第18話
「あれ?成瀬は?」
僕はいつもいる成瀬がいないことに疑問をもつ。
「まさか、ダークジェノサイドによって連れ去られたのか!?助けに行かなくては!!」
朱里はそう言って体育館を出ようとする
「いや、大丈夫でしょ。成瀬のことなんだし」
「ダメだ。ダークジェネラルは危険な組織なのだ!」
「ダークジェノサイドでしょ…」
「あ、しまった…」
いつもそういうことは言い間違えない朱里が珍しく設定を間違えた。
「と、取り敢えず、た、助けに行かないと……」
「ちょっと待って」
僕は直ぐに出ていこうとする朱里を静止する。
「なんか、焦ってない?」
「……っ!?い、いや、あせってないけど?」
「いつもと口調が違うけど?」
「い、いや…その、なんだ、えーっと」
明らかに朱里の様子が変だ。それにしても何で体育館から逃げたいんだ?
「………あ、」
「ギクッ!」
僕はあることに気づくと、朱里はそろりそろりと、足音を立てずに出ていこうする。そこに僕は肩を持って静止させる。
「天女祭」
「あ、あ、あ、て、天女祭、あったね〜そんなの…」
朱里は今思い出したかのように振る舞うが、バレている。もう口調が普通になっている
「さぁ、いくよ。どうせ選ばれるでしょ」
「わ、我はダークソウル団に攫われた成瀬を…」
「はいはい…あ、眼帯は取っときなよ」
「我が魔眼を解放せよと!?世界が破滅するぞ!」
「はいはい…じゃあ着けときなよ」
そう言って、僕は朱里の襟を引っ張って体育館の席に座らせた。
案の定朱里は七大天使の一人として選ばれて前の席へと移った。
(本当に成瀬はどこにいったんだ?まさか、帰った?ありえるな……)
「告白祭、開幕〜!!」
その声と共に歓声が一気に湧く。
ここで告白できる人ってすごいよな…僕にはできないや
「ではお願いします、咲夜成瀬!」
「え、成瀬?」
成瀬はマイクを持ちながらやって来る。嘘でしょ!?成瀬が最初に誰かに告るの!?誰だ……?
「僕が告白する相手は1年の時、初めて会った人です。人付合いが悪く、それでも可愛いところに惹かれました。その人がいると面白く、毎日が飽きません」
………まさか、朱里!?1年の時に初めて会った、人付合いが悪い、可愛い……朱里しかありえないじゃん!
成瀬が朱里に!?全然分からなかった…意外と気付かないもんなんだね、
あれ……これもし振られたらどうなるんだ?
一緒に居にくいよね……ま、まあ成瀬だし大丈夫でしょ、多分。
「その人の名はーー」
「ではお願いします、咲夜成瀬!」
「……え、」
私はその名前を聞いて驚いた。さっきまでいなかったのはこういうことなのかとようやく分かった。でも何故かチクと刺された感じがした。
成瀬が途中チラリとこちらを見てきたのでこんどは何故か胸がドキッとした。そして、胸の奥がむず痒くなった。
そして、成瀬の話が始まった。
「僕が告白する相手は1年の時、初めて会った人です。人付合いが悪く、それでも可愛いところに惹かれました。その人がいると面白く、毎日が飽きません」
(………私のこと!?)
そう気付いたとき、胸の奥のむず痒さが取れた。逆にただ、心臓がはち切れそうなほどドキドキなっているのが分かる。顔も熱があるのではないかと疑う程、熱い。今はもう、成瀬の顔は見れない……
「その人の名はーー」
驚いたな、まさか成瀬が告白祭での最初の発言者になるとは…
「僕が告白する相手は1年の時、初めて会った人です。人付合いが悪く、それでも可愛いところに惹かれました。その人がいると面白く、毎日が飽きません」
ほう、この話を聞く限り成瀬がゲイじゃない限り候補は二人だな。
まあ、成瀬の性格を考えると確実にあっちだな。俺はその人の方を見る。さもどうでも良さげに腕を組んでいる。
(それにしても、その言い方は良くなかったじゃないか?成瀬…)
俺は朱里の方を見ると、顔を真っ赤にして俯いている朱里が見えた。
はぁ、鈍感なのは良いが、少しは周りに気をつけろよ……
「山崎くんは咲夜くんの友達だよね?誰か想像つくの?」
隣の席の山岸が尋ねてくる。
「まあ、おそらく」
「誰?」
俺はそっと耳打ちをする。山岸は驚いて、その人の方を見た。
山岸は嘘でしょ?という顔をしていたが俺は成瀬の方を見た。
「その人の名はーー」
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