第13話


「なー君、この点数は何?」 


母さんがテストの結果票を見せてきて言う。


「百点だろ〜!凄いだろ〜!」

「…………」


俺は自慢をするが、母さんはニコニコしたまま黙っている。うん、俺の危険信号がビービーうるさく鳴り響いている。俺は直ぐに態度を変えた。


「あの、これは、その〜、一昨日パーティーなんかしたせいで……勉強が……」

「春休みあったよね?」

「うっ……それは〜、その〜、え〜、エヘヘ」


俺は人差し指をスリスリしながらはにかむ。


「塾行けば?」


ソファでゆっくりしている真奈が提案する


「自慢じゃないが、どの塾も出禁だから無理なのさ!」

「本当に、自慢じゃないね……」

「なー君?」


「あ、えーっと、だから、その……」

「なー君がどの塾も出禁なのは知ってるの。だからこの3つの選択肢から決めてね」


母さんは指を三本たてて言った。


「まずは神社に預けて、しっかりと精神を養ってもらう」

「それにしよ!」


1つ目を提示した時点で真奈が叫んだ。目がキラキラとしている。


「嫌だわ!!坊主とかモテないわ!」

「嫌なのそこなんだ……」


真奈はジト目で見てくるが、これだけは譲れない。


「はい、次はこう君の実験に手伝うこと」

「勉強関係なくね!?それにあいつの実験を手伝うとか絶対嫌だし!!」


あんな何を研究してるのかよくわからない父親の実験なんかしたら体がいくつあっても足りない。


「そう?じゃあ3つ目は、家庭教師を雇うこと」

「………ふつーにヤダ」

「だめ〜!どれか一つ選んで!」

「ん………あいつの実験はなしとして、後の2つか……」


家庭教師を雇うと、その時間は必ず勉強しなければならない。そうなると遊べる時間が減る。無理だな。


神社だと…まあ、お経唱えて、……?なんかすることあるのか?そう言えば最近だと坊主じゃない坊さんもいるよな?というかこの家から出ていけば勉強しろとか言われないんじゃね?


「決めた!神社に行く!」 

「そう、じゃあ今から連絡するね」


と、母さんは言って、携帯を取る。そう言えば坊さんとの知り合いがいるんだよな〜?人脈どうなってるんだ?


母さんは電話番号を入力して、電話をかける直前に止まった。


「ん?どうしたん?」

「………やっぱりダメ」

「え?」

「なー君がいないなんて考えられない〜!家庭教師にしよ」

「え〜〜っ!」


そう言うとすぐに、母さんは電話番号を打ち直して、電話をかける。


そして、何やら話した後、電話を切った。


「募集したからすぐに見つかると思うわ」

「約束がちが〜〜う!!」


俺は心の底から叫んだ。







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