234 母校

 こんにちは。


 自分の出身校の広告を……しかも動画の広告をネットで見てしまった時の気持ち……


 もともと有名大学などでテレビCMなどをしている学校もあるし、そういう広告を出していて当たり前という学校出身の方は感じないかもしれないのですが、私の出身校は、そんな広告を出すような学校では無かったのです。しかも大学じゃなくて中高が広告を出している……。すごい進学校でもないのに。もう超絶に微妙な心持ちです。


 先日動画サイトを見ていると広告が入った。もしお茶を口に含んでいたら、マンガのように噴いていた事でしょう。その後に別のSNSでも広告を見ることがあって。

 なんと言えばいいのだろう……なんでこうなった?と。


 というのも、もうずいぶん前の話ですが、中高でお世話になった仲が良かった先生が退職される時に、みんなで食事会をしたのですが、その時に学校の内情を聞いてしまったのだ。

 その頃、急に宣伝に力を入れ出した時期だったのですが、学園長に学校にも仏教にも縁もゆかりもない人がなってしまい、学校の空気が全く変わってしまったというのです。会長になったのはどういう伝手でそうなったのかは分からないのですが、元刑務所の監守だったらしくて、その手法を学校に転用し、その恐怖政治で心のバランスを崩してしまった先生たちがたくさん休職されていると。私の知っている先生も数人、休職をされていた。

 それだけでも心が痛むのに「最近、テレビCMをやっていて驚きました~」と言ったら、その広告費は何処から出ていると思う?と。教師たちの給料が削られ、それが広告費に当たられているらしかった。


 私たちが学生の頃は、熱血タイプでは無いものの、人情丸出しで話の分かるタイプの覇気がある先生だったのに、疲れ果てて小さくなってしまったような印象だった。

 それもそのはずだよなぁ悟ってしまったのが、熱血丸出しの元気すぎて困るくらいの先生が休職されているという話を聞いてしまって。めちゃくちゃストレスに強いタイプの先生で、同級生が家出したと聞いたら最終電車の各駅止まりで遠方まで行くような、そんな熱血体育教師。どこまでひどい学校になってしまったのか、即座に理解できた。

 人情先生は定年までもうすぐだと、何とか歯を食いしばって勤め上げたのだけど、食事会のあと私たち教え子たちと完全に連絡を絶ってしまった。もう全部疲れてしまったんだろう。


 あれからまた年月が経ち、状況も変わっているのかもしれない。そうは思うのだけど、ここ数年見なかった広告を目にすると、労働環境が侵されていなんだろうか?とかそんな事ばっかり考えてしまって。

 

 先日、お墓参りの時に、久しぶりに母校の前を通った。

 そりゃ、普通に懐かしくて。入学試験の時の気持ちや、入学してからのあれこれを思い出してしまう……のに、その思い出の中の校舎の雰囲気と重ならない。

 校舎は残っているものの、周りに知らない建物が所狭しとそびえ立ってて、小学校の建物は建て直しをしているのか更地になっていた。

 月日が経てば色々変わっていくのは当たり前なのだけど、何て言うか……私たちが過ごしたあの頃と、根根幹が変わってしまったんだなぁ、と感じてしまう。まぁね、私たちがいた時は、まだ設立当時を知るお局先生がいた時代だし。もうそんな先生は1人もいなくなっている。

 少子化もあるし、学校の存続自体が大変な時代なんでしょうね……。それでも私たちを育ててくれた先生たちが居心地が悪くなる革命を起こした事が、悲しいやら悔しいやら……。生徒にも教師にも密告させる制度って何なんだ……そんな事は豊かな環境とは絶対言えない。


 広告を見るたびに、その事が思い出されてしまって。

 全部「時代」なんですかねぇ……それで片づけるのは逃げなんでしょうか。見るたびに考え込んでしまう。


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