第25話
「まだ、多いな……」
2日経っても天女祭の影響は収まらない。今日も今日とて朱里の周りには沢山の男共が集まっている。
朱里はというともう限界の表情をしている。
仕方ない、助けてやるか
「朱里〜、弁当食うぞ」
それを言った途端周りの男共が悲鳴を上げた。女子じゃないんだから…
「う、うん♪」
更に朱里が嬉しそうにしたことからまた悲鳴を挙げた。
そこらかしこから「なんでアイツが」「クソ野郎」とか聞こえる。
俺は無視して、久保もつれて屋上に向かう。
「大変だな〜」
「ふふっ、我はあのようなダークジェノサイドには負けんぞ」
「にしては声かけたときに神様〜みたいな顔して喜んでたぞ」
「む、そんな顔はしてないぞ。というか昨日はなんでむししたのだ!」
「えぇ〜、面白かったから」
「こんの〜、我が邪眼を解き放てばこんな者」
「盟友って言ってなかったか?」
「裏切り者には死を」
そう言って「デュクシ」「デュクシ」小突いてくる。と久しぶりに聞いた朱里の様子は全く変わっていなかった。
「お、今日は大丈夫だったのか?」
既に聡志は着いていて、隣には山岸千代が座っている。
「………誰?」
「あ、そっか知らなかったね」
確かに昨日は一緒にいなかったもんな
千代は立ち上がった。
「えっと、山岸千代です、その…聡志くんの、か、彼女です…」
「・・・・・・」
朱里は千代と聡志を交互に見やる。そして、俺の所に寄ってきて、
「…ッ!……ッ!?……!!」
声にならずにジェスチャーだけで嘘でしょ!?っとテンパている様子が伺える。
「落ち着け、俺がこの二人のキューピットだ」
「絶対違うからねっ!?誤解を招いて破滅させようとした第一人者だからね!?」
「はいはい」
俺は久保を宥める。ほんと、手のかかるやつなんだから〜
久保はムキッーとしていたが無視をする。
「ま、そういうこった」
「そうなのか…よろしく頼むぞ新たな下僕」
「下、僕?」
「あ、いや、そのっ、」
俺達が交わす会話とは異なる反応なので朱里は自前のコミュ障を発現してしまう。
「気にするな、朱里のことは」
「あはは〜、宜しくね朱里ちゃん」
「ッ!!!よ、よろしく…」
そう言いながらも朱里は俺の背に隠れた。
「やべっ、もうこんな時間だ。教室戻るか」
「あ、ホントだ」
適当にベラベラ喋っていると時が経つのが早く感じる。
俺達は屋上を出て、階段を降りる。
「あ、聡志と久保さ、あの……そう何とか説明会に出てくれ」
「部活説明会のこと?」
「そうそれ」
俺は指鳴らして久保を指さす。
「どうして?」
「出禁」
「ああ〜」
いや、納得すんのかぁい!まぁ、するでしょね…
「んじゃそういうこーードンッ」
少し余所見をしていたせいで誰かとぶつかってしまった。
「あ、スマン」
「いえ、大丈夫です〜。そちらこそお怪我はないですかぁ?先輩」
ぶつかってしまったのは女子生徒で先輩呼びをするので一年だと思われる。というか、先輩ってわかられているってことは俺ってかなりの有名人なんだな〜。照れる〜
「ああ」
俺が短く返事をすると、その女子は少し屈んで上目遣いで少しこちらをみつめると、その場を去った。
俺はその後ろ姿を振り返って見た。
「ーーーどうしたのだ」
何故か少し怒った口調の朱里が尋ねてくる。
「んや、アイツなんか、見たことがあるようなと思って」
「いや七大天使に選ばれた宇佐美静香でしょ!」
久保が誰もが知ってるでしょみたいみたいな感じでツッコんでくる。
「ああ〜、ウサギね」
「宇佐美!」
ーーー ーーー
(ふふッ、楽勝〜)
私はスキップをしながら教室に入る。
「お?シズシズご機嫌だね〜」
「イエ~イ、絶対落とせた〜」
ブイピースを奈南に贈る。
「はあ?まだわからないでしょ」
「ちょ〜っと見つめてあげたら、私の後ろ姿を追ってたからね」
「うわ〜まじか〜こりゃ完敗かもね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます