第29話






「で、ここは条件付き確率になってるからここはーーーーとなっていて…」

「へぇ〜」


じーーーっ


「この問題はいきなり因数分解よりはf(x)に数値を代入して0になるようにしてからーーーーほら、こっちのほうが早いでしょ」

「なるほどねぇ〜」


じーーーっ


「この問題…」

「まだいるのかよ!?」


俺はさっきからずっとこちらを監視している真奈を見る。


「またお兄ぃが変なことをしないか見張ってるの」

「いや、別にシャワー浴びただけだし…」

「それが変なことって言ってるの!普通家庭教師が来ている途中でシャワー浴びる!?」


俺のお気に入りの猫のぬいぐるみブルペンくんをバシバシ叩きながら真奈が怒る。


「まぁまぁ、もう大丈夫だと思うよ…多分」


副会長も自信なさげにそう呟いた。


「むぅ〜、もう行くけどぜっ〜た…」

「副会長、ここわからん」

「聞けよ!!」


真奈が珍しく叫んだ。


「ま、まぁまぁ落ち着いて…」


副会長が真奈を静止させて、この場はやっと収まった。真奈も出ていって、ようやく勉強に集中出来る。


「で、副会長、ここは?」

「…そういえばさ、名前、副会長じゃなくていいよ?」

「ん?じゃあ神咲か?」

「うん…」


普通に名前を呼ぶと何故か副会長…神咲は少し恥ずかしそうにする。


「なんか、むずがゆいね…」

「そうか…?」


名字を呼ばれただけで普通そうなるか?まぁ、知らんけど


「それで?ここは?」

「あぁ、ここはーーー、ーー」










みっちりとその後勉強をさせられて初日は終わった。


「疲れたぁ〜」


俺はベッドに横たわる。どんだけ勉強させんだよ、神咲のやつ…


「にしても…」


女の子って良い匂いするんだな…


なんかこう、風呂入った俺よりもさ。


まぁ、そういうもんなのかな。凜香も良い匂いしたしな。


「何キモい顔してるの」


真奈が腕を組みながら辛辣な声で言った。え、もう死のうかな


「真奈〜、そんなこと言っちゃうとお兄ちゃん泣いちゃうぞ」

「なーくん、そんなこと言ってる場合じゃないよね?」


俺が起き上がって顔を向けると母さんが顔を見るに怒ってたい。


「……心当たりは…あ、真奈」

「べーっ」


真奈を見ると真奈は舌を出してアッカンベーとする。絶対に家庭教師のことを言われた…


「取り敢えずなーくん。ママの部屋に来てね」

「はい…」


俺は観念して母さんについていった。




















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