177 勝手に心を置く

 こんにちは。


 私には勝手に弟の様に思っている友達が四人いる。一人は友達というより……本当に弟っぽいな。別々で知り合って、不思議に何か心に引っかかっている事が出来たり、人生のターニングポイントっぽい事がある時に連絡をくれる。私からは連絡をすることは無いのだけど。

 邪魔くさいでしょ。姉貴風を吹かせてお節介してくる人。だから、いつも元気かなぁ~、大丈夫かなぁ~と思いながら連絡が無いという事はきっと頑張っている時なんだろう、と思っている。


 でも一人だけ、その友達と言うよりも弟っぽいと思っている子だけは、音信不通で、向こうからも連絡がしにくい状態だろうしなぁ……と、心にずっと引っかかっている。

 彼は一緒に働いていた子で、上司と言うか同僚と言うか……一人仕事仲間に自分の事ばかり棚に上げるクラッシャーがいて、彼女に腹を立てて出て行ってしまったきり、顔を出さなくなってしまったのだ。その行動自体が大人げないと言うか、責任感に欠ける行動ではあるのだけど、まぁね、気持ちが分からなくもない。みんな大人だからしなかっただけで、本当は他の人もしたかったはずだ。

 彼は熊本の益城ましき町からこちらの大学へやって来ている学生さんだった。一緒に働いている時に大地震があって、彼の家族も一時避難所生活をしていたとかで、話を聞くうちに自分のゆかりの街かのように愛着がわいてしまい、熊本で地震や水害が起こる度に胸が痛む。私が心配して地震が収まる訳でもないのだけど。

 彼は卒業したら地元に戻ると言っていたから、今頃は地元で就職しているのだろうか。教員免許を取りなさいと親に言われていたようで、結局教員免許を取得出来たんだろうか。これも心配したって、顛末を知ったって何も変わらないのに心配してしまう。

 あの時、遊びに来ていた彼女と仲良く地元で暮らしてくれていたらいいなぁ。


 別の話。

 ジャズバンドの運転手として能登半島を回った時、縁あって珠洲すずで演奏をした。珠洲は能登半島の先端の街。なかなか観光で訪れるにしてもディープな場所。良い感じの港町です。

 私の歌の先生(ジャズボーカリスト)の出身地でもあり、その繋がりで一緒に仕事をしていたベーシストさんのバンドに、学生との文化交流のような仕事を頂いたので訪れたのだけど、本当にのどかでいい所。いっぺんに好きになってしまうような。

 それから珠洲も勝手に親近感がわいて、地震があったりするとすごく心配になってしまう。


 沖縄は、どこぞの政治家が行ってもいないのに伊江島に観光に行ったとかぬかした時もめちゃくちゃ腹を立てたし、首里城が火事になった時も泣いた。もちろん辺野古の工事の最初の土砂が入れられた時も、地盤が弱いから向かない事が分かっているのに工事をごり押しされたと報道された時も。

 

 私は勝手にいろんなところに思い入れを作って、大切な人のゆかりの場所を聞くたびに、訪れるたびに、縁が出来るたびに、そういう場所が増えていく。関わる事は縁を繋ぐことだ。縁を繋ぐと特別になる。

 みんな世界中の人がいろんな場所を旅したり、興味を持って調べたり、話を聞いたりすればいいのに。偏見をなくすのも、国家ぐるみで敵国を作り上げ憎しみを愛国心に変換するもくろみを跳ね除けるのも、心をそこへ置くしかないんだろう。私はフィンランドに友達がいるからフィンランドが好きだし、日本同様に理不尽な目に遭わないか心配している。心はフィンランドにも置いている。去年亡くなられた、大好きなバティック作家さんが活動されていたインドネシアにだって、心を置いている。

 大国のあの人は、色んな所を旅したはずなのにな。サイコパスに何を言っても通用しないけれど。

 集合住宅に攻撃があったと聞いて。

 辛いなぁ。

 

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