第40話<名前負け>3

翌日の放課後、担任に許可を得た三人は掲示板に貼り紙を開始していた。


「もうちょい右!行き過ぎ!そこじゃな~い!」

「そんなに違いないですよ」


精一杯背伸びしたハカセとチビが、健太の指示に従い位置の微調整を繰り返す。


「もうここで良いでしょう」

「ん~、じゃあOK!」


やっとの思いで張り付け終わった二人に「お前達相変わらずヒマそうやの~、次は飼い主探しけ~!」と偶然通りがかった洋介が、貼り紙をまじまじと覗き込む。


「お~!四人目の団員や!」


熱望している洋介の登場に健太は瞳を輝かすが「凝りひん奴やの~!そんなに入ってほしいけ」と洋介は面倒臭さそうに頭を掻き混ぜる。


「そんなに遠慮せんでも、いつでもウェルカムやで!」

「遠慮って、まあ考えとくわ!」


誘われるのがあながち満更でもなさそうに、洋介は笑顔で去って行く。


「さあ僕達も行きますか」


まだ洋介を快く思っていないのかハカセは二人を急かす。


「コレで飼い主も見つかるやろ!」


だが能天気な健太の予想とは裏腹に、数日経っても連絡は来なかった。


「見つけましたよ!」


待ち合わせしていた基地に駆け付けたハカセは、珍しく取り乱している。


「ハッピー良かったな~!飼い主見つかったって!」


健太は優しくケージを突き、ハッピーに語りかける。


「で、どんな人やった?」

「違いますよ!これを見て下さい」


そう言ってハカセが差し出し開いた図鑑のページには、ハッピーと全く同じ見た目の野鳥が写っていた。


「あれっ、ハッピーと同じやん、えっ‥‥どういう事?」


何度も見比べる健太の後ろでは、チビが見ずらそうに左右から覗き込む。


「要するに野鳥なので、最初から飼い主が居ないはずなんですよ」

「え~!貼り紙意味ないや~ん!」


前のめりに倒れ込む健太に「結果的に言うとそうなりますね‥‥」とハカセは冷静に止めを刺す。

先行きの見えない展開に悩んだ三人は一時黙り込む。


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