第6話
「ふぇ〜〜、疲れた」
あの後、朱里がお嫁に行けないだのなんだの言って挙句の果てにお前を我が大魔法で記憶を消してやるとか言って追いかけられて大変だった。
ようやく家について俺は門をくぐる。
(顔認証をします)
家の扉の前につくと、カメラが出てきて顔認証を始める。まあ、所謂防犯のためだ。
ん?何故防犯かって?
そりゃあ俺んちが金持ちだからに決まってるだろ。
親父は………なんかの会社の社長で母さんは芸能界関係の会社の社長。な?凄いだろ?
(顔認証失敗、あなた誰ですか?)
「はぁ!?この家の息子だよ!!」
俺はカメラを摑んで引き千切ろうとする。
(………この知能レベルの低さは咲夜成瀬ですね。防犯システムを作動します)
「何でだよ!!早く開けろよ!」
俺は扉を開けようとするが、
ビリビリッ
「痛ぁっ!!」
ドアのとってから電流が流れた。
「おい!なんだよこのシステム!?おいさっさと開けろよ!!」
俺は何度もドアを開けようとするが、そのたびに電流が流れる。
(あ、真奈様がもう少しで帰って来ますね。扉を開けます)
数秒後、妹の真奈が門をくぐってきた。そして、いつの間にか扉の鍵は空いていて、電流も流れなくなっていた。
…………なんだよ!この扱いの差は!!!
「お兄ぃ、ちょっといい?」
あの後、俺が部屋に閉じこもって布団にくるまっていると扉をノックする音がした。
「いいぞ~」
ガチャリと扉が開く音がする。
「どうした?夜這いにでも来たか?あ、今はおやつ時だからおや這いか?」
………ん?反応がないぞ?いつもなら違うって言ってくるのに…
俺は布団から顔を出す。そして、妹の真奈の顔を見た瞬間に顔を布団に引っ込めた。
鬼がいる!!
真奈は笑顔でいるんだ。笑顔がているはずなのに……なんかゴゴゴの雰囲気が凄い。
絶対怒りを笑顔で取り繕ってるよね!?
「お兄ぃ」
「は、はい?」
俺は恐る恐る聞き返した。
「パフェね」
静かに、それでも凄みのある声で真奈は言い放った。
「ど、どこの?」
「甘王屋のジャンボパフェ」
「ぐはっ!」
甘王屋とは高級なスイーツ専門店で、パフェ一つで1万を超えるのもある。
それをジャンボって……最近散財が多い気がする。
しかし、おそらく入学式を台無しにしたことだと思うので、俺はただただ頷くことしかできなかった。
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