第23話 楓のPVとスキャンダル!?

ここは楓の部屋。ボロいアパートだが、楓の部屋は綺麗に整頓

されている。元々何も物欲がないので部屋には最低限の物

しかおいていない。その中で目立つのが楽器だ。


楽器はシンセとギター、その横にパソコンが置いてある。


そこで楓は楽器の練習いや、今は曲を作っているだけにして

いる。練習をする必要はないぐらいの腕を持っているからだ。

ヘッドフォンをして曲を作ってると、由姫から連絡が来た。


今度またPVを作るという事を聞かされた。楓は普通に返信

しただけだった。でも、PVというのが少し気になっていた。


この時代、ライブよりも動画を見たりするのが主流になって

いるので、そっちで活動した方がより知名度が上がるのも

わかっていた。でも、そこまでやる気はしなかった。


それをメンバーに話してみた。ボーカルのヤス、ギターの

ユージ、ベースのカイにドラムのキヨタカ。四人はそれを

聞いてすぐに乗ってきた。


「面白そうじゃん。俺達も作ろうぜ」

「今はその方が売れるしな」

「でも、楓から言われるとは思わなかったぜ」

「もしかして由姫ちゃん達の影響か?」

「さぁな。それよりやる方向でいいのか?」

「もちろん」

「でも、機材どうする?」

「カメラとか高いよな?」

「ライブの出演料とかで買えるか?」

「カメラならあるだろ」

「?」

「こいつだけで撮ればタダだ」


楓はスマホを取り出した。今のスマホなら下手なカメラより

性能がいいからだ。それをメンバー全員のを使って撮影を

するという案を出した。

その撮影する場所も今いるこのスタジオだけにするという

案も出した。無駄にお金をかけないようにする為だ。


その為にスタジオも健に言って空いている時に貸切に

したいと伝えた。後は何の曲をして、どう見せるかだ。


楓達はしばらくの間、PV撮影の準備をしていた。それらも

基本は楓が全てやり、足りない所をメンバーが言い合う

形で話し合って行く。


この日もスタジオの中で練習をした後、話し合った。


「衣装はどうする?」

「そんなもんこれで十分だ」

「これって制服でか?」

「まぁ俺ら学生だしな。でも、お前だけ違うぜ」

「その方がわかりやすい」

「本当に無駄がないな。あるもので全部やっちまう」

「俺らだけだったら無駄に色々使ってるよな」

「本当。めっちゃ厳しいけど、お前が入ってくれてよかったぜ」

「無駄口出さずにさっさと覚えろ」


楓は表には出さないがどこか嬉しいと思っていた。これまで楓は

誰とも仲良くなったりしたことがなかったからだ。今もメンバー

とは仲良くなったつもりはないが、少しずつそう思えてきている

自分もわかっていた。それも由姫達と会ったからかもしれない。


そうしてライブもこなしつつ、準備をして撮影をする日が

やってきた。スタジオもその日は夜まで貸切にして、もらい

楓達は事情を話し、学校も休んでいた。学校側も応援して

くれているので数なり許可が出たらしい。楓の方は少し

戸惑ったらしいが。


「準備はいいか?」

「大丈夫だ」

「いつでもいいぜ」

「お前に怒られないように練習して来たからな」

「全力で演奏する」

「じゃあ始めるぞ」


楓の合図で撮影を始めた。曲は楓が初めてこの五人で

演奏する為に作った『最後の罪』という曲でライブで

必ず最初に演奏している曲だ。


途中で止めずに終わるまで演奏をし、それから確認する。その

作業を一日続けた。そうしてできたデータを楓が持って帰り

家で編集する。楓にしては珍しく何日かかけて作った。


その作ったのをメンバーに見せた。当然全員が納得するPVに

なっていた。


そして、そのPVをライブの前日に公開した。突然の映像に

ファン達は驚いたが、それはすぐに拡散され、 SNSでも

話題になった。


ライブ当日の楽屋。楓達が待っているとそこに由姫達が

やってきた。やっぱりあのPVを見て来たようだ。


「まさか、楓がやるなんてね」

「ただの気まぐれだ。もうやらん」

「やったほうがいいとお思うよ」

「里奈」

「ものすごい反響だよ。私達以上にね」

「確かにそうね。だから余計私達も負けてられないわ」

「なんだまた作るのか?」

「ええ。もう予選も後半。ラストに向けて出来る事は全部

やるつもりよ。だから予選は私達が勝たせてもらうわ」

「勝つか負けるかは客次第だ」

「わかってるわ。じゃぁまた後で」


由姫達は楽屋を出ていった。楓はメンバーに由姫とどこまで

進んだのかといじられたりしながら出番を待った。


その出番が来て、ステージに立つといつも以上にファンが

湧いていた。やはりPVの影響からか、ライブハウスの外

にいるファンも一体となって盛り上がった。それがネット

ニュースにもなり、楓はさらに有名になった。


そのことで楓は不安もあったが、今はまだ表には出て

いない。そんな楓に当然、プロからのスカウトの話が

多く来ていて、それを全部断っていく。少なくともこの

大会が終わるまではどこの話も聞かないとSNSでも

発信した。


それから少ししてとある記事が出ていた。それは楓の事で

楓に親がいなのではないか、楓の身内の事が騒動にも

なっていた。普通ならそれはないと思われるが、どこかの

記者が楓の周りを調べたようで、それを記事にしてしまった

らしい。


それを霧沢めぐみも知り、楓に聞いた。


「あんた大丈夫?」

「何がだ?」

「こんなに今話題になってるのよ。流石に不味くない?」

「何も悪い事はしてないから問題ない」

「あんたはそうかもしれないけどね。少しは周りを注意して

見ておかないといけないからね」

「ああ」


楓は何とも思っていないが、めぐみが言うように周りは

大変なことになっていた。楓が学校に着くとそこには

テレビや他のマスコミ関係が待っていた。どうやら普通に

ニュースにもなっているらしく、それをテレビ等も

取材しようと学校に来たようだ。


楓は表からいかず、裏に回るがそこにもマスコミはいる。仕方

ないので楓は体育館の裏に周り、屋上に飛び乗り、そこから教室の


ベランダまで忍者の様に動き、中に入った。

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