戦場の乙女達
俺は今、れーこさんに連れられてカフェにいる。喫茶店じゃない。カフェだ。ケーキバイキングとやらに参戦させられている。
俺は冷たいものを食うと腹を下すんだってましてやこの季節。なんて負け戦をしてからの参戦だ。
鬼気迫るご婦人方を見送って俺は注文したホットココアを流し込む。
あ、ここのココアうまい。ケーキを作っている店のココアはおいしいのかな。
そんな事を考えていると1次戦を突破してれーこさんが帰ってきた。
「かかくん。本当に食べないのかしら?」
俺が頷くと奥に行ってみると面白いかもしれないわよと彼女は囁いた。耳っ! こそばゆい!!
好奇心は猫を~って言うしおいしいココアだけで満足だった。だがそれはれーこさんにとっては満足では無かった様である程度食べ終わると俺はケーキ遠征に強制参戦となった。
彼女に連れられて
「クレープ?」
丸いプレートで焼かれる生地、挟まれるのは果物やホイップクリーム。そんなスイーツ。そんなものの横にはスイーツとは少し離れたものもあった。
「ホットスナック。あ、ウィンナとかあるんだ」
そうなのだ。骨なしチキンやウィンナ、ポテトなどが少量だが置かれていた。温かいクレープにホットスナックを包んで食べる。ケーキバイキングの範疇からは少し外れているが。
「これならかかくんも食べられるわよね?」
「ええ。ウィンナを、ケチャップ少なめマスタード多めで」
生地がたらされあっという間に焼き上がる。注文通りウィンナとケチャップ、マスタードが乗せられ小窓から俺の手にクレープが渡った。
「席に戻る前に私はケーキを取ってくるわ。大丈夫、すぐ終わるから見ていて」
宣言通り4次戦はすぐに終わった。
狙いすましたかのようにピンポイントでケーキを取る姿はまるで戦乙女の様だった。
席に戻り彼女はケーキを俺はクレープを食べる。
ケーキの様に少し小さめのサイズではなく普通のサイズっぽい手強いクレープだった。
しかし、生地の甘さとケチャップ、マスタード、ウィンナの相性が素晴らしかった。
俺の中でウィンナと言えば茹でたウィンナだったが焼きウィンナもいいなと思った。家に帰ったら少し研究してみようと心の中にメモを取った。
れーこさんは俺の悪戦苦闘する姿を見て満足したらしく最後にアイスコーヒーで締めて会計を済ませた。
帰り際にまたダイエットしなきゃなと聞こえた気がする。
れーこさんはどんな姿になってもれーこさんだと思う。腹にそんな言葉が湧いてきたがデリカシーがないなと思ったので深い底へ沈めておいた。
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