第30話




「シズシズ大丈夫?」


静香はスマホを弄りながら脚をだんだんと踏む。相当イライラしているようだ。


「ん、」


……?何を思ったのか静香は立ち上がった。


「どうしたの?急に…」


奈南が声をかけるが静香は無視して教室を出る。


「ちょっと〜っ!」


奈南と紗凪は急いで静香の後ろについていった。


「もう、静香ってば〜」


奈南は静香の肩を掴んだ。が、静香はそれを払って前に進む。進んでいる方向は2年のクラス。ということはつまり…


「あー、シズシズ本気だしちゃったね」


紗凪がポツリと言った。私もそれに頷く。咲夜成瀬を落としにかかるのだろう。


奈南は静香を止めることを諦めて見守ることにした。


「ここが2年のNRクラスね」


静香は確認して、2年の教室にはいった。


「え?宇佐美さん!?」

「おいおい、誰に用なんだ?」

「俺かな?」

「いや、俺だろ」


七大天使の急な登場によって教室中がざわめきだつ。


「………」


静香は少し辺りを見回しながらあるところに目をつけると、そのまま真っ直ぐに対象に向かってゆっくりと歩いた。そして、笑顔になって…


「咲夜先輩♡」




「「えぇーっ!」」


クラス中がざわめいた。窓ガラスがひび割れる程に。


「ん?あー、えーっと、ウサギ」

「宇佐美です〜♡」


あー、そうそう宇佐美宇佐美。もうウサギでいいかな?


「ん?俺に何の用?」

「何も用がなかったら来たらいけないんですか〜♡」


何故かウサギは、オッホン宇佐美は付き合ってるみたいな言い方をする。


「いや、でも俺らそんなに親しい仲じゃないだろ?」


俺は真面目に言うと、ウサギ…宇佐美は少し押し黙った。


「むぅ〜、ヒド〜イ。ただお話したかっただけなのに〜」

「ふ〜ん。……これでいいのか?」

「そうだね〜♡あ、チャイム鳴るから」


そう言って宇佐美は俺から離れる。が、何故か直ぐに戻ってきて1万4千20円をバンッと置いた。


「ハンカチのお釣りで〜す」


宇佐美は俺にしか聞こえない声で言った。それも何故か凄く怖い顔で。


「お、おう」


俺はそれをおずおずと受け取り、財布にしまった。


(俺なんかしたか?)


そんなことを考えている間に他の男子に囲まれていて俺は集団リンチを受けた。朱里も前助けてやったのに助けるどころか一緒に加わっていた。


「おかしい…」


「「おかしいのはお前だぁ!!」」


俺の一言は周りを更に燃え上がらせた。いや〜、理不尽だな、これは


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