第15話



「今日はなんの御用で?言っておくけど悪いことは……うん多分してないぞ?」


椅子に座らされた俺は正直に話す。


なぜこんな状況にあるのかというと朝登校すると急に生徒会のメンバーに拉致られたのだ。確か名前は……日比野だったけな?後は春日部と福原だったよな?


「今回は生徒会であるにはあるんだが、ないっちゃないのだよ、咲夜くん」


眼鏡をかけたざインテリ系の日比野は指を組んで口を割る。


「ん?そう言えばゆいっちがいねぇーな」

「ゆいっち……ああ、姫沢会長のことか。これは女子禁制だからな…てかなんでそんなに会長と仲が良いのだ?」

「え?だって中学時あいつが会長で俺が副会長だったんだぞ?」


まあ、俺は半ば強制的にさせられたんだけどな


「おお、カオスだな。学校潰れてないだろうな?」

「流石に大丈夫だわ。1週間くらいしてからリコール運動が始まってたけどな」

「……全然大丈夫じゃないな」


ちょいちょいコイツ酷いな。俺やゆいっちのことを何だと思ってるんだ?


「……日比野氏、そろそろ例の件を」

「おお、そうだな。え〜咲夜くん。あなたに記念すべき今日の天女祭の警備員に任命します」

「お断りします」

「なんで!?」


俺が即答すると日比野は眼鏡がズレるほど驚く。


「いや、なんか面倒くさそう」

「いや、面倒くさくない!逆にラッキーなんだぞ!?天女祭で選ばれた女子に一番近く、長くいられるんだぞ?」

「いや、そもそも天女祭ってなんだ?」

「そこから!?」


いや、だって俺、過去は振り返らないタイプですから


「僕から説明するよ」

「福原、頼む」


比較的平凡な顔つきのざモブキャラ、の福原が前に出てくる。


「天女祭は去年も開催したんだけど、学校の七大天使を発表する&公開告白をする祭だよ」

「なんだよ、七大天使って?」

「この学校で容姿だけ、ここ重要ね、容姿だけ、容姿だけを見て7人の美女を発表するんだよ。で、なんか名前がないかな〜?ってことで先代の人がつけたんだよ」

「1年は?一昨日に入学したばっかだから2、3年だけ?」

「ノンノン」


俺が質問すると、福原は指を横に振る


「入学の時の提出書類から候補を挙げ、登校日などに確認、再度入学式のときにも確認をしてしっかりと入れているよ」

「ふ〜ん」


「あ、しっかりと個人の好みとかではなく公平にジャッジはしているよ。で、どうかな?警備員やってくれない?」

「天女祭はわかったけどなんで俺が警備員なんかしなきゃならねぇんだよ」

「それはね」


福原は俺に背を向けて歩き出す。何溜めてんだよ


「君は正直、天女祭に興味ないでしょ?」

「イエス」

「だからだよ」


福原は俺を指さしてカッコよく言う。日比野がなんか羨ましそうに見ているのはおいといて……


「例年警備員がこれみよがしに全員のアドレスと交換しようとして問題になってるんだよ。だけど咲夜くんなら大丈夫だと思うんだ」

「ヨーシオレモコウカンシヨウ」

「じゃあ警備員が向いてるよ。なんて言ったって、一番近いからね。じゃあよろしくね」


そう言って、福原と日比野と春日部は生徒会室から出ていく。


くっそッ!どっちみちやらされる運命だったのかよ


「あ〜だるー」


俺はゆっくりと椅子から立ち上がって生徒会室を出る。その途端にチャイムがなった。


「あ〜もう!遅刻じゃねぇか!!」







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