第9話




「じゃあ、彩ちゃん、真奈ちゃん、千夜一学園入学おめでとぉ〜〜♪カンパーイ!」

「おめでとう!」

「ハハハ、ありがとうございます…」


俺の両親はクラッカー鳴らしたりとか楽しそうにしているが、それ以外は微妙な反応だ。一応ぎこちなくチンと音を立ててグラスを交わす。


テスト当日に終わった記念、合格発表日に合格したお祝い記念、卒業記念。このお祝いはここ最近でもう4回目だ。


本当によくそのテンションでお祝いできるよ……


「ここで、祝辞を述べたいと思います!」


父さんは立ち上がる。


「えー、私咲夜小路、一読んでこうちゃんはーーー、ーーー」

「クラスはどうだったんだ?」


父さんを無視して尋ねる。まあ父さんの話を聞いているのは母さんだけで十分だ。


「一緒だった」

「へぇ〜良かったじゃねぇか」

「2分の1の確率が」


「成瀬さんは?」

「んー、喜ばしいことに凜香とは同じにはならず、仲良い連中と同じになった、所謂神クラス……痛い痛い、そんなところ抓らないで」


凜香の無言の抓りは滅茶苦茶痛い。爪が立ってもん。 


「ーーーこうして我が馬鹿息子、成瀬が生まれたというわけです。ーーー」

「あいつの口ホッチキスで止めてやろうかな」

「やめとけ、事実だからしょうがないでしょ」

「はあ?凛香も俺と同類なんだからな!」


((馬鹿は認めるんだ……))


「はあ?同類なわけないでしょ!」

「あ、そうだな。俺の方が完全に勝ってるもんな」

「んなわけないでしょ!私の方よ!」

「いーや、俺だな」

「私!」

「俺!」

「「むぐぐぐ、、」」


俺と凛香は互いに睨み付ける。


「「どっちの方が勝ってるっ!?」」


俺と凛香は同時に妹の方を見る。


「え、えーっと」

「そ、そりゃ、、、?」


二人は気まずそうに視線を反らす。


「いいんだぞ素直に俺っていって」

「いや、私でしょ。普通に考えて」

「はあ?普通に考えとら俺だろ」

「あんたは客観視してみなさいよ」

「はあ?………イケメンで頭のいい、天才肌で性格もよし」

「よくそんな虚言が言えるわね」

「全部事実だ!そういうお前こそどうなんだよ!?」

「美人で、性格よし、運動神経抜群」

「凛香だって似たようなこといってるじゃねぇーか!」

「はあ?だって事実だし」

「どこが性格いいんだよ!!バリクソヤンキーじゃねぇーか!」

「はあ?あんただって入学式あんなことをしたくせに性格がいいわけないでしょ!」

「なんだと?」

「やるの?」


俺と凛香の間に火花が飛び散る。


「どっちもどっちだよ!あんたらは!」


パン!パン!と気持ちのいい音が響いた後に怒鳴り声が聞こえる。おばさんがハリセンで俺と凛香の頭を叩いたのだ。


「こんな下らないことで喧嘩するような馬鹿は同類よ……ほんと、妹を見習って欲しいわ。なんで上の子はこんなんになるのかね?」


おばさんはさんざん怒鳴った後、俺と凛香を妹と比べて卑下してくる。


「いや、真奈と比べて俺は、、、」


真奈=URクラス

彩ちゃん=URクラス

俺=NRクラス

凛香=NRクラス


「…………負けた」


俺は膝から崩れ落ちた。確実におれは妹よりも劣っている。勝てるところがない。まあ、真奈は神的存在だからな。しかたない。可愛いし。







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