第41話<名前負け>4

「でも、それやったら飛べるようになったら問題ないんちゃう」

「まぁ、そう言われればそうですね」


あながち間違いではない健太の結論に、納得するハカセ。


「じゃあ俺達が飛べるようになるまで面倒見たるか~!」


気分の高ぶりからか大声で宣言する健太に「とりあえずは、やはり食べ物が1番ですよね」とハカセは回復方法を提案する。


「太って余計に飛べれんようになるんちゃう?」


いつもの仕返しとばかりに健太がからかう。


「それは量と食べる物次第ですよ」

「コレじゃあアカンのかな~?」


健太は不安そうに、用意していた給食のパンを取り出す。


「やはり鳥なのでミミズとかを食べるみたいですね」


図鑑を確認したハカセの意見を参考にする間も無く「まぁ大丈夫やろ!試しにやってみよう!」と健太はハッピーにパンを与えた。


「ほら!食べた食べた!」


嬉しそうに健太は手を叩くが、呆れ顔のハカセを見てチビは思わず吹き出している。


「そろそろ練習するか~!」


この日いつものように健太の号令で練習を熟した三人は、ハッピーを残し基地を離れる。

基地での定位置だったソファー上から、入っていたケージごとハッピーが居なくなったのに気付いたのは次の日の出来事だった。


「アレっ?ハッピーが居らへん?」


ソファーの前で健太が立ち止まる。


「おかしいですね‥‥、昨日帰る時はそこに居たはずですけど‥‥」


不思議そうにハカセとチビも首を傾げる。


「泥棒や!泥棒の仕業に違いない!」


異論を聴き入れる隙も無い程険しい表情で、健太は辺りを見渡す。


「泥棒はこんな所に来ないですよ」


呆れた様子でハカセは笑うが「とは言え‥‥カゴごと飛んで行くわけ無いので断言出来ないですけど、探すしかないですね」と納得した様子で言葉を付け足す。


「それにしても名前負けしてるな~、ハッピーやのに」

「僕達の団名も似たようなものですけどね、ギャングらしい事しないので」


冗談っぽく笑うハカセに「ハッピー見つかる迄は応援団じゃなくて探偵団やけどな!」と健太は笑顔を返した。

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