第23話
「あの…話は…?」
神咲の方も俺が何も言わないので困ったように尋ねてくる。
「その、すまない」
「え?」
俺は神咲に謝って、踵を返して山岸を追った。
「………なんだったのかな?」
置いていかれた神咲は独り言を呟いた。
「山岸!」
聡志は山岸を追って走り、公園の所でようやく見つけた。
山岸は公園のブランコを小さく漕いでいた。
「山岸!」
「あ、山崎くん…」
山岸は元気のない表情で応えた。
「振られたんだね…」
「違う、あれは間違えて」
「ハハハ…私こういうこと知ってるよ、キープって言うんでしょ?」
「っ!?だから違うと」
聡志は必死に誤解を解こうとする。
が、
「無理な言い訳すぎるよ…」
「なっ!?」
山岸の目が涙が溢れる。
「……さようなら」
「あ、…」
手を伸ばしても届かない。霧のように掴んだと思っても何も掴めていない。
「山岸さーーーん!!!!!」
後ろから凄く大きな声がした。その発声主はある男の襟をつかんで、物凄い勢いで走ってくる。
「っ、…?」
俺から以外の声に山岸は反応して振り返った。
そしてそのまま、走ってきた男、久保は成瀬を地面に倒して、自身も土下座をした。
「すみませんでした!!!」
「うぇ、え、なに?」
山岸は涙を流したまま困惑したように尋ねる。
「あ、あの神咲さんをラインで呼び出したのはコイツで聡志の意志じゃないんです」
「は、は?」
「おい!それは誤解だ!俺はお前、、うんお前が山岸か?」
「はい…」
「じゃあ、お前にラインをしてやろうとしたんだぞ?ただ、お前のラインがわからんから適当に女子っぽそうなラインに送ったら、副会長に送ってたっわけだ。まあ、気にすんな、人間誰しもミスをするさ。じゃあこれでーー」
「行かせるわけないよ」
久保は俺の腕をガシッと摑んで離さない。
「ほ、本当なの…」
「そうだ。すまない、誤解をかけさせてしまって」
「………」
「その、さ。山岸、こんな誤解を招いて申し訳なかったんだが、付き合ってくれないか?」
聡志は頭を掻きながら照れ臭そうに告白をした。
少しの沈黙の後、山岸は聡志に背を向けた。そして、数歩歩いて少しだけ振り返る。
「……千代だからね」
「ッ!!ああ、千代」
「よろしくね聡志くん」
二人の甘い雰囲気は
(なんか腹立つ)
久保の嫉妬を生んだ
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