第21話
「よーす、」
俺は今日も元気良く、登校する。
「おはよう成瀬、昨日は酷かったね」
「そうか?我ながら妙案を考えたものだよ」
「は、ハハハ、そうだね」
久保は苦笑いを浮かべる。
「あ、朱里、おはよう」
「おはよう」
「よっす」
「……っ!お、おはよ」
朱里は何故か俺の顔を見るとビクついて、目を合わせない。
「??どうかしたのか?」
「い、いや、何でも…」
俺は必死に目を合わせようとするが、全く合わない。
「いや、お前なんかおかしいぞ?」
俺は朱里の肩を掴んでまじまじと見る。朱里はチラッとだけ目を合わせて直ぐにそむけた。少し顔を赤らめて
「あ、眼帯してねぇーじゃん」
「……あ、」
朱里は直ぐにポケットから眼帯を取り出して、付けた。
「ふふふ、暗黒に変わる世界を…」
「いつもと逆だぞ?」
「え、あ、…ん///」
朱里はまた直ぐに外して、反対の方へつけた。そして、何故か逃げるのように自分の席へと向かった。
朱里のやつ本当にどうしたんだ?
「ーーー、ーーじゃあ、今日はここまで。予習はしておくんだぞ〜」
歴史科の教師の眠い授業も終わってようやく昼休み。
俺はゆっくりと立ち上がって久保の席に行く。
「昼どうする?屋上でも行くか?」
「そうだね。聡志に連絡しとくよ」
「サンキュー」
俺はクルッと踵を返して、朱里の方へ向く。
「なあ、朱ーー」
「水樹さんですよね!うわ〜!やっぱり美人だ!」
「そうだよね!あ、俺岸田って言います!」
「おいずるいぞ!俺は西岡です、よろしくおねがいします」
俺が朱里を呼ぼうとしたが、昨日の天女祭のせいか朱里の周りに沢山の人が集まっていた。
「あ、えっ、その…」
朱里は急に来た人の対応で頭が混乱している。
「あはは、無理そうだね」
「……だな」
仕方なく俺と久保はお弁当を持って教室を出る。出る前に、朱里が助けて欲しそうな顔をしていたので、俺は親指を立てて返しておいた。その時の絶望した朱里の表情は忘れなれない。
「うわ、凄い人だね」
「まじか…」
やはり昨日の天女祭の影響なのか、七大天使に選ばれた生徒がいるどの教室も同じように込み入っている。
俺達はその間を押しのけるように屋上へと向かった。
「よお、聡志。いつぶりだ?」
「会って話すは一昨日ぶりだな」
聡志は先に屋上にいて、屋上のベンチに座っていた。
「朱里は?」
「ああ〜、天女祭の影響」
「なるほどな、そういやうちのクラスでもなってたな」
聡志のクラスのやつといえば……副会長か。うげぇ、家庭教師のこと思い出した…
「どうしたんだ?」
「ん……深刻な問題でちょっと」
「なら平気か」
聡志はそう言ってお弁当を広げる。俺も隣に座ってお弁当を広げた。
俺はお弁当の蓋を開けて………あれ?
ないぞ!?ない!ない!?
「成瀬何そのお弁当?」
「知ねぇーよ!!あの野郎入れるの忘れやがったな!ちっ、仕方ねぇ。購買行ってくるわ!」
そう言って、俺は全力疾走をして屋上を出た。
「相変わらずだな」
「…だね」
久保と聡志はそれを呆然と見つめて、お弁当を食べ始めた。
「そういや、テストどうだった?」
「いつも通りだな、」
「げっ、いつも通りってことは2位なんだ」
「ああ、どうしても敵わん」
聡志はそう言って悔しそうにする。
「合計いくらだったの?」
「773。あいつは795だったけどな」
「はぁ〜、もうついていけない領域だわ〜。僕の2倍以上あるじゃん」
773点って1教科につき二問ミス以内くらいでしょ?というかもう逆に何をミスったの?ってレベルじゃん。ちなみにあいつっていのは副会長のことね?
「なあ、昇利*」 *久保昇利だよ?覚えてるよね?
「ん?」
「付き合ったことあるか?」
「いや、ないけど…。なんでそんな質…え?」
「いや、何でもない」
聡志はお弁当を再び食べ始める。が、そんなことを久保が許すわけでもなく、聡志の両肩を掴んだ。
「ちょ〜っと、お話を聞かせてくれるかな?」
「いや、まあ、その、なんだ」
「ほうほう!」
久保はじっと聡志を睨む。というか圧が凄い。聡志はしどろもどろに
「告、白された…」
久保は空を見上げて物凄い「えぇー!」を叫んだ。
「久保がおかしい」
購買から戻ってきた成瀬は異常な光景にポツリと言葉を漏らした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます