第二章 書くときに考えていること
学校で学ぶ必要があるのか?
以前近況ノートにも書きましたが、改めてお話ししようと思います。
小説の書き方を教えてくれる専門学校というのがあります。
もしかしたら、小説を書きたいと思う人の中には、こういった学校に通ってスキルアップしたい、小説家としてデビューしたい、と思っている人もいるかもしれません。
結論から言えば、こういう学校へ行くのはオススメしません。
なぜ、そのようなことを言えるのかというと、私もそういう専門学校の出身だからです。
学校では小説の書き方を教えてもらえるわけでなく、小説とはどんな要素から成り立っているか、の説明が主だったように思います。
「直喩と暗喩」「一人称と三人称」といった、小説における基本的な要素を解説してもらえる授業が多かったように思います。もちろん実際に書いてみて講師に見せるといった時間もあるのですが、ほとんどが講師の話を聞いている授業ばかりでした。
これは、まったく小説を書いたことがない人にとっては勉強になるのかもしれませんが、すでに小説を作ったことがある人にとっては、基本の再確認でしかありません。
もちろん、基本は大切ですが、基本を確認するだけで終わったような印象です。
もし確実に作家になれる方法論があるのだとしたら、誰もが苦もなく作家になれているわけで、いくらお金を取って教える学校とはいえ、そんな素晴らしい能力が身につくわけではありません。
「授業が役に立たないなら、クラスメイトと作品を見せ合って意見を言い合えばいいじゃないか」という意見が出てくるかもしれません。
しかし、実際のところ、このような文学論を交わしたりできる環境ではありません。
私のクラスは約40人くらいのクラスでしたが、
・実際に小説を完結まで書ける 2人
・他人には見せる気はないけど書いている 3人
・小説の構想だけはある 2人
・学校に行って一から小説の書き方を教えてほしい 33人
というような内訳でした。
ほとんどの生徒が、小説を書く能力を入学前に身につけてすらいないのです。
それでも私は、お互いの作品を見せ合おうと提案を持ちかけてみましたが、多くの生徒が他人に見せる小説を書いておらず、仮に書いていたとしても「恥ずかしい」といった理由で、読ませてもらうことはありませんでした。
中には、手書きで(400字詰原稿用紙)1000枚超えるような作品を書いて、しかもまだ執筆中という人もいましたが、ほとんど自己満足の世界で完結してしまっているようで、他人に見せたがりませんでした。
酷評することで関係が悪くなることを危惧していたのかもしれませんが、せっかくのチャンスを無駄にしてしまっています。
「それでも自分は小説の書き方を学びたい!」
と思う人は、専門学校ではなく、大学の文学サークルのようなグループに属した方がいいでしょうし、同人誌を出すなどした方が、学校に行くより得られるものは多いと思います。
ただ「似たような友人」はできたので、それは収穫なのかな、と思います。
しかし、クラスメイトの中で作家デビューできた人はいません。
私の通っていた学校も、生徒数の減少から無くなってしまいました。
クラスメイトも卒業後に小説を書いている様子もなく、小説家を目指していた自分を恥じるように作品の話をすることもなくなりました。
どうしても専門学校で学びたい、と思うのであれば、大学卒業後に通うという手もありますし、カルチャーセンターなどで小説を教えてくれたり、場合によっては添削してくれる場もあるようですから、いっそのこと利用してみる手もあります。
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