第54話 御対面?(16)

 でもさ、拍殿は、皆も知っての通りで、齢の離れた姉を持つ次女になる彼女だから。麗しい容姿とは裏腹……。大変なじゃじゃ馬娘であり。気性難の拍殿だから。


「煩い! 黙れ!」と。


 覇王項羽のことを一喝──!


 するだけでなない?



「あんたは~。何よ~? さっきから邪魔ばかりして~。他人の癖に~。これはね~? この家に暮らす~。家族の問題なの~。だから他人である貴女は黙っていてくれる~」と。


 覇王項羽に不満……。



 そして最後は? 拍の華奢指先で覇王項羽を指差しながら。


「あんたは~。他人なのだから~。我が家の家族会議に勝手に加わり参加しないで~。とっとと自分の家に帰りなさいよ~。ッて、あんたは~。お化けだったかしら~? ならば~? あんたが、本来住むべき場所~。あの世へと、とっとと帰りなさいよ~。今直ぐ~、早く~」


 拍は覇王項羽がこの世の者ではないとわかっていても恐れ慄くこともなく勇んだ様子──。


 そう、彼女は、荒々しい物言いで覇王項羽へと、今直ぐ冥府若しくは、黄泉の国へと帰還をするようにと不満。諫めの言葉を告げるのだ。


 でッ、最後には、自身の指──。覇王項羽へと指していた──。細くて長い人差し指を覇王項羽から。籍の部屋にある窓へと向けて──。この部屋から今直ぐ出て行けと告げるのだよ。


「はぁあああ~。何をいっているのか~。この淫乱痴女の馬鹿女がぁあああ~。儂は先程から。お前等に何度も告げているように。籍の妻であり。妃なのだ~。だからお前達二人の方こそ~。今直ぐこの部屋から出て行け~。今日から儂がこの部屋で、夫である籍と仲良く暮らすのだから~。お前達二人はとっとと出て行け~」と。


 売り言葉に買い言葉ではないが。また覇王項羽は、拍へと荒々しい口調で言い返す……だけでない。




 覇王項羽は、仲慎ましい様子を見せる籍と拍……。




 アイラブ・ユ~中の二人に対して、自分は籍の妻であり妃なのだと言い張っているのに。


 籍の母……。姑になる梁にまで荒々しい口調で、この部屋から今直ぐ出ていけと勝手な言葉を告げるのだ。


 梁の実の妹である拍でさえも、そこまでは恐れ多くて言えない台詞を吐くのだ。



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