第8話
「あ、成瀬さん」
「よっす」
部屋に入ると凜香の妹の彩ちゃんが真奈とテレビゲームをしている。
「成瀬さんはいつも通りでしたね…」
彩ちゃんは視線はテレビに向かいながら言った。
「いやどこがだよ!鬘被ってたんだぞ!」
「………そういうところですよ」
「???」
彩ちゃんの返答に心当たりが思い浮かばず混乱する。
「あ、それと大丈夫でした?」
「ん?何が?」
「蹴られましたよね?お姉ちゃんに」
「………あ〜〜、あ!そうだ、あいつに蹴られたんだ」
「忘れてたんですか……」
彩ちゃんは微妙な顔をする。やだ、そんなに見つめないで
「ちっ、思い出したら腹立ってきたな。凜香のやろう今からぶちのめしてーー」
「私に何をするって?」
「いや、だからぶちのめ、し、………」
俺口は途中で開いたまま塞がらない。なんてったってそこに俺を蹴った張本人の黒瀬凜香が俺を睨んでいたからだ。蛇に睨まれた蛙。いや、虎に睨まれたウサギの気分である。……ん?あんまり例えが変わってないって?知らん。いい言葉がおもいつかんかったんやー。
「いやー、凜香の姉御さん?いや、まあ別嬪さんやね〜。ほいでしっとるかいね?あそこの牛丼屋さんが安いは旨いはで万々歳やで〜!」
「あんたさっきから何言ってるの?」
「関西のおばちゃんのマネ」
「…………」
おっとそんなに蔑んだ目で見ないで〜。まあ、注意をそらせたからいっか。
「そろそろ飯にするから運んで」
台所から出てきたおばさんがぶっきら棒に言ってくる。
「お構いなく〜」
「運べって言ってんの」
おばさんに頭を片手で鷲掴みされる。あれ?頭からミシミシ音がする……
「痛い痛い痛い!ギブギブっ!」
ようやく離して貰え俺は頭を抑える。
「これだから元ヤンは」
「何かいった?」
おばさんはニッコリと笑って俺に顔をちかづけてくる。うわ〜元ヤンの笑顔ってこんなに怖いんだ〜
「なんでもないです〜」
俺はすぐに立ち上がって食器を並び始める。
ピンポーン
「あ、美子達ね」
おばさんは立ち上がって玄関へ向かった。
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