第18話 由姫と洋子と楓
翌日、由姫達は集まらず、個人で昨日の結果を見た。その結果は当然
順位が下がっていた。しかも五位にも入っていない。それを見て
由姫は全員に連絡した。今日のライブを辞退すると。誰もそれに
反論することはなかった。
昨日美麗に言われて、由姫は戸惑っていた。そんな状況でまともに
ライブなんてできるわけがない。だから今日は辞退した。
学校でも顔を合わせるが話せないでいた。完全に由姫は孤立
してしまった。もちろん里奈とも。
「また一からやり直しね。最悪私一人でもやろうと思えば
やれるわ」
屋上で一人お昼を食べならが由姫は色々考えていた。放課後
一応学園祭の準備は手伝うが、里奈と話さないのに他の
クラスメイト達が心配になり、里奈が色々聞かれていた。
時間になり、由姫はすぐに下校する。途中廊下で美麗達に
会ってしまうが、由姫はそのまま歩いて行った。
その途中、今度は洋子と会った。洋子が珍しく自分から
話しかけてきたので由姫は付き合う事にした。
二人はとある店に寄った。それはラーメン屋だった。
「まさか美波さんとラーメン屋に来るなんて」
「嫌なら帰ってもいいわよ。私は食べていくから」
「私もいただきます」
二人は注文した。洋子は普通に一杯だが、由姫は二杯も
注文していた。食べている間は話さず、洋子は由姫が
食べ終わるのを待った。
「美波さん、無理なら残しても」
「問題ないわ」
少し苦しそうな由姫を見て止めようとしたが、そのまま
食べ続けた。しかも、さらにまた一杯注文をしていて
余計に由姫の顔が今までに見た事ない表情をしていた。
どうにか食べ終え、二人は近くの公園で休む事にした。
ベンチに横になる由姫。洋子は隅っこの方に座った。
「無理しすぎですよ。まぁああしたくなる気持ちは
わからないでもないですが」
由姫は苦しいからか返事はせず黙っていた。手を目に
当てて洋子を見ない様にしていた。
「どうするんですか?この先。まさかこのまま解散する
のでは?」
「どうかしら。このまま続けてもうまくいかないのは
わかってる。だったら」
「私はそうは思いません。今まで私はどのバンドともあまり
合わなかったのですが、あなた達とは不思議と合いました。だから
今こうしてここにいるんです。そんなバンドを私は解散したく
ありません。私達は急ぎすぎました。少しゆっくりするのも
いいかもしれませんね。私はちゃんと練習はしますが」
洋子は由姫に水を渡して先に帰った。由姫もまさか洋子から
あんな風に聞かされるなんて思わなかった。
由姫は別日の放課後、スタジオにいた。そこで健とも
話し合った。
「まさか君達がそうなるとはね」
「誰でも完璧ではないわ。皆も、私も」
「相当きついみたいだね。見るからに体調も悪そうだし
体型も少し緩くなってる」
「失礼ですね。まぁ否定はしません」
「今日は家に戻りな。休む事も大事だよ」
「そうさせてもらうわ」
スタジオを出た後、由姫は会場に向かった。そこで今週、いや
学園祭が終わるまで大会を休みたいと言った。最初運営さん
達は困った様子だったが、由姫の今の姿を見て、休みを許可
する事にした。ただし、投票数はそのままでファンが入れた
としても無効にするという条件で承諾をした。
その会場を出るとそこには楓達、uranosが全員いた。
「おい楓あの子」
「?」
楓は言われてから気づいた。そこに由姫がいたのを。由姫も
下を見ていたので上を見るまで気づかないでいた。楓を
見た由姫は少し泣きそうになっていた。
「お、おいこの子泣いてるぞ?」
「楓どうするんだ?」
「先に行ってろ。後で行く」
「戻らなくてもいいぞ」
「ああ。なんならっぐわ」
「さっさと行け!蹴るぞ」
「蹴ってから言うな」
楓に突っ込まれてから中に入ったメンバー。そのやりとりを
見ていたが由姫はなんの反応もなく今にも倒れそうな
感じをしていた。
「おい、ちょっと来な」
「!?楓!どうしてここに」
「いいから来い」
楓は強引に由姫を連れてった。連れてった場所はいつもとは
違う公園で、そこは本当に小さい所だった。ベンチに座らせ
楓はジュースを買った。それを由姫に渡した。それを飲んだ
由姫は苦い表情をした。
「何これ?」
「ミックスだ何かは不明だがな。そういうのがここに売ってて
試して見たかったが飲めなかったらもったいないからな」
「私を実験にしたのね」
「そう言うことだ。結果は見てわかる通りだ」
「ひどいわ。人が落ち込んでる時に」
「だからしたんだがな。何があった?」
由姫は静かに楓に話しかけた。それを聞いて楓は返事をした。
「それならそうした方がいい。でも、最後に決めるのは
お前だ。自分で作ったバンドを何もせずに解散させるのは
一番したら行けないことだ。お前のすることは最後まで
話す事だ。それで終わるなら仕方ない。それをしないで
終わったら一生後悔するぞ」
由姫は楓の声を真剣に聞いていた。それを聞いて由姫が出した
答えは。
「そうね。あなたの言う通りだわ。まさかあなたからそんな
風に言われるなんて思わなかったけど」
「俺もだ。なぜかほっとけなくてな」
「楓」
由姫は楓にもたれた。そこからまた膝枕をしてもらった。楓も
それを拒むことはしなかった。由姫はいつもらしい表情に
なり、今日は一人で帰った。
そして翌日、由姫から全員に集まるように連絡をして放課後
屋上に集まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます