第12話
「じゃあテストを返却する」
松永先生がテスト用紙をトントンとして言う。
今回は各教科の先生がテストを返却するのではなく、担任が一気に返すようだ。
てか、採点はやくね!?昨日の今日だぞ?
「咲夜成瀬」
13番目に俺の名前が呼ばれて立ち上がる。
「お前……」
松永先生はそう言うとニッコリと微笑んだ。
来た!!これは良い点数の予感!
テストが返ってきて俺は点数を見る。
「どうだった?」
席に戻る途中で久保が声をかけてくる。俺はVピースをする。
「え!何点!」
「ふふふ、100点だ!」
「は!?めっちゃ凄いじゃん!え、なんで?勉強してなかったんじゃないの?」
「ハハハッー!天才だからな、俺は!で、お前はどうだったんだ?」
「んーと、どの教科?」
久保はテストを見ながら答える。
「そりゃあ合計だろ」
「合計は……ん?成瀬の100点てもしかして……」
「合計に決まってるだろ」
俺はキリッと目を光らせる。
「え?今回のテストって8科目だよね?」
「当たり前なこと言うなよ」
コミュニケーション英語、英語表現、現代文、古典、数学Ⅰ, ll, A, Bの8個だ。うちは進学校であるため1年の段階で数ll.Bの範囲まで終わってしまう。
「ん?だよね?それってさ800満点だよね?」
「そりゃあそうだ」
久保の顔が固まる。どうしたんだ?
「……あのさ、大丈夫なの?」
「何が?」
「赤点じゃない?」
「ハハハッ!当たり前だろ、今更何言ってるんだよ」
またもや久保は顔が固まって、そして大きな溜息を吐いた。
「ヤバいよ、進級できるの?そんなんで……」
「はあ!?じゃあそういうお前はどうなんだよ!」
「313点」
「平均のちょっと下じゃねぇーか!!」
「ちょっと傷つくこと言わないで!」
「お前らうるさい!」
騒いでいると松永先生に怒られてしまった。
「次、水樹朱里」
「は、はい!」
朱里はガチガチに緊張して立ち上がる。そう言えば今回のテストで点数悪かったら塾に入れられるんだっけ?
朱里は同じ手と足を出して歩いて、松永先生の元にたどり着く。先生も若干呆れている。
そして、テストを貰い受けとり、点数を見るとその場で魂が抜けてしまった。
先生は苦笑いをしながら、「次、頑張れよ」と肩を叩いていた。
俺はこっそりと朱里に近づいて点数を見る。
「ぎゃあああ!!!1点負けた!!!」
その瞬間クラス中が朱里の合計点数が101点であることがバレた。
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