232 事件です

 こんにちは。


 Gの話をします……。アレです黒いカサカサ動くアレ。苦手な方は逃げてください。


 作業部屋で一人、昨日頑張って作った型紙で生地の裁断をしていたのです。

 嫌いな作業なんです。捻じれないように生地を置き、パターンを生地が無駄にならない配置を見極めて待ち針で留めて、裁断。そして印付け。その後の接着芯貼りまでの流れがめちゃくちゃ嫌いです。

 作業台が無いから床に置いて作業していると腰は痛いし、生地はなかなかまっすぐに置けないし、床は(今は夏なので)ゴザだし……。

 出来るだけ腰を下ろしたところから動かないで、待ち針を打ったり裁断したりしたいのに、どうしても大きな生地の周りに移動して作業しないといけない事が多々ある訳で。


 今日は出来るだけ、以前に出来た端切れで布を利用して裁断し作業を続けていたので、ずっと同じ場所に座り続けていたのですが、最後にスカート部分の大きなパーツを切らないといけなくて。しかも生地はコーデュロイ。

 コーデュロイってすっごく面倒なんです。毛足の流れがあるので、毛足の流れの上下を合わせないと、光の加減で色が違ってしまう。生地を縦半分に折って重ね、パーツを切る時は流れが同じになるので良いのですが、私が切ろうと思っているのは、生地を広げた幅で切らないといけない大きさ。なので毛足の流れを合わせるために一度必要分を切って上下ひっくり返して重ねて使います。

 生地と言うのは伸び縮みもするし、大きな生地になると重ねるのも一苦労。コーデュロイは重たいし、よれない様に重ねるのは本当に面倒なのです。その上にパターンを生地が無駄にならないギリギリの配置で置いて……と、もうそれはすごい集中力でやっているのですが、裁断の印を付けようと立ち上がって、座っていた対面に腰を下ろして線を引いていたのです。

 さぁ、次はハサミで裁断……と思って私がずっと座って作業をしていた場所を見ると、見慣れないオーバル型の黒い物が……親指くらいはある大きさです。

 

「?」ですよ。

 そんな道具、持っていないですから。

 でもちょっと待てよ……と。なんか触覚みたいなのがあるな……と。ん?なんか半透明の所がはねっぽいな……と。

 

 そこまで来て、Gだーーーーーー!!と。もう顔面蒼白ですよ。

 情けないと言われようが、私はGを退治するのは無理で……母親を呼びにリビングまで、そーっと行って「ちょっと来て……(泣)」と。

 作業部屋に帰ってきてもGは同じ場所にいてました。母親が新聞紙でパシっとするけれど動かない。……どうやら、そこで息絶えていたようでした……


 母親は「なーんだ」とGの死骸を処理してくれたのは良いのですが……、ほんと、それは良かったのですが……、一件落着なのですが……


 いつからそこに居たのーーーーーーーーーっっっっっ?!


 ほんっと、いつから?いつからそこに居たの?!それが大問題!私にとっては一大事です!

 Gがいたのは、私が座っていた正にその場所。私がお尻を置いていたちょっと横というか、懐いている動物が寄り添うがごとくの位置!

 どうしてそこで死んでいたの?私がお尻で圧死させたの?私は触れてしまったの?!

 お願いだから、だれか答えを教えてーーーーーっっ(泣)


 もちろん私がそこから離れた後で、そこへやって来て、勝手に息絶えたという可能性もあるのだけど……それってどれだけの偶然、奇跡なの?(号泣)

 あぁ……だめだ、何でこんなところで死んだのだ……Gよ……誰も目撃者がいない場所で……


 私が今日作業を始めた時は絶対にいなかったのです。なぜなら、いつも掃除をしてから初めるので。

 そしてG発見まで、二回ほどお手洗いとお茶くみに席を立ちました。その時も無かった……はず。


 どうしても知りたい答えなのに、絶対に知ることが出来ないなんて……ぎゃーーーーーー(泣)


 はぁ……今晩は魘されそうです。

 昨日の夜は、久しぶりに祖母の夢をみて、顔を見られて幸せに気分だったのになぁ。なぜか鳥取まで車で送ってほしいと言われる夢だったけれど。


 今さっきまで自分がいた場所で起こっていた事なのに、一生真実を知る事が出来ないなんて……なんていうか邪馬台国がどこだったとか、三種の神器が本当は何であるのかとか、なんか、そういうのと変わらない位モヤモヤします。



 もし今タイムマシンを一度だけ使えるなら、そのGの真実を確かめに行きたい。それくらい……ショックな事件でした。



 はぁ、



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