)


 という人物が作るコート。ぜんぜん説得力が無いでしょ(笑)

 それでも形はかわいいのです。そして「外側」だけしか作っていない(中綿など入れない)のは、販売価格を出来るだけ抑える目的と、最近はインナー用のダウンが売られているので、寒い人はそれを中に着るのが軽さも温かさも、その方がいいと思うから。だからちょっとゆったりのサイズで作っている。


 まだ暑い日毎日なのだけど、冬の日を想像しながら作るコート。

 なんだか、冬の曲を夏に作る、みたいな感じがします。冬の良い所だけを思い出しながら作ってしまう。

 

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