「おやすみ名前の知らない人たち」
「それじゃあ、お疲れさまでした」
唾を吐きつけたくなるような散々な男女混合パーティーに別れを告げる。そんな僕に「えー、二次会いきましょうよぉ」と似合ってない化粧をした女が気持ちの悪い猫なで声で鳴く。
隣に座って嫌な臭いの香水を振りまいていた名前も知らない女だ。
くだらない。コピーandペーストをしたような笑顔を顔に張り付けて「お疲れ様です」を言うとともに彼らに背を向けた。気持ち悪い。あのような場を設ける人間が昔から嫌いだった。
何故、我々は男や女に固執するのだろうか。
何故、男と女が恋愛をするのが正常なのだろうか。
そんな疑問をキラキラした下品な金色の街の中でつぶやく。
こんなくだらない世界からいち早くぬけ、僕は本当の私になる。
閉塞した社会を床に脱ぎ捨てシャワーを浴びる。控えめな香水、一番の服、お気に入りのリング。アイライン、茶のシャドウのうえにそっと光を載せて、薄い唇に淡い紅をひいて、ロングのウィッグを被ってロングブーツを履いて、家をあとにした。
青と赤の光が控えめに照らした夜の街を私は闊歩する。
深夜零時、私の時間はこれから始まる。
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