第3話 鬼火が舞う部屋の中の様子は?(1)

 鬼火が家の外──。屋根の上と室内と、窓とを、『フラフラ』行ったり来たりと、出入りを繰り返している部屋を覗いて見ると。


 うわぁあああ~! いた……としか、声が漏れないような物。まあ、人物がいたのだ。


 それも、日本の蒸し暑い夏の夜を。見た者達を魅入り虜にして、背筋を凍らせ──。蒸し暑さを飛ばしてくれる幽霊、妖怪、精霊、地霊。まとめて物の怪呼ばれる者の姿があるのだ。


 だから先程の少年の絶叫ではないが。物の怪と呼ばれる者の容姿を凝視すれば驚愕してしまうし。先程驚愕、絶叫を吐いた少年に対しても『南無……』とだけ唱え、祈っておくよ。少年が桃源郷を経緯して黄泉の国へと誘われるようにとね。


 だって物の怪を見て絶叫をあげた少年の前──。と、言っても。彼は物の怪とは、自身の顔と幽霊若しくは、妖怪と呼ばれる者の顔が。もうひっき触れ合っても良いぐらい近接した距離──。


 そう、『零』距離にいるのだ。


 それも、少年が物静か。先程のような驚愕! 絶叫を何度も放たないのは。彼が世に言う金縛りと言う物に遭っている最中だから声──。


 そう、彼は物の怪から金縛りに逢い刹那──!

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