第3話 お家に帰りたい
ここは日本随一の高偏差値を誇る名門高校の成績優秀者が集められた教室であるはずだよな?
☆★☆
少しの期待と緊張に胸を包みながら、俺は1組の戸を開ける。
ガラガラという少し古風な音がたつ。
教室の前の方の扉は自動ドアだが、こっちのほうがなんか学園感がするからこちらを選んだ。
これからどの様な、俺の学園ストーリーが始まるのだろう。
思ったよりも平凡な学校の教室。
普通と違うといえば、黒板が電子黒板で、机が巨大な液タブみたいな点だけだ。
いや、机の上にタブレットを貼り付けたみたいな?とにかくそんなところ以外は普通だった。
普通でないと言うなら...‥‥‥‥‥一人の美少女(傾国の美女に近い)が美しい寝顔を晒して寝ていて、その後ろに夢しか溢れない可憐なメイドさんがいること。
そして一人のまたしても美少女が真剣な顔をして食い入るようにスケッチブックに落書きをしていること。
そして‥‥‥‥‥‥‥‥‥約3名が机を分解・解体・破壊していることだけだ。
…いやなぜ
なぜ学校にメイドさんがいるの?
なぜあの三人は喜々とした顔で机という学び舎に用意してある数少ない勉強用具を破壊(解体)しているんだ?
それに、なぜ俺は今猫耳のカチューシャを付けた袴姿の美少年に間近で体中をまるで舐め回すように見られているのだろうか?
「えっと、おはよう。君は誰かな?」
俺は勇気を振り絞って、できるだけ自然に聞こえるように言葉を振り絞る。
「はいはーい、ぼくは
聞いてもいないのに、机の破壊(分解)活動を行っていた少女のうちの一人が手に持っていたドライバーを黒板の方に投げながら手を振って言う。
「うん、とりあえず物を投げるのは良くないよ、やめようね。」
何からツッコめばいいかわからず、平凡なことを当たり障りなく言う。
投げて誰かに当たったら大変だろう。
「あー、確かに?注意してくれてありがとうね。さあさあミシェル、僕のお手々に帰ってきなさい」
意外と物わかりがよく、心根も真っ直ぐなようでお礼を言ってくる。
うん、悪い気分はしない。
そう言って少女はなぜかずっと眠っていたメイドさんを付けたお嬢様(推定)の方へと歩み寄る。
よく見ればお嬢様はなぜか少女が投げたドライバー(ミシェル)を手に持っていた。
…もしかして少女が投げたドライバー(ミシェル)をキャッチしたのかな?
寝ていた状態で?
ん?
んんんーーー?
天才かな?
そういえばあのお嬢様は入学式のときにスピーチをしていた人かな?
つまりは入試で主席をとったあの世紀の天才少女?
ならいいや(思考放棄)
そう考えてる空きに、少女もとい中村はドライバーをお嬢様の手から奪い取っていた。
そしてメイドさんに頭を撫でられていた。
うん、何故?
メイドさん、何してんの?
メイドさんは満足したように中村を撫でていた手をおろして、またお嬢様の後ろに凛と立っていた。
...‥‥‥‥‥見なかったことにしよ
そうやっているうちに、また一人、また一人と教室に人が入ってくる。
一人は手ぶらの少女。
一人は中性的な風貌をした少女?少年?
もう一人は...............右目に眼帯をかけ、魔法の杖らしき宝石のついた木の棒を持った魔女帽を被った少女。
スッ...............Are they highschool students?
This is a high school, right?(真顔)
どうしよう。
帰ろっかな。
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