第6話 宇宙人と日常


夕陽も沈み初めて学校の屋上も暗くなってきた

宇宙人と名乗る謎の転校生蒼柳シュウヤに勘違いされた私は宇宙人って事になったまま話は進んでいた


シュウヤ「では早速地球のここ東京を案内して貰おうか とりあえず腹が減ったな 飯だ飯 腹が減っては宇宙戦争も出来んと言うからな 星宮飯を用意してくれ」

葵「え、ご飯ですか… そろそろもう時間も時間なので家に帰らないと行けなくて またでもいいですかね…?」

シュウヤ「ダメだ!俺は腹はが減った!思えば地球に来てから何も食べてないからな 今食いたい 地球の飯は美味いと聞いたぞ」


なんてわがままな人なんだ…でも怒ったら殺されそうだし どうしよう…


葵「あーじゃあ私は帰るんですけどご飯屋さんなら紹介しますよ 駅前とかにいっぱいあるんで」

シュウヤ「なんだ星宮 お前は食って行かないのか せっかく同族に会えたのだ 一緒に食おうではないか」

葵「いやー私今月ピンチで お金無いんで今日は

ちょっと大丈夫かなー…」

シュウヤ「お金?なんだそれは 飯を食う時に必要なのか?」


え、この人何言ってんの?怖い怖い怖い 本当に地球人じゃなく見えてきたよ でも見た目は人間なんだよな うわぁー これ以上関わるの怖いよ てかこんな感じで良く17年間生きてきたな…


アポロは宇宙戦争を生き抜いてきた宇宙人だ

金銭の感覚などある訳なく欲しいものは己の力で

手に入れてきた

力こそが絶対主義者なのだ


シュウヤ「お金って奴は分からんが とりあえず腹が減った まぁ細かい事は気にせずに行こうではないか ふははははは」

葵「は、はい わかりまひゅた泣」


泣く泣く圧に押された蒼柳に連行され飯屋に行く事になった

学校の正門を出ると


亜梨沙「ちょ!葵!大丈夫?」

葵「あ、亜梨沙〜泣」


正門の外で亜梨沙が心配して待って居てくれた

私にはこの時亜梨沙が女神に見えた

絶望した私に救いの手を差し伸べてくれた

マザーテレサの様な安心感である

が、しかし私は思った この二人を鉢合わせるのは非常に不味くないか?と 二人とも絶対に気が合わない気がした…


シュウヤ「ん?なんだコイツは 星宮 人間の知り合いか?」

葵「人間って… 普通に友達です…」

亜梨沙「は?なにコイツ? 初対面に向かっていきなり失礼じゃない? 今日転校してきた蒼柳君だっけ?

いきなり葵を呼び出して何する気?」

シュウヤ「お前には関係なかろう こっちの話だ 命が欲しくばささっと帰るがよい 俺は今から地球の飯を食いに行くのだ」

亜梨沙「はぁ? なにそれ 私は今から葵と帰るの! あんたと葵がどうゆう関係か知らないけど 邪魔しないでくれる? 行こっ葵!」

シュウヤ「おい、貴様 俺の言葉が聞こえなかったようだな 二度目はないぞ」

亜梨沙「なによ あんた 何様のつもり?」


二人の目から見えない火花が飛び交った

私にはその火花がバチバチとハッキリ見えていた


葵「あ、あのー! 二人共落ち着いてよ! と、とりあえず駅前にはご飯屋さんいっぱいあるから行こうよ!蒼柳君も落ち着いてさ!」


この展開はやばいと思い 二人をなんとか宥めて

駅前に向かう事にした


亜梨沙「なんなのあいつ 葵なんかされなかった大丈夫?」

葵「大丈夫大丈夫! なんか変わった人だよねぇ

はははは」

シュウヤ「何を二人でコソコソと話している

飯屋はまだか 腹が減ったぞ」

葵「あ、はい!もうすぐです!」

亜梨沙「葵あんな奴の言う事聞く事ないよ 適当に理由付けてバックれようよ 態度デカすぎでしょ」

葵「亜梨沙まぁまぁ落ち着いてよ 悪い人ではないよ! …多分」


駅までの道中気疲れして倒れそうだった

確かに亜梨沙の言う通りこんな訳の分からない転校生の言う事を聞く必要も無い

だが万が一本当に宇宙人だとしたら本当に恐ろしい事をして来そうで怖かった

てかまずこの人お金持ってるの?

ご飯屋さん行っても無銭飲食普通にしそうで怖いんだけど…


亜梨沙「よし わかった 私に任せて なんとかこの転校生を巻こう」

葵「え、でもどうやって?」


私を見かねて亜梨沙は秘策がありなんとかしてくれるらしい


亜梨沙「あーなんだかお腹痛くなって来ちゃった

トイレ行きたいなー」


うわぁーなんだこの棒読み なんも秘策じゃないじゃん こんなんでこの転校生巻ける訳ないじゃん…


シュウヤ「ふん 貧弱な奴だな 腹など壊すなど 足手まといは置いてゆくぞ 星宮飯屋はまだか」


やっぱダメだぁー この人は飯屋しか頭に無いよ

そもそも他人を気遣う心なんて無いタイプだよ

亜梨沙ー全然ダメじゃーん


亜梨沙「チッ だけどまだよ 私たまに便秘になるのよね だからいつも持ってんのよ これ」

葵「え、これって下剤?」


亜梨沙は作戦フェーズⅡに移行した

名付けてゲリラ下痢作戦だ


亜梨沙「あ、そうだ!蒼柳君お腹空いたんだよね?

これあげるよ!めちゃくちゃ美味しいよ!」

蒼柳「ん?何だこれは 怪し過ぎるな 俺は貴様を信用しておらんからな こんなカプセルの何が美味いんだ」

亜梨沙「違うんだって これは飴だよ! 飲むだけでお腹が満たされるよ!」


亜梨沙は謎のぶりっ子キャラに走った

亜梨沙も本気の様だ


蒼柳「こんな怪しい物は要らん さっさと飯屋に案内しろ もしや貴様何か企んでいるな?」


亜梨沙「え、知らないよー 蒼柳君がお腹空いたって言うからあげようとしただけだよ みんな食べてるよ ね!葵!」


亜梨沙は謎のウィンクをこちらに向けてくる

辞めてくれ… そんな雑な無茶振りは辞めてくれ…


葵「う、うん!これ美味しいよね!私もよく食べてるよ!」

蒼柳「ん?ほーう 星宮が言うなら本当かもな

どれ一つ貰ってやろう」

亜梨沙「特別に三つあげるよ!口に入れたら飲み込んで!」

蒼柳「ん?どれ …待てよ やはり怪しいな ならばお前達二人共飲んで安全性を俺に証明しろ そしたら俺も飲んでみてやろう」


え、うっそーん 下剤三つも無理だよ

ね!亜梨沙無理だよね!


亜梨沙「え、全然いいよぉー ね!葵!」


亜梨沙は余裕の表情で私の方を見た

だがよく見ると冷や汗に涙目の笑顔を私に向けていた

亜梨沙ーーーー!

なんでそんな事おっけいしゃちゃうのーー

負けず嫌いにも程があるでしょーー

三つも飲んだら私達のお腹がテロリストにゲリラされちゃうよーーー


亜梨沙「はい!葵!あげる!」

葵「う、うん!ありがとう!」


転校生はじっーと私達の方を見てる

もうダメだ 飲むしか無い さよなら

ごめんなさい私のお腹


蒼柳「ほう どうやら安全の様だな では頂くか

ゴクリ」


終わった 三つも下剤は飲んだ事ない 

気のせいかお腹痛くなって気がする

亜梨沙どうすんのよこれーーー!

亜梨沙は真顔だった 仏の様な顔をしていた


しばらく駅前に向かって歩き続けていた

意外とお腹は痛くならなかった

亜梨沙も全然痛くなそうだ

運良く効かなかったのか でも三錠も飲んでそれは無いかー なんて後ろを振り返ると

転校生が居ない

え?と思うと 電車柱にしがみついていた


シュウヤ「ぐぁぁぉぉぉ なんだこの激痛は…

貴様ら なにをした…」


どうやら下剤が効いた様だ めちゃくちゃに青ざめた顔をしていた

三錠も飲めばそれはそうなるだろう


亜梨沙「ふっ 作戦成功ね」

葵「え、でも私達は平気だね なんで?」

亜梨沙「私達が飲んだのはただの飴よ 三錠も飲む訳ないでしょ これであいつから逃げられるわ」


亜梨沙は策士だった

戦時中だったら間違いなく活躍していた冷酷非道な参謀の様な顔をしていた


シュウヤ「ぐぁぁぁぁ 貴様らなにをした どこだ用を出す場所はどこだぁぁぁぁ」

亜梨沙「ふん 腹を壊すなんて貧弱ね そんな奴は置いてくわよ さ!行こう葵!」

シュウヤ「貴様 猫を被っていたな 許さんぞ… ぐああぁぁぁぁ ダメだ この俺が汚物を漏らすなどあってはならん事だ くそぉぉぉ」


感情が高ぶった転校生の目は蒼く光始めた


葵「え、目が、、あの蒼い光って…」

亜梨沙「葵!行こ! 今がチャンスよ!」

葵「え、う、うん! でも大丈夫かな?あのままで」

亜梨沙「大丈夫大丈夫!男子だしね!ちょっと漏らしたってどうって事ないわよ! にしてもあんな分かりやすい罠に引っかかるなんて 本当に人間?」

葵「あー…まぁ人間だけどちょっと変わってるよね」


宇宙人と言い張ってるって事は亜梨沙には言わなかった これ以上話をややこしくしたくなかった


シュウヤ「お、お前達 何処へ行くつもりだ…

ま、待て… ぐぁぁぁぁ… あ、、、、」


転校生の断末魔を聞きながら私達は逃げる様に去って行った


亜梨沙「あーあんな綺麗に上手く行くなんて思わなかったなぁ またアイツがちょっかい出してきたら私に言うんだよ また懲らしめてやるから!

次は何にしようなかぁー ニッシシシシ」

葵「ありがとう亜梨沙〜 助かったよ いつもありがとう!」


亜梨沙は楽しそうだった

でも敵回したくも無いと思った…


亜梨沙「ほんじゃまた明日ねー!」

葵「うん!ありがとう!また明日ね!」


なんとか無事帰宅出来た

ふぅーと今日はやたら気疲れした日だった

疲れたなぁ

転校生大丈夫かな?

変な人だけどなんか気になるんだよな

しかもあの蒼く光った様に見えた目

どっかで見た気が…

もしかて本当に宇宙人?

な訳ないか!

なんて思いながらベッドに横になって考えていると

私は思った

あ、あの転校生、同じクラスじゃん

明日からどうしよう…

私はお腹が痛くなって夜中までトイレに篭もっていた


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る