第2話 宇宙と地球②
2021年 日本 東京
季節は春 新学期である
春の心地よい空気と日差しで気持ちいい朝の始まりだ
って訳でも無く
ジリリリ、ジリリリ、ジリリリ
心地良い鳥の囀りでは無く携帯のアラームが
東京都のとある部屋に鳴り響く
ん、ん〜〜 うるさいなぁ わかってるって〜
あと五分…だけ…
葵ー!早く起きなさーいもう七時半よ!
下の階から聞き覚えのある怒鳴り声が鳴り響く
目覚めの悪い朝だ
ん?七時半? は! やば! 遅刻!
ボサボサの髪の毛のまま急いで制服に着替える
星宮葵 都内の高校に通う高校二年生である
葵「お母さん!なんで起こしてくれなかったのよ〜! 今日から新学期で朝は集会があるから
いつもより早いって言ったじゃん!」
母「何回も起こしたわよ! 今年で17歳になるってのにまだ一人で起きれないの?いつまでも甘えてるんじゃないの どーせまた変な趣味で夜更かしでもして寝坊したんでしょ」
葵「な、なによ!変な趣味ってあれは立派な趣味よ! ってかあれは勉強よ! あ、時間やばい もういいや行ってきまーす!」
母「ちょっと葵!髪の毛くらいとかして来なさいよ!女の子でしょ! 全く いつになっても子供なんだから」
急足で葵は学校へ向かう為バス停へと向かった
葵「全く変な趣味ってなによ あんなに面白いのに
でもさすがにエイリアンシリーズ一気見は
寝坊するか ははは…」
そう、私星宮葵は都内在住の普通の女子高生だ
東京の女子高生って華やかイメージがあるけど
あれはごく一部だ 私はそのごく一部ではない
学校では隠して居る秘密がある
そう、私は猛烈なSFオタクなのだ!
今からニ年前の中学三年の冬の夜中 私は河川敷で
蒼く輝く光を見た
あれは空の光では無い 地球の外側からの光
あの光を見た瞬間胸がドキドキした
私は初恋をした事が無い だけれどそんな感覚を
感じたのだ 私は思った 宇宙人は絶対居るって!
きっとあの光は宇宙人からのメッセージだ
海外映画でも宇宙人と恋に落ちたみたいな話を見た事がある
いつか宇宙人に会ってみたい
それから私はずっと宇宙にどハマりして色々調べた
中学三年の大事な時期にSFオタクになったお陰で志望していた高校は落ちて滑り止めの
高校になんとか入学できた
だけど悔いはない!私はあのメッセージを送ってくれた青い光の宇宙人にいつか会うんだ!
葵は一人ニヤニヤしていた
すると隣から聞き覚えのある声が聞こえた
ちょっとー 葵さーん なーに一人でニヤニヤしてんの?
葵「へ?だれ⁈」
亜梨沙「ちょっとあんたヨダレまで垂れてるよ…
女の子なんだからちゃんとしなって…」
葵「ビックリしたぁー 亜梨沙か おはよ!
それ朝お母さんにも言われた…」
亜梨沙「そりゃ言われるでしょうね…
葵はお母さん譲りのそれ綺麗な青い瞳もあって
可愛いんだらちゃんとしなさいよ」
亜梨沙はいつも呆れ顔で言う
葵「そんな事ないよ この青い目は確かに自分でも気に入って無いと言ったら嘘になるけど
私亜梨沙みたいにお洒落じゃないし
なんか亜梨沙って都内の女子高生って感じで
カッコいいなぁーって思うけど私はただの
芋臭い都内の田舎女子高生だよ… 」
亜梨沙「そんな事ないってば!あたしは葵の事
初めて見た時めちゃくちゃ可愛いって思ったよ!
ん?てかあんた今日寝坊したでしょ?」
葵「げ、…なんでわかったの…?」
亜梨沙「あんたねぇそんな寝癖付けてれば
誰でも分かるっつの!ほら、後向いてみ、
バス来るまでにあたしが直してあげるから」
葵「う、うんありがとう! へへ」
私にとって亜梨沙は親友でもありお姉ちゃんみたいな存在だ
タイプは真逆だけど亜梨沙はすごく優しいし
引っ込み思案な私を引っ張ってくれる
初めて会った時もそうだ…
一年前、入学式当日
葵「入学式も終わって新しい生活が今日から
始まるのか… とても憂鬱だ…」
私は入学式当日から既にぼっちになってしまった
元々志望していた高校の方が偏差値が高かったのだが私がSFオタクになってしまったせいで
なんとなくで選んだ滑り止めの高校に入学して
しまったのだ この高校は偏差値があまり高くない高校なので
周りはイケイケな子達ばかりで全然馴染めない
入学した瞬間私の一度きりの三年間の青春は
終わったぁぁぁーーーって思った
周りは共通の知り合いなどが居る子達が多くて
すぐに仲良しグループが出来ていた
イケイケのコミニケーション能力は恐ろしい
はぁ…って感じで私は教室の隅っこで
大人しく宇宙の本を読んでいた
ちなみこの本は私の愛読書である
今でもなんとなくいつもカバンに入っている
静かに一人本に夢中になっていると
いきなり後ろから
亜梨沙「ねぇねぇ!あんた一人でなにやってんの?
なにそれ?なに読んでんのー?」
ギャルだ 後ろからいきなり東京渋谷代表の様な
ギャルに絡まれた 話し方も声も見た目も絵に書いた様なギャルだ
私は硬直した 突然の出来事に、私とは真逆なギャル!
葵「あ、あ、あ、あの、え、えーとぉ、」
亜梨沙「ん?大丈夫あんた?おーい!」
ギャルの圧はすごい さすがだ
葵「こ、これは、う、宇宙 宇宙の本です!」
私は頑張り過ぎて大きい声がでた
ギャルはポカーンとして居る
しまったこれは引かれた バカにさるーーなんて
私は自分に後悔した
亜梨沙「ぷ、ぷはははははははは」
ギャルはいきなり爆笑し始めた
私が逆にポカーンとした
亜梨沙「そんな声出さなくてもこの距離なら
聞こえてるっての!へぇー宇宙好きなんだ
あんた面白いね!ちょっと見してよ!その本!」
強引に本を取られると意外にも宇宙について
色々聞かれた
亜梨沙「なにこの星可愛いー!なんて星?」
葵「あ、これは銀河と言いましてね
とても綺麗なんですけど実は八千年前に爆発した
星達の残骸なんて言われて…」
亜梨沙「なにこれ!見た事ある!なんだっけ?
寒い国にある奴! オーラ?」
葵「あ、これはオーロラですね 実は宇宙にも
オーロラと呼ばれる物は存在しまして…」
色々聞いては来るが綺麗な見た目の物しか興味無く私の話なんて聞いては居なかった
亜梨沙「あんた物知りだねぇー あたしの友達にも
変なのにハマってる奴居るんだけどね 気が合いそうだね 今度会わしたげる!」
葵「あ、は、はい 変ではないんですけどね
宇宙は…」
亜梨沙「あーそうだね!変は失礼だねごめんごめん! てかあんた目綺麗だね 星みたいじゃん!」
葵「あ、まぁこれは母親譲りと言いますか、遺伝かな?」
亜梨沙「へぇーすごいね遺伝って!気に入った!
あんた友達居ないの?」
葵「ぎ、ギクっ まぁーぼちぼちかなぁー…?」
亜梨沙「ふーん まぁいいや!
あたし桐ヶ崎亜梨沙!今日から友達ね!」
葵「え、 う、うん よろしくお願いします…!
亜梨沙「タメ口っていいってば… 名前教えてよ!」
葵「星宮葵…です!」
亜梨沙「星宮葵かぁー いい名前だね!
んじゃよろしくね葵★」
これが私と亜梨沙の初めての出会いだ
亜梨沙には感謝してる
ぼっちの私と友達になってくれて
SFにハマってしまってから中学の友達とは疎遠になってしまったけど亜梨沙だけはこんな私とずっと仲良しで居てくれる 毎日が今も楽しいのは亜梨沙のおかげだ
亜梨沙「よしっと ほら終わったよ やっぱちゃんとした方が可愛いよ」
亜梨沙はニッコリ笑った
葵「うん!ありがとう亜梨沙!」
私もニッコリ笑った
亜梨沙「お!ちょうどバス来たわ 初日から遅刻は不味いからねぇー」
葵「本当だよねぇ 寝坊したけど間に合って良かった…」
バスに乗りほっとひと息を付きバスが発進しようとした時窓の外から声が聞こえた
葵「ん?なんか声聞こえない?外からさ」
亜梨沙「ん?どれどれ?」
二人は窓の外に目線を向けた
「そこのバスーー!ちょっと待つんだゾーーー」
なにやら聞き覚えのある声だなと二人は顔を見合わせた
葵「亜梨沙この声って、、」
亜梨沙「全く またあのバカか 朝っぱらから
うるさいっての 声ですぐわかるし」
窓の外には猛ダッシュでバスに向かって走ってくる女子高生が居た
亜梨沙「すいませーん!運転手さん乗り遅れた子が
居るみたいなんで止めて貰っていいですか?」
猛ダッシュで乗り遅れた女子生徒はなんとか
バスに乗れてバスは学校に向かい出発した
瑠璃香「ぜーぜー ふぅーー ありがとな亜梨沙!
なんとか間に合ったゾ!」
亜梨沙「朝から騒がしかと思ったら瑠璃香お前か!
なにかと思ったわ」
瑠璃香「いやぁな 朝ご飯食べながら寝てしまっていたんだゾ 昨日夜更かしし過ぎたからかもなぁ」
亜梨沙「あんたもか!全く葵も瑠璃香もだらし無いわねぇ 三人の仲じゃ私が一番しっかりしてるじゃない」
葵「あははは…すいません…」
瑠璃香「お!おはようだゾ 葵っち!そーいえば
昨日はUMAに付いて徹夜で調べていたんだがな
やっぱり宇宙は瑠璃香は居ると思うゾ!」
葵「おはよルリルリ!え!やっぱそう思う?
絶対居るよね!」
瑠璃香「うむうむ!宇宙には沢山星があってな
宇宙戦争なんかも映画のスターウォーズみたいにあるらしくてな 地球に逃げて来てひっそり地球人として暮らしてる宇宙人も居るみたいだゾ それになUMA見たいな未確認生命も実際に地球上で確認されてるみたいだゾ 葵っちが昔見た青い光も本当に宇宙人からの信号かもしれないゾ!それに人間と瓜二つの見た目の宇宙人も居るみたいでな 案外近くに
居たりするかもしれないゾ!」
葵「だよねだよね!やっぱあの光は宇宙からの
メッセージだよね!なんかドキドキしたもん!
宇宙ってやっぱすごいよねぇー ロマン感じるよねぇー!」
二人は目を輝かせながらはしゃいでいた
亜梨沙「はぁ…あんたらには付いてけんわ…」
いつもこんな感じの私達三人はいつも一緒に居る
ルリルリとはクラスは違うけど三人共放課後や
休みの日に遊ぶくらい入学してから仲が良い
ルリルリは元々亜梨沙の友達でそこから仲良くなった
亜梨沙と友達になって一月経たないくらいの頃
亜梨沙「ねぇねぇ葵!そーいえば私の友達にさ
あんたみいなにオタクっぽい面白い奴が居るって話したよね 今日そいつに紹介するよ!」
葵「あ、そーいえば前言ってたね!まだ学校でちゃんと話せるの亜梨沙ちゃんくらいしか居ないから助かるよ〜泣」
亜梨沙「亜梨沙って呼び捨てでいいってば!笑
よし じゃあ今から会いに行こ!」
なんでも亜梨沙とその子は中学からの友達らしい
私は亜梨沙と友達って言ったらめちゃくちゃギャルを想像した うわぁー仲良くなれるかなぁ
なんて不安があったけどどうやらその子は
いつも図書室に閉じ籠ってるらしい 私と似て
ガチなオタクちゃんなんじゃないかって期待もあった
亜梨沙「いっつもここに閉じ篭ってんだよね
今日も居るでしょ」
図書室の中を見渡すと誰も居ない
放課後なのでシーンとしていた 聞こえるのは外から聞こえる運動部の掛け声くらいだ
葵「あれ?なんか誰も居ないみたいだよ?」
亜梨沙「おっかしいなぁー いつも居るんだけどなぁー ん?ほら葵 あそこあそこ」
葵「ん?」
亜梨沙が指を指す方を見ると奥に誰か居た
ツインテールの女の子だ
でもどう見ても高校生では無く小学生だ
小学生が高校生の制服を着ている
しかも本を読みながら立ったまま寝ている
葵「え、なにあれ… 小学生?もしかして亜梨沙ちゃんの妹とか?
亜梨沙「違う違う!笑 あいつだよ話してた友達って ね!変な奴でしょ!きっと葵とも気が合うよ!」
葵「えーー… 私って亜梨沙ちゃんにとってあんな感じな認識なの…泣」
亜梨沙「よし とりあえず起こすか!
おーーい!瑠璃香!起きろー!」
亜梨沙は瑠璃香の頭をグルグル揺さぶった
瑠璃香「む、なんだ、睡眠の邪魔をする奴は…」
瑠璃香はムスッとした顔で起きた
どう見ても小学生だ 背もかなり小さいし
声も子供みたいだ
亜梨沙「よ!おはよ瑠璃香! 今日は前話した
友達連れて来たよ」
瑠璃香「ん…なんだー、友達って」
瑠璃香はまだ寝起きみたいでゴニョゴニョ喋っていた うんこれは小学生だ
亜梨沙「ほらぁ前話したじゃん あんたみいに
オタクっぽい趣味の子が居るって」
瑠璃香「む!瑠璃香はオタクではないゾ!
オカルトマニアなのだゾ! 亜梨沙はいつも
オタクでまとめるがオタクにも色々あってだな
瑠璃香はそんな薄っぺらい連中と一緒にされたくは無いんだゾ!」
瑠璃香はいきなりわーわー騒ぎ始めた
瑠璃香はオカルトマニアみたいだ
心霊現象や魔術や宗教やUMAなどを日々調べてるらしい もちろん宇宙の世界にも興味があるみいだ
亜梨沙「わかったわかった ごめんよオカルトマニアさん」
瑠璃香「ふん!全くもう これからは呼び方に
気をつけて欲しいゾ! で、その友達ってのは」
亜梨沙「この子この子!宇宙が好きなんだってさ!あんたもそうゆうの好きじゃんね!」
葵「は、初めして 星宮葵です!」
瑠璃香「ほぅー 宇宙マニアとな」
瑠璃香は私の顔をマジマジ見つめた
瑠璃香「おーー!お前すごい目の色をしているな!
これはカラコンか?」
亜梨沙「葵の瞳ってめっちゃ綺麗だよね
なんか青くて 宇宙っぽいよね!」
葵「え、 そ、そうかな?これはお母さんからの
遺伝かな?」
瑠璃香「ムム!って事はお前は宇宙人か!」
私は固まった
葵「あ、え?私は人間だよ…」
亜梨沙「ね、なんか葵と気が合いそうでしょ?」
葵「うーん… そうかな? はははは」
瑠璃香「葵って名前なのかな じゃあ今日から葵っち!なんだゾ! 葵っちはなんで宇宙が好きなんだ?」
葵「なんで好きかって言われると漠然とし無いんだけど昔光を見たの 地球の外側からの光だったんだあの青い光は 見た瞬間なんかドキドキしたって言うか 宇宙人からのメッセージ?な気がしてそっから宇宙に魅力を感じるようなったのがきっかけかな?」
瑠璃香「おー!素晴らしいゾ! なるほどなるほど
宇宙からのメッセージか!うーんロマンを感じるんだゾ! 瑠璃香は未知の生物とか心霊現象の謎を解決したいんだゾ! 宇宙人にも会ってみたいしな!
その光瑠璃香も気になるんだゾ!詳しく話すんだゾ!」
葵「え!私も宇宙人に会ってみたいんだよね!
わーなんか嬉しいな!こんな宇宙の事を共感出来るなんて!よろしくね瑠璃香ちゃん!」
瑠璃香「その瞳も気に入ったゾ!葵っち!
あと瑠璃香の事はもう友達だからルリルリ!って呼ぶんだゾ!」
葵「あ、わかった!ルリルリ!」
そっから私とルリルリは放課後の図書室で
宇宙についてずっと話してた
亜梨沙もそれを見て笑ってた
亜梨沙「ほーら やっぱ仲良くなれた」
これがルリルリこと黒川瑠璃香との出会いだ
そんな感じで私は二人のお陰で学校生活を楽しく送っている 勉強は嫌いだけど二人と宇宙の事は大好きだ
新学期初日はなんとか遅刻せずに済んだ
今日から高校二年生だが私の日常は変わらないだろう 平凡で平和が一番なのだ
亜梨沙「ふぅーー 春休み明けの学校疲れたなぁーー」
葵「本当だねぇ 今朝は初日から遅刻だと思って焦ったよ 夜更かしもほどほどにしないとね」
瑠璃香「うむうむ 本当だぞ葵っち!宇宙が好きなのは分かるけど夜更かしもほどほどにしないと
本当にいつか遅刻してしまうんだゾ!」
亜梨沙「瑠璃香お前が言うな!」
葵「あははは 気をつけます…」
亜梨沙「久々の学校疲れたし帰りマックでも寄ってこうよ!」
葵「うん!久しぶりに行こ!」
放課後三人は駅前のファーストフードに向かった
学校帰りにファーストフード店で溜まって
しゃべるってのは実に女子高生らしい
亜梨沙「そーいえば葵 今日から新学期だけど
宮田居なかったね?」
亜梨沙はニヤニヤしながら尋ねた
葵「あー確かに いやぁーもうなんて言うか 勘弁して欲しいよねぇ 入学してからずっとだもん…」
亜梨沙「あはははは 確かにね でも宮田の折れないハートはすごいと思うけどね笑」
こんな私にも学校で悩みの種が一つあった
入学してから宮田って男の子にずっとアタックされていた 私はあまり恋愛とか興味無いのだけれど
なんでも私の瞳に一目惚れしたらしく友達からでも良いからとずっとアタックされていた
でも私はなんかその気になれずに毎回流したり
会わないように避けたり亜梨沙に断って貰ったりしていたが未だに彼は諦めにずにアタックして来た
もはや日常化していてなんとも思わなくなってもいた
瑠璃香「宮田なら今日も居たゾ! 放課後葵っちのこと探してたゾ!」
葵「えー…今日も居たんだ… 宮田君のその根性見習いたいよ…」
亜梨沙「でも悪い奴では無いからなんとも言えないよね 見た目は地味系だし頭も良いのにね
いやぁーモテる人は辛いねぇー葵さん」
瑠璃香「うむうむ 葵っちと宮田か 案外悪くない組み合わせじゃないかもしれないゾ! 宮田は頭良いし宇宙に理解もありそうだゾ!」
亜梨沙「確かに笑 案外悪くないかもねぇ ね!葵!」
二人はニヤニヤ笑っていた ひと事の様に
まぁひと事なんだけど
葵「もー二人してからかわないでよ!!」
そんな話をしてるとあっという間に夕暮れで
外はもう暗かった
亜梨沙「あ、もうこんな時間だよ そろそろ帰ろっか」
葵「そうだね!明日は寝坊しない様に早く寝なきゃ!」
瑠璃香「では二人ともまた明日なんだゾ!」
三人は帰る方向はバラバラなので途中で個々に解散した
日はもうすっかり沈んで真っ暗だ
いつもはバスで帰るが今日はなんとなく歩いて帰る事にした
ふと空を見上げると雲一つない夜空
星がとても綺麗に見えた
葵「久しぶりにこんな綺麗な星見えるなぁ
そうだ!あの河川敷久しぶりに行ってよみよ!
あそこが一番の天体スポットなんだよなぁ〜」
二年前に見たあの青い光を見て以来
何回か河川敷には足を運んでいたがあれ以来光は観ていない
でもこんな星が見える日ならもしかしたら
見えるかもしれないと少し期待している自分も居た
帰り道には少し遠回りだがこんな綺麗な夜空の日を逃す訳にはいかない
久しぶりの河川敷はあの頃となにも変わって居ない
変わってると言えば二年前のあの日の方が寒いくらいだ
あの時の自分は受験や進路で色々押し潰されて居た
親ともあの頃は上手くいってなくてグレたわけではないが気持ちが荒れていた
気分転換に夜散歩した時にたまたま見たあの光
あれはなんだったんだろうか
あんな気持ちにさせる光って一体なんなんだろうか
そんな事を思い出しながら空を見上げた
めちゃくちゃ曇って居た
あの二年前もそうだ 曇っていて星は見えなかった
葵「え、…さっきまであんな綺麗な夜空だったのに私が来た途端曇るって、そんな事ある…、、、」
自分は雨女では無く雲女じゃないのかと
一人心で泣いた
はぁとため息を付いた
もう遅いし帰ろと河川敷から離れようとした時
なにか光った 気のせいかと瞬きした
また光った 雲の厚さを越えて光が見えた
星より明るい青い光 あの時の光だ
ただ立ち尽くして沈黙のまま空を見続けた
目を逸らさずに瞬きもせずにただその光に
夢中になっていた そしてドキドキした
現同時刻
宇宙 地球付近
葵が空を見上げる少し前宇宙ではついにアポロが
地球の目の前まで辿り着いていた
アポロ「ついに地球まで来たぞ 予定より少し早くついたな それにしても地球と言う星初めてちゃんと見たが話に聞いてる通り青く綺麗な星だな
今まで小さすぎて眼中になかったがあの人間の
瞳の様に美しい」
ラルフから貰った望遠鏡で見たあの瞳の人間を
アポロまだ鮮明に覚えていた
これが恋と言う物なのかなんなのかはアポロ自身もまだ分かっていない
ただ地球であの人間に会わなければいけないと
アポロの本能がそう感じた
約二年と言う長い月日を掛けてユートピア目前から離脱しわざわざ地球まで来たと言う事実が物語っている プライドの高いアポロが他人の為に自身が動かされる事は初めてであった
アポロ「さて 地球の日本の東京と言う場所だったな 位置は記憶してあった筈だ 望遠鏡で確認してから着地するとするか」
ピーピー ジュウデンシテクダサイ
アポロ「む?長旅の間使い過ぎたせいか充電が無くなってしまったか 宇宙船の電力を少し借りるとするか」
宇宙船の電力を元に望遠鏡であの場所を確認する
アポロ「地球に向かうまでの間何度か見ては居るがやはりあの人間はあれっきり見てないな
あの雌の所在地がわからんと会う事は難しいんだがな」
河川敷を見渡すと日本の東京はもう夜だった
曇ってはいるが雲の上の空は綺麗に晴れていた
辺りを見渡すが変わった様子はない
アポロ「場所はここで間違いないな とりあえず
着地点は広い場所が良いな どこかに広い場所は…ん?あれは…」
宇宙船から望遠鏡で河川敷を見渡すアポロの鼓動は急激に早まった
あの人間と瓜二つの人物が空を見上げている
約二年と同じ場所で
間違いない あの瞳を忘れる訳はない
あの吸い込まれる様な青く澄んだ瞳
まさに地球の様な美しさ
アポロは無意識にその瞳から目を離す事が出来なかった アポロの感情は高まった まさかのあの場所で
また同じ状況で、これは大袈裟かもしれないが
アポロは運命とさえ感じた
アポロの感情は高まり続けブルーアイ星人特有の
目から青い光を知らずうちに放っていた
その光は望遠鏡のレンズに反射して地球から
見ればまるで宇宙からの光に見えた
とても綺麗な蒼い光 流れ星やUFOでも無い
花火や飛行機の光でも無い 宇宙からの光
葵「あ、…あの光、ウソ、全く同じあの光
ニ年前に見たあの光」
葵の心拍は次第に上がっていた まるで今まで
会いたくても会えずにいた行方が分からなくなった
恋人を遠くでたまたま見かけてどうしてら良いのか声を掛けてもいいのかこのまま知らないふりをした方が相手の為になるのかと悩むそんな気分
葵は恋をした事が無い だが自分でもした事が無い恋の感情はきっとこんな感じなんだと分かる
ただの光だが葵はずっとこの光に何か特別を
感じていたのだ
アポロは自分の高まりに気づき望遠鏡から目を背けた
アポロ「ハァハァ… 見つけた…このタイミングで出くわすとは 着地するなら今しかないな
あの雌を見失っては二度と会えんかもしれん!」
アポロは焦ったが冷静に着陸体制に入った
地球のルールブックを見直しながら地球へと
アポロの宇宙船は降下した
葵「あ、消えちゃった… 」
葵は切ない気持ちになった
だが一つ確信づいた事があった
前に見たあの光はやはり宇宙からの光だと
偶然では無い 同じ場所で自分がまた同じ光を見るなんてやはり宇宙人からのメッセージに違い無いと
葵はしばらく空を見ている事にした
その頃アポロの宇宙船は大気圏を降下中であった
このスピードなら恐らく着陸まで10分と掛からないだろ
ここまで順調に見えたが宇宙船内にアラームが
鳴り響いた
「電力減少 電力減少 予定着地ポイントまでの
電力が足りません このまま降下を続けると
本宇宙船は大破する危険性があります
繰り返します…」
アポロ「な、電力不足だと?ばかな!ラルフに電力は満タンにさせた筈だぞ!この移動距離で空になる様な宇宙船では無いぞ!」
アポロは考えた 普段と違うことをして無いかと
アポロは気づいた この望遠鏡の充電が大量の
電力を消費している事に
アポロ「ラ、ラルフめ…奴は大事な事はいつも言わんな…やはり次に会ったら殺すべきだな…
仕方ないこの宇宙船捨てるしか無い
俺までこのままでは死んでしまう 緊急脱出ポットで地球に降下するしか無いな
さらばた我が宇宙船よ これまでの旅路助かったぞご苦労であった」
アポロは宇宙船に別れの言葉を告げると
脱出ポットに入った
脱出ポットは宇宙船から放出された
アポロの入った脱出ポットが地球圏内に入った
アポロの宇宙船はその瞬間爆発した
とても綺麗な星の様に宇宙船の残骸は宇宙空間に
飛び散った
葵「あ!なにの星みたいな光!初めて見た!
キラキラしてる!きっと今宇宙でなにか怒ってるんだ!」
葵のいる場所からもアポロの宇宙船の爆発した光は見えた
それほど地球に近い場所に居たのだ
アポロの脱出ポットは雲の上まで来ていた
一人用の小さいポットの為降下速度は異常に早い
早すぎるがあまり着地ポイントが少しズレてしまった
アポロ「しまった ポイントがズレた どこだこの着地点は」
アポロの脱出ポットは早くも雲を突き抜けた
地球人に確認出来るくらいの場所まで来た
葵「あれ? あれは流れ星? 今日すごい!
こんな色んな事が起こるなんて!
でもあの流れ星なんかすごい近くない?
なんか近づいて来てない…?」
アポロの脱出ポットは河川敷から少しズレた
近くの山に着地ポイントが変わっていた
住宅街や街で無かっただけ救いだった
アポロ「ぐおぉぉぉなんて圧力だ操作が効かん!」
アポロは降下する際に脱出ポットに掛かる圧により
身動きが取れなくなっていた
葵「わ!わ!わ! すごい近づいて来てる!」
葵の目はキラキラしていた
しかし次第に不審に思った
葵「てかあれ実際に落ちて来たらやばいんじゃ無い…?隕石だったらやばいよ!!」
キラキラした目は次第に恐怖に変った
脱出ポットは葵のいる場所の上空を通過した
アポロ「ぐぁぁぁぁ このままでは不時着どころか墜落してしまう」
操作が出来ない脱出ポットは河川敷すぐ側の山に
墜落した
葵の居る場所からでも墜落した場所は見えた
葵が小さい頃良く遊んでいた裏山に墜落した
夜も遅かったがSFマニアの血が騒いだ葵は
恐怖よりも好奇心が勝った
葵は裏山に急いだ
葵「ハァハァ あれは絶対UFOかなにかだよ!
他の人に見つかる前に急がないと」
裏山の森に向かって葵は走った
夜の裏山は奥に進むにつれて街灯が無くなっていく
葵はお化けとかは大嫌いなのでこんな夜に山道に
一人で入るなんて考えられ無かった
だが恐怖心よりもあの青い光への気持ちが前に出た
森の中は真っ暗だった
携帯のライトの光を手掛かりに前へ進んでいった
シーンと静かな真っ暗夜の森にさすがに葵も怖くなって来た
葵「勢いで来ちゃったけどさすがに怖いな…
なんもなくて私の見間違いとかだったらどうしよう…」
ちょっとずつ進んで行くとなにか見えて来た
微かに煙が立っている
携帯のライトで当たりを照らすと木が何本も折れている 地面にもヒビが入っている
飛行機かなにかの破片の様な物が辺に散乱していた
もう少し先に進むと恐らく空から墜落して来たのであろう物体があった
そんなに大きくは無いが小さい飛行機?の様な物体
初めて見る形だ 日本の物では無かった
葵「す、すごいなにこれ、、 本当にUFO?
なんてまさかねぇー さすがにUFOは無いか
あははは」
人影も無いし無人の飛行機か何かがテスト中に
謝って墜落したんだろうと思った
SFマニアの葵はそんな話もネットの記事で読んだ事があった
海外が秘密で制作している飛行機があって
こっそりテスト飛行させたりしていると
たまたまその飛行機が墜落してしまったのを
葵を見たんだと思った
正直本当にUFOだとしたら宇宙人に対面するのが
いざとなると怖かったからである
無理矢理これはUFOじゃないと思い込む事にした
葵「よ、よし!これはUFOじゃ無かったけど
こんな体験あんま無いし初めて見る飛行機の形をしてるし記念にちょっと近くで写真撮っとこうかな!」
葵は怖かったがSFマニアとしてここから何も無しに逃げる訳には行かないと思った
せめて写真だけでも撮る事にした
葵「よ、よーし と、撮るぞ〜」
葵は飛行機の方に近づいていく
ライトを照らしながら近づいて行くと
墜落して破損した飛行機に穴が空いていた
怖かったが葵はこの飛行機の中が気になった
ちょっとだけ中をライトで見てみる事にした
飛行機の外から穴をライトで照らすと中は真っ暗だった ライトで飛行機の中を全体的に照らして
見ると中に何かいる様な気配を感じた
葵「ひゃ!」
叫び声をあげそうなになったが葵はなんとか声を押し殺した
壁になにかが保たれ掛かって倒れていた
だが映画で観る様なエイリアンの様な見た目はしていない 暗くて顔は見えないが恐らく男性の様な気がした これがもしも本当に人間だったら大変だと思った きっと怪我をしているに違いない
もう少し覗ける場所が無いかと探索しようとするとビシャっと葵はなにかを踏んだ感触があった
泥でも踏んだかと思いライトで足元を照らした
葵は硬直した
緑色の液体が飛行機の隙間から漏れていた
あの人間の様な何かが居る場所から緑色の液体は垂れている様に思えた
葵「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
葵はさすがに叫び声を我慢出来なかった
そのまま来た道をダッシュで引き返した
いきなりダッシュしたので鞄を落として
地面に鞄の中身を散乱させてしまった
葵は無我夢中で荷物を拾い集めダッシュで
来た道を走った
あれはきっと宇宙人だ あの緑色の液体は
宇宙人の血だ 映画で見たやつと同じだ
写真は一枚だけは撮ったがきっとボヤけているだろう 葵は早く森を抜ける事しか頭に無かった
あの墜落の感じなら他にも誰か見に来るだろ
時期に警察も来るだろうと思い葵は家まで半泣きでダッシュした
慣れない真似をするものじゃないと葵は思った
墜落現場
葵が立ち去ってから数分後
辺は相変わらずシーンとしていた
アポロ「ん…ん? こ、ここは…」
墜落で強い衝撃を受けたアポロは少し気絶していた
アポロ「どこだここは?俺は一体何故ここに?」
強い衝撃を受けたアポロは記憶が混雑して
記憶障害が起こっていた
何故この地球に来たのか なにをしに来たのか
何故今この様な状況になっているのか理解出来ずに居た
アポロ「とりあえず外に出るから ぐっ…
だいぶ出血が酷いな この傷なら恐らく24時間掛かるな」
アポロの種族ブルーアイ星人は致命傷意外の傷なら
自動的に一定時間あれば回復する仕組みなっている
アポロはとりあえず外に出て辺り見回してみた
アポロ「真っ暗でなにも見えんな しかもこの傷が塞がるまでは派手には動けんな この星は一体なんだ 何故俺はここに居る そして何故墜落して怪我までしているんだ」
墜落した飛行船の周りを色々考えながらグルグル歩いていると
アポロはなにかを見つけた
アポロ「なんだ、これは なにかのカードか?」
そのカードは高校の生徒手帳だった
星間高校 2年C組 星宮葵
カードにはそう書いてあったがアポロには
地球の字は読めなかった
だがアポロはそのカードに写っている顔写真を見てハッ!とした
アポロ「この青い瞳 なにか見覚えがあるぞ
俺はこの為にこの星に来たのか?
ぐっ、中々思い出せんぞ
だがこの写真の人間のカードが何故ここにある
よく分からんが この写真の人間に会えば色々分かりそうだな よし とりあえずこの人間の居る場所に行くとするか このカードに書いてある場所を
解析すればこの人間に会える筈だ
名前は、、 ホシミヤ、アオイ だな」
アポロは葵を探す為に動き出した
その頃葵は家のお風呂の中で今日あった出来事を
思い出しながらぼーっとしていた
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