第16話
学校の体育館に特別会場が設置される。午前の授業が終わると生徒達は強制的に体育館に集められた。1年生は訳もわからない様子。23年生は内容を理解して、凄く楽しみにしている。特に男子が…
「レディース&ジェントルマン、ようこそおいでくださいました!司会はこの私福原勉が務めさせて頂きます。では告白祭実行委員である日比野からの開会宣言です」
日比野がステージの真ん中に立つと、スポットライトを当てられる。
「これより、第46回天女祭の開幕だ〜〜!!」
日比野が叫ぶと同時に歓声がどっと湧く。
その舞台の裏で
「おい!約束がちげぇぞ!!なんだよ!告白の最初の人って!」
「しーっ、静かにしてくだされ!声だけ、声だけは抑えてくだされ、咲夜氏!」
春日部が口に手を当てて注意してくる。
なぜこんなに怒っているのかと言うと、俺は警備員をやらされるのではなく、まさかの天女祭のうちの一つである告白祭で最初に誰かに告白しなければならなくなったからなのである。
「なんでそんなことしなきゃならねぇんだよ!」
「例年、最初にする人がいなくて微妙な空気になってしまうんですー」
「生徒会の奴らがやれば良いだろ!」
「去年日比野氏がやってプライドをズタボロにされたのだ!もう怖くてできない!」
そんなことを言って春日部はブルブルと震えた。
「じゃあ何で俺なんだよ!」
「入学式を滅茶苦茶にした罰としてやらせれば良いと姫沢氏が」
「あの女狐めぇ〜!というか女子禁制なんじゃなかったのかよ!」
「アドバイスを頂いただけなので…あっ!七大天女が発表されますぞ!」
そう言って、春日部は舞台袖に走る。俺も一応気になるので見にいく。
「お待たせしました〜!千夜一夜学園、七大天使の発表に移りたいと思います!」
男子は歓声を更にあげる。女子にとっては最悪な祭だよな…
「では、一人目の発表です」
福原が言うと、体育館の電気が消される。
「生徒会長選挙で同じSRクラスの超エリートである金星如月を圧倒的可愛さだけで男子票を全て集め当選、キラキラとした金髪のツインテールはどの男子をも魅了する!3年生徒会会長、姫沢唯〜〜!!」
スポットライトが中心に当てられその先に姫沢会長がポーズを決める。よくそんなポーズを決めれるなぁ…度胸が凄いわ女狐は。
歓声は盛大に湧き、それは耳を塞いでもまだ聞こえるくらい大きい。男の声はいらんな…
「続いての発表に移りたいと思います」
福原の合図と共にスポットライトは消されて再び真っ暗になる。
「これまたSRクラスの才女!成績は流石のオール5!ゆるっとしたピンクの髪はチャーミング!真面目で優しく、誰からも頼られるクラスの中心的リーダー!そして、我が生徒会の副会長を務める、2年神咲詩乃〜〜!!!」
ぱっとスポットライトが当てられて、神咲は緊張で苦笑いをしながら手を振っている。
まぁ、媚びを売るべきNO.1はやっぱり選ばれるよな〜
「さあ、歓声はそれほどに。続きましては……おっとここで生徒会メンバーはこのお二人ということで残りはあなた方の誰かです!スポットライトがその人に当たりますので選ばれた方は速やかに壇上まで上がってきてください。それでは発表に移りたいと思います!」
「学校は集会所、教師は鬱陶しいハエ。この学園にもヤンキーは存在している!黒い艶めく髪、大きな目、小さい口。全てパーフェクト!彼女が睨むと恐怖と可愛さで気を失ってしまう!僕も一度で良いから睨まれたい!2年黒崎凜香〜〜!!」
凜香の席にスポットライトが当てられて、凜香は鬱陶しそうに前を睨む。
「え〜、凜香さん、だ、壇上へ…」
「…っち」
凜香は舌打ちをして壇上へ向かう。流石ヤンキー。というかアイツ可愛いけどまさか七大…に選ばれてたんだな…
「え〜、続いての発表です!家庭的な女子は好きですか?彼女の作る料理はプロも認める美味しさ!シェフ・パティシエクラスの最強美女!一度で良いから彼女の料理をあーんされたい!2年君垣久美!!」
スポットライトを当てられた君垣は友達に抱きつかれるのを落ち着かせてから、壇上へ向かった。
「君垣久美………知らん」
舞台袖から顔を見ても全く知らない人だ。
「なにゆえ!?去年の七大天使にも選ばれたのですぞ?」
「知らん、というか去年は誰だったんだよ」
「2年は今の三人と……」
「続いて参りましょう。1年生も知っているであろうあの入学式!突如乱入してきた4人組の内の一人!ショートヘアーで片目には眼帯!おっと皆まで言うな!吾は天から降りた
「え、まさか…」
凄く見聞きに覚えのある出来事と特徴が思い浮かぶ。
「2年水樹朱里!!」
「嘘だろ……」
いや、確かに朱里は美人だとは思うけど……
「なぁ、こういうのに選ばれたら結構人気になったりするんじゃねぇの?」
普通男子から言い寄られたり、女子からは嫉妬とかされたりするはずだ。ただ、朱里の場合は…俺らしか友達がいない気がするんだが…
「ああ、それはですな、水樹氏が吾々と同じくコミュ障であってな、それでもって厨二病であったから誰も寄り付かなくなってのですぞ」
「うーん、それもそうだな」
「友達なら少しは否定した方が良かったですぞ…」
いや、100%そうだからな。まあ、そのお陰で仲良くなれたんだから良しとしよう。
朱里は自前のコミュ障を発揮して、ガチガチに緊張していた。
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