第120話 覇王妃と伯母上さま? 母上さま? また御対面(13)

「くそ~! くそ~! 拍(あの女)の匂いばかりがする~。こんな物などは~。儂がみな破り~。切り裂いてやる~! やるからな~」と。


 相変わらず自分自身のことは棚に上げ覇王妃さまは、荒々しい台詞を吐きながら。


 己の主である籍との、毎夜、毎晩夜明け近く迄、甘くて淡い夢を見させてくれ──見ることが可能な、夢の純白ベッドの上で、掛け敷布団のカバーごと、『バリバリ』と雑音を立て出しながら破り、裂き、暴れ回る。回っている仕方がない御方なのだ。


 まあ、ついでに、この罵声も付け加えてね。


「うぎゃ、あああ~! うぎゃ、あああ~! くそ~! くそ~! 籍の奴めぇ~! 儂と言う妃がいるのにもかかわらず~。浮気などではない~。ばかりしおって~。今日も屋敷にいる筈なのに~。いないとはどう言う事なのだぁあああ~? と、言うかぁあああ~? どうせぇえええ~? あの淫乱、スケベ女と逢引きにでかけたのだろう~。この妃である儂の事を放置~。無視してからぁあああ~!」と。


 まあ、相変わらず覇王妃さまは、訳の解らないことを、己の口から荒々しく罵声を吐き叫んでいるのだ。


 籍と拍殿二人が戯れる、だけではない。


 梁さまと覇王妃さまも……。

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