第114話 覇王妃と伯母上さま? 母上さま? また御対面(7)

 だから覇王妃さまは、愛する彼が【安珍】のように、己の身を潜め、息を殺して隠れているのではないかと、【清姫】のように妬み、恨み、嫉妬心を募らせながら。


 また愛する彼を呼ぶのだよ。【清姫】のように。


『安珍さま~。安珍さま~。一体何処にいるの~? いらっしゃるの~? 安珍さまは~。私(わたくし)のことを好きだと~、愛している~。だから夫婦になろうと~。言ってくれたではないですか~』、『この嘘つき~。嘘つき~。だから殺してやる~。このくそボケ! 男が! 見つけたらたら必ずしばいて、己の身体をバラバラに引き千切り。食らうて、やるからな~。覚悟しろ~。このくそ男~! 安珍が~!』とは。言わない。言わないけれど。


 覇王妃さまは【清姫】ではないし。そんなことを本気で己の主である籍に荒々しく告げたら。覇王妃さまは、自身の主さまに、皆のいる前で、生尻『ペンペン』の刑されてしまう可能性があるからそこまで荒々しく。と、いうか? 桁が外れて、己の主である籍へと憤怒しながら物々しく不満を漏らし告げることはできない。逆らい楯突くこともできないのだ。

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