第42話<ハッピーの行方>1
「さあ、探しに行くか~!」
「正に幸せの青い鳥探しですね」
それぞれ自転車に乗った三人は「ハッピー!」と返ってくるはずも無い返事を求めて、あてもなく近辺を探し廻る。
何分経過しても進展の無い捜索に疲れた三人は、闇雲に探すのを諦めたように一旦基地で休憩する。
「しゃーない作戦会議や!」
健太は倒れ込むように、ソファーに飛びつく。
「やはり探し方に問題が有ると思いますけどね」
慣れた様子で、ソファーの空いたスペースにハカセとチビが座る。
「探し方って?自転車じゃなくって歩いて探すんか?」
「移動方法という意味ではないですね‥‥」
更に疲れた様子で、ハカセはソファーにもたれ掛かる。
「そうや!もう一回貼り紙するか!迷い鳥探していますっみたいな」
自分の提案に自信が有るのか、健太は立ち上がりアピールするが「またですか~?この間ので紙を使い過ぎて親に怒られたばっかりですよ!」と怒りをあらわにするハカセに、健太は思わず口をつぐむ。
「アカンか~、前の時も結局連絡無かったしな‥‥」
静まり返る基地では、三人が気を紛らすようにジュースを飲む。
「けどよくよく考えると、鳥とカゴだけ盗むような泥棒なんて居ないと思いますけどね」
ハカセの呟きに「え~、泥棒以外に何が有るん~?」と健太は大袈裟に頭を抱えている。
「例えば保健所に連れて行かれたとか」
ハカセの思いつきに「ソレや~!今度こそ間違い無い!」と健太は再び立ち上がる。
「余り自信は有りませんけどね」
乗り気ではなさそうに、ハカセが座ったままでいると「いやっ!間違い無い!そこに行こう!」と健太は陽気に跳びはねて二人を急かす。
先を急ぐ健太の後ろをハカセとチビが追いかけ、三人は目的地に向かい自転車で駆け抜けて行く。
「コレか~!?何か人少ないな!」
場所も知らないまま先頭を走っていた健太は、疑うように建物を眺める。
「ここで間違い無いはずですよ」
確認した目の前の看板をハカセは指差す。
住宅地から少し離れた施設は人通りも少なく、閑散とした雰囲気を醸し出していた。
「よっしゃ!すぐに助けたるから待っとけよハッピー!」
ガレージに自転車を停めた健太は、まるで悪の巣窟に乗り込むかの如く勢いで建物の中へ進んで行く。
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