第55話 御対面?(17)

「えぇ、えええ~! ど、どう言う事なの拍~? あ、あなた~? 先程、家の籍とは、何も関係などない……。深い関係ではないと言ってくれたじゃない~。も、もしかして? 先程の貴女の言葉は全部嘘偽り……。拍~! 貴女は~、姉の私を騙していたの~?」


 梁は泣きながら、自分へと不満を漏らして告げてくる妹君へと、驚愕しながら訊ねる。


「知らない~。知らない~。もう、姉さんなんか大嫌い~」


 いくら梁が妹の伯へと訪ねてもこの通りでね。伯は自身の顔を、両掌を使用しながら覆り。頭を振りながら泣き、梁へと一方的に不満を漏らしてくるのみでね。彼女……。




 そう、梁の問いかけに対してちゃんと回答をしてこないのだよ。


 だから梁は困ってしまって、『ワンワン』と、いった状態へと陥るのだが。


 それでも梁は、このまま自身の妹と息子の禁断の恋──。以前から梁自身も可笑しい? と睨み、不審に思っていた二人の関係をはっきりとさせないと気が済まない。



 だって梁の一人息子である籍は。若くして未亡人となった彼女の心の拠り所、生きがいでもあるのだよ。


 だから誰にでも安易に籍を自分以外の女性に手渡す気は、梁にはこれっぽっちもないのだ。


 それがいくら可愛い、齢の離れた妹君だとしても籍は死守するつもりだから。


「あのね~? 拍~? 貴女と籍は伯母と甥の関係……」とまで、梁が声をかけたところで。


「知っているはよぉ~。そんな当たり前のことぐらい~」と。


 直ぐに拍から荒々しく一喝されてしまうのだが。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る