返事は『ハイ!!』だけストロング

倉井さとり

【笑いのヒトキワ荘・第六回大会「カクヨム作家さんが学校に来なすった!」杯】参加作品

ガラガラガラ……(教室に入った音)



崇期:おはようございます。あれ? 遅刻? 見たことないお顔だけど。転校生かな? お名前を伺ってもいいですかね?



あなた:なぜウソを吐くのです!? あなたがボクをここの呼び出しのではないですか。あなたの欲しがっている〈笑いバクチク〉、その取引のために、某国ぼうこくと某国のダブルスパイであるこのボクを。

……それに約束が違うぞ! 〈ワンオンワーン〉つまり〈一対一いったいいち〉で会うはずだったじゃないか! これは一体全体いったいぜんたいどういうわけですか!?

この黒服たちの、服の上からでもそうとわかる、そのたくましい胸筋きょうきんはなんなんだ!?

おい! お前ら! やめろ! なにをするんだ! 有象無象うぞうむぞう分際ぶんざいで!! はなせ! やめろったらやめろ! いいからやめろお! なにをだと? なにをあからさまにとぼけているんだ! ならボクだってあからさまにおうじるまでだ! いいかよく聞くんだ……、このボクを地面にせ! そのうえで腕をひねりあげる! その行為こうい! それを中止しろとボクはそう言っているんだ!! やめろ! 痛いからやめろ!! 痛いのがきすぎているだろこれ!!

わ、わかった……! 言う言う……! だから、いた気持ちいいくらいにしてくれ……。ボクのこの国でのコードネームは、十文字蝶子じゅうもんじ・ちょうこだ。



崇期:では、今日は特別にこの教室で授業受けていただいていいですよ。空いた席に座って。私の授業はちとハードですよ。ついてこられるかな〜? 前の学校では成績どうだったの?



あなた:……なんてやつだ……強引にイスにしばりつけておきながら、まだそのサルシバイを続けるというのか……。……言っておくがこの場に〈笑いバクチク〉は持ってきていないぞ。それにボクはぜったいに口をらない。

ふんッ、とうぜん拷問ごうもんえる訓練くんれんはシコタマんでいるさ。ちなみに自慢じまんじゃないが、ボクはいつも教官から〈はなまるぅ~〉をもらっていた。ボクはこう見えて、生来せいらいのドМエムだからね! いいか覚えておけ! ボクは中折なかおぼうよりもドМだぞ!



崇期:そうなの。ガハハハ。大丈夫大丈夫。半分怯えて、半分楽しむくらいでやってね。あ、このクラスでやっていくんだったら、係を決めなきゃね。役割分担だよ。そういう決まりだから。


 百葉箱撤去反対運動係 

 小さい石鹸重ね係

 白線の外のピラニアの世話係


とか、いろいろあるんだよ。え? 白線の外にいるのはワニでもサメでもなくピラニアなんだよ。うちの学校ではそうなの。とにかく、やってみたい係を言ってみて。



あなた:……おい待て、いったいボクになにをさせるつもりだ? まさか……、目的は〈笑いバクチク〉じゃないのか……? ボクに寝返ねがえれとでもいうのか……? ボクは祖国そこくを裏切ったりしないぞ! そんなのはゴメンだあ! あの唾棄だきすべきそこなしにいやしいヒトデのやつらのように、唾棄されるべき底なしに卑しい存在にがるなんて、そんなのはゴメンだ! イヤすぎるでしょそれ!

それにあなたはなにを言っているんだ! 白線の外にはマグマと相場そうばが決まっているだろ! なにをほうけているんだ! 前大戦時ぜんたいせんじにかの大国たいこくが行った、〈おでんアツアツ大作戦だいさくせん〉のむごたらしさを知らないわけじゃないだろ?



崇期:じゃあ、よろしくねー。では、さっそく朝の会だよ。今日さ、学校に来賓として〈マグマ共和国〉の方が来られるからね。いい? 廊下で会ったら必ずご挨拶だよ。なにかしてみたい質問とかある? 文化交流は大事だものねぇ。



あなた:……そういうことか……あんたは〈マグマ共和国〉の犬だったのか……。あんた、トイプードルみたいにカワイー顔して、やることがエグいぜ。……は! ここれワンワンの犬畜生いぬちくしょうの、その頭のなかはドックフードまみれってわけかよ……! くそったれ!

……おい、ちなみに、そいつは軍部ぐんぶの人間なのか? それとも情報屋じょうほうやか? まさかあの悪名高あくみょうだかい、〈吟遊詩人部隊ぎんゆうしじんぶたい〉の連中れんちゅうじゃ、ないだろうなぁ……?



崇期:そういう質問しちゃダメでしょ! 教育委員会さんがザワザワするよ! 私も胸がザワついちゃったよー。


あ、もう授業はじまってる! 今日、チャイム鳴らないからね。マグマ共和国の方、犬の聴覚の3倍らしいから。……笑っちゃだめだよ。


あなたの知り合いにもすごい能力を持った人とかいるんじゃないの?



あなた:……なんだと……? この基地全体きちぜんたい掌握しょうあくしているというのか……? 嘘だろ……? あんたはいったい、どこまで手を引いているんだ……? この国でなにをするつもりだ! 〈マグマ共和国〉と共謀きょうぼうして、この国の実権じっけんでもにぎるつもりなのか? そんなことして国際社会こくさいしゃかいだまっていないぞ! ボクを今すぐ解放かいほうしろ! 悪事あくじ片棒かたぼうかつぐのは、ヤ!

それにボクは、ぜったいに仲間を売ったりはしない。誰の名前だって言うもんか! ……だけど、これだけは言える、みんないいやつだよ。……掃除機そうじき……じゃなくて……正直しょうじき、ボクはイヤなやつなんだ……しかもけっこうエグめのやつなんだ……外面そとづらばっかつくろっているけど、けっきょく自分のことしか考えていないというか……。なのにあいつらは、いつもボクに優しいコメントを送ってくれるんだ……。……こんなことになるなら、ちゃんと「ありがとう」って言っておけばよかった……。

……おい、あんただって、そんな冷酷れいこくムヒヒな調子ちょうしだけどさ……人の心が、ないわけじゃ、ないんじゃない? あんたにもおそらく、幼年期ようねんきがあったんじゃないか……たぶん。そして、あんたにも親がいるんじゃないか、2人くらいさ。だったら、あんたも元から冷酷ムヒヒだったわけじゃ、ないんじゃない? あんたの人生、今までなにがあったか……ボクは全然知らないけど……、思い出せ! ピュアだった頃を思い出すんだ! たぶんあっただろ! おそらく! 早々に思い出すんだ今すぐ! じゃなきゃ、あんたいつか、とんでもないことになってヤバいぞ……? それでもいいってのか?



崇期:人間、いろいろだよ。じゃあさっそく、1時限目は「国語」ね。


 大吉のおみくじが僕に牙を剥くよ

 指を切られて 家路につく

 おやつは 天地無用のプリン

 スプーンがないって どういうことだよ


これは今年も教科書に載らないことになった詩だよ。これって、作者はなにが言いたいんだと思う? 感じたことを書きだしてみよう!



あなた:……やっぱり……〈吟遊詩人部隊〉が出張でばっていたのか……。……ウガガ……、すごい声量せいりょうだ…………頭が割れそうだ……まるで地震じしんじゃないか……音響兵器おんきょうへいき伊達だてじゃないってわけか……、……だけど、いいじゃん……この曲調きょくちょう……、音めちゃデカいけど、めちゃ聞かせる……聞かせるよこれ……。

……はッ! ……止まった。……なんか、ぎゃくにビックリした……。なあ、これってあるあるじゃないか? 音楽つけっぱなしでウタタして、そんで、音楽が自動で止まって、ギョッとして飛び起きる、みたいなやつ……。一瞬なにが起こったかわからん、みたいな……。ボク、今、なににおどろいたの? みたいな……。

……それにしてもあんたはなにが言いたいんだ? なんだかやけに抽象的ちゅうしょうてきな顔しているが……、一体全体おおまかに、ボクになにを期待きたいしているっていうんだ……? さては、なにかの誘導尋問ゆうどうじんもんじゃないだろうな? 言っておくけど、ボクはマグロドンにしか興味ないぞ! カツ丼なんて……産業廃棄物さんぎょうはいきぶつくらいに思ってるんだからなあ!!

ボクはぜったいに口を割らないし、寝返ながえらない。ボクの口はガマぐちじゃないんだ! それからあ! めっちゃタイプのカワイコちゃんに、『ねぇねぇ、ひさしぶりに童心どうしんに帰って、オモテウラであそぼ?』とか言われても、ボクはぜったいに裏返うらがえらないぞ!

……だけど、まあ、けっこう良い曲だったし……感想くらいなら、やぶさかではない……。言っておくが、これはべつに、あんたの陰謀いんぼうのためじゃないだからな……?

……えへんッ……そうだな……、いっけん戦争せんそうの恐ろしさを歌った哀歌エレジーだけど、……本質はそこじゃない。……これはおそらく暗号文あんごうぶんだ。……おいまさか……ボクをスーパーコンピューターボーイにするつもりじゃないだろうな……? そんな役回やくまわりは、ゴメンだし! あそばせだし! ……とにかく、ヤ!

 

 

崇期:さすがだね、いいところついてるよ。難しく考える必要ないのよ。だけど、心が思っていることを言葉にするのが難しいの。表現力が身についてなきゃだから。


今、パッと思いついた言葉をいくつか挙げてみて。



あなた:……なにが表現力だ……キレイゴトかしやがらあ……、そのじつあんたの行いはおかまいなしじゃないか……、……ボクの顔でわからないのか? こんなにも〈およしになって〉の顔をしているのに! いい加減かげん、人のソウルを取り戻せ! 手加減すんな! 本気出せよ! あんた、きっと根はいい人だよ、おそらく!

……オイッ! なにすんだコラアッ!! ボクのツムジにれんじゃねえ!! やめろォオ!! ボクのツムジを少しでも刺激しげきしてみろ!? タダじゃおかんぞ!! ていうかなんでボクの弱点じゃくてんを知ってるんだ!?

……なにぃ……? ……ボクの素性すじょうは、すでに割れている、だと……? 嘘だろ……? 嘘だと言ってくれ……デッカい声で……。ということは、まさか、……ボク最大のウィ~クポイント、〈あの部位ぶい〉のことも知れているのか……?

……くっ……なんてこった……、このぉ、卑劣漢ひれつかんの女バージョンめがぁ……。……鬼畜きちくだ、きっちりばっちり鬼畜じゃないか……。

わかった、いいさ、スーパーコンピューターボーイになるくらいわけはない、〈あの部位〉へのアタックにくらべたらな……。……だか、暗号がけるかは保証ほしょうしないぞ。……だって本職ほんしょくじゃないんだからな。ボクのワイワイ……じゃなくてナリワイは、各国かっこくわたあるき、それぞれの市場いちば秘密裏ひみつり操作そうさして、世界の香辛料こうしんりょう流通りゅうつうの、その安定をはかることなんだから。つまりボクは、筋金入すじがねいりの〈スパイシー星人せいじん〉なんだ。……なのに、こんなけがらわしいやくをグイグイされるなんて……! ……今に見てろよ……あんたいつか後悔こうっかいするぞ……〈スパイシー星人〉のやつらは、けっこう固いきずなむすばれているんだ。……あんたはいつか必ず……目にものせられてしまうぞ……ほかの〈スパイシー星人〉の誰かにな……。

で、なんだった? ああハイハ~イ。パッと思い付いた〈息のむような極上ごくじょうの言葉〉ね。


〈歯みがきはぜんぶプリンになればいいんだよ〉

〈プリンのお刺身さしみ

〈プリンのむら 撃滅作戦げきめつさくせん

霊験れいけんあらたかながた祝福しゅくふくかみスプーンへとおとしいれるという禁忌きんきおかし、元来がんらい堕落だらくしている人間にんげんでありながらさら堕落だらくし、いやしい畜生ちくしょうがり、そればかりではらず、そのいまだ宝物ほうもつであるかみスプーンをプリンにひたけがむさぼり、そのけがらわしきプリンを蹂躙じゅうりんし、薄汚うすぎたな背徳はいとくあじわい、そして、後戻あともどりできぬ悪鬼あっきわりて、やいのやいのと冷蔵庫れいぞうこ内臓ないぞうらいくす〉


崇期:だいたいなに考えてるかわかるわ〜。じゃあ、その言葉に含まれてる感情を引きだすの。そう、心から作るの難しいでしょ? 自分の心もわからないときあるよね。だから、逆に言葉の中に普段の自分を発見できないかやってみるのよ。言葉を自分に寄せるみたいなね。言葉からなにを感じる?



あなた:……んっ……なん、だよ、この香辛料のたからの山は……? 報酬ほうしゅうだと? なにをさせるか話さないうちから、なぜ報酬の話をしているんだ……? こんなの前後賞ぜんごしょうじゃないか……。話が前後しすぎているだろこれ! やめろお! ボクの心をみだすなッ!! ボクはめっちゃ祖国ラブなのに……。くそッ!

ボクに「よくよく考えれば、よくしかたん、……それでよくね?」とか言わせるつもりだろ? そうなんだろ!? ボクはたしかに香辛料ジャンキーだけど……そこまでジャブジャブの蜜月みつげつじゃない! たしかなあゆみでたしなむ程度さ! ボクはこんな誘惑ゆうわくになんて負けないぞ!

……やめろ! トウガラシのたばを近づけるな! そんなことして、ボクをラッキョウけにでもするつもりなのか!? やめろおーー!!



崇期:すばらしい! ていうか、あなた、言葉慣れしてない? まぁ、いいや。私なんて、趣味で小説書いてるけど、タイトルから作っちゃうからね。タイトル生みだした時点で言いたいこと終わっちゃってるから。そうなのよ。あなたもそんな趣味持っていそうだね。


 出オチの常習犯

 キャッチフレーズ詐欺

 尻すぼみ逃走犯

 コメント・レビュー愉快犯

 

あなたの小説はどういう問題を抱えているかな?



あなた:……これも……あんたお得意とくいの、暗号のたぐいか……? ……うぅうぅ……目が回る……。さっきのやつは……さぞかし極上のトウガラシなんだろうな……においだけでこうなんだから……、……で……なんがどうなってんだ……? ……ああ、暗号通信あんごうつうしんだったっけ……?

……というか……小説? いったいどういうことだ? 文脈ぶんみゃくを無視しすぎているだろその発言はつげん! ……まさかとは思うが……このボクに、謀略ぼうりゃくのあとのカバーストーリーをえがかせるつもりなのか……? そんなのはぜったいにイヤだ……。そもそもボクには、そんな想像力そうぞうりょくありはしないぞ?

もしかりに書いたとして……おそらく、局地的きょくちてきな話しか書けないさ……、ボクには全体像ぜんたいぞうえがけない……、……あんたふうに言うのであれば、……せいぜい短編小説やら詩やらがせきやまさ……、……長編とかに挑戦ちょうせんしても……たいして怖くないホラー小説やら……結局けっきょくなにも解決しないファンタジーとか……そんなのしか書けないと思う、それに、たぶん2作くらいが限界げんかいだ……、そこからは、……どうがんばっても長編にならない……もうアイディアが出ないんだ……書いても書いても……なんか一万字くらいで破綻はたんしちゃうんだ……、……くそっ……想像するだけで、……かなしい……。……ボクには、長編向いてないのかもわからんね……。



崇期:これ、誘導尋問なんだよ……やっぱり、あなたカクヨム作家なんでしょ!? 学生のふりしてやってくるなんて……おちゃめ!


実はね、私も教員免許持ってないの。いきなりこんな告白してごめんね。ガッカリした?



あなた:……あんたは一体全体なにをきすぎた監視社会かんししゃかいみたいなこと言ってんだ……? カクヨム……? そいつはいったいなんだ……? 新型しんがた兵器へいきか? まさか電子兵器でんしへいきじゃないだろうな……? 言葉のひびきからそんな感じがするぞ……? この国の経済けいざい破綻はたんさせたうえでるつもりなのか……?

……まさかとは思うが……あの超大国ちょうたいこくからんでいるんじゃないだろうな……、だとしたら……これはとんでもないことだ……、話はこの国だけのことにおさまらないことになるぞ……世界の秩序ちつじょくずれる……。……この平和の国をこわして、いったい誰がとくをするっていうんだ!?

……ていうかオイッ! なんだよこれら!? このかくしカメラのおびただしさのただしさはなんだ! おびただしいというてんにおいてそれはアッパレだけど、こんなのモラルの低下ていかがどこかしこじゃないか! 録画ろくがたぐいはとうぜんあるだろうとは思ってはいたが……、監視カメラの目が光りすぎているだろこれ……、……もしかして……今現在いまげんざい現在進行形げんざいしんこうけいで、どこかに生配信なまはいしんでもしているのか……?

……まさか嘘だろ……? 嘘だと言ってくれぇ……のどらしながら……。……こんなのまるで〈…………ぇ……あ? ……んじゃあ……とりあえず生で……〉じゃないか……なんのなしの惰性だせいの感じで、自分のなかのドМを、知らない誰かに――ガンあるいは薄目うすめで――傍観ぼうかんされるとか……イヤすぎる……どこまでも、ヤ! あの唾棄だきすべき底なしにいやしいヒトデに成り下がるくらい、ヤ!

それにしても……、それにしたって……、……まったく!! なんなんだあのヒトデのやつら!! なにを物顔ものがおで海の底にしずんでいるんだ!! いったい誰の許可きょかてあんなことをしているんだよ!! ああああああ!! 忌々いまいましいったらありゃしない!! 思い出すだけでがする!! なんなんだあの態度たいど!! 実際に今見ているわけではないのに……なんなんだこの忌々しさは!! 今今いまいまのことじゃないというのに……ああ腹立はらだたしい!! ……なぁぁぜこうもはらむしがボイルされるんだぁぁ……ぁああ……!! あの薄汚うすぎたないヒトデのやつらがあ!!

……オイッ!! やめろおお!! ボクになにをするつもりなんだ!? ボクに触れるな!! 放せえ!! ……おいおい……その魔改造まかいぞうされたムチはなんだよ……。まさか……、……このボクを調教ちょうきょうしてまで……そうまでして、あんたの陰謀いんぼうにボクを引きこもうってのか……? ……ボクのドМを踏破とうはし……ボクのドМのその先に行こうってのか……、……この部屋にいながらにして、あんたの官能かんのうのリアルワールドに、このボクの精神せいしんを引きずりこもうっていうわけか……。……そんなことができる人間はかぎられている、なんせボクは国際免許こくさいめんきょをもったドМなんだから……、……そうか……つまりあんたは……ボクなんかのドМとは比較ひかくにならないほどの官能エネルギーをゆうした……〈ドドスコドエス〉なのか……?



崇期:そうなんだ。せっかくこうして出会えたのに、もうすぐこの教室を追いだされてしまうのかと思うと寂しいよ。いや、あなたもだよ、あなたも私と一緒に放りだされるよ。まだカクヨムから追いだされていないだけマシと思わなきゃ。


最後にこれを読んでいる奇特なユーザーさんに一言ご挨拶して。



あなた:……あなた・・・? ……それに、ユーザーさん……? ここにはあんたとボク、それに良い身体をした黒服たちしかいないじゃないか……、あんたはいったい誰に向かって話しているんだ……? まさか……この監視カメラの向こうにも……ボクと同じような目にっているドМが……いるというのか……?

それに……カクヨムとは一体全体いったいぜんたい一物全体いちぶつぜんたいなんなんだ……? ……胸像きょうぞうのようにました顔をしていながら……あんたいったい……どれだけの規模きぼ陰謀いんぼうを、そのはらかかえているんだ……!? ……いったいどれだけの人間を、その悪事あくじに引きずりこもうっていうんだ……!?

……もし……ボクのような境遇きょうぐうのドМが聞いているなら……耳をしてくれ……、……ボクはこんなやつだから……ろくな人生を送ってはこなかった……自分の行いに、つねに足を引っ張られるような……自業自得じごうじとく体現たいげんしたような人生だった……、でもさ、本当に、こんなボクにかかわって、それだけじゃなく……、優しい言葉をかけてくれた人たちに……感謝かんしゃしてる……ボクがのこしたいのは……「ありがとう」って言葉だけだ……。

……さあ、もういいだろ……らしプレイなんて小手先こてさきのテクニックはもうたくさんだ……はやくボクを調教ちょうきょうしろ……、……だけどな、ボクのドМはタダではほろびないぞ……、……足掻あがけるだけ足掻あがいてやる……。まれたドМは、正真正銘しょうしんしょうめいのドМだぞお!!

……さあ! やれ! ……ツムジからか? それとも〈あの部位ぶい〉からか? あんたの〈ドドスコドS〉を見せてみろ!!  かかってこいッ!!



崇期:どうもありがとう。ではまた、どこかの企画で会いましょう。あなたの答え、とても気に入ったよ。成績として、胸に刻んでおくからねー。じゃあ、さようなら。

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