第16話 里奈と楓の二人飯?

日曜のライブを終え、月曜日の昼休み。由姫達は屋上で昨日の結果を

確認していた。その結果は三位だった。


「一位、uranos、二位がアストレア、で次がうちらか」

「まさか、アストレアに抜かれるなんてね」

「でも、昨日のはインパクトあったよ」

「そうだね。あれは票が入るよ。私達もあれぐらいの事は

した方がいいかな由姫?」

「あれは彼女達だけのスタイルよ。私達がやる必要はないわ。私達が

やる事はもっと腕を上げる事。特にuranosに負けないぐらいに」

「彼らに負けないぐらいか。そのくらいはしないとダメだよね。前は

手伝ってくれたけど、今は敵なんだから」

「そうです。この予選の間にもっとレベル上げなければ決勝には

勝ち上がれません」

「だからこれから放課後は練習を増やすわよ。ライブ前の前日だけ

休みにするわ」

「仕方ないか。でも、無理はしないでね。倒れたら意味がないから」


里奈が注意をするのは由姫の事もあったからだ。


由姫が言った通り、放課後はスタジオに行き、練習をする。学生と

言う事もあり、あまり遅くまではできない。家に帰ってからも

それぞれ練習していた。


ライブ前日は休みなので里奈が由姫の部屋に来ていた。


「明日、これでいいの?」

「どうしたの?里奈からそんな事言うなんて」

「私だって勝ちたいもん。本気でプロになりたいし。それに」

「孝弘ね」

「うん。もし、彼が本物ならプロになったら絶対話してくれる。違って

ても、プロになった私達を見て会いに来てくれると思うから」

「そうね。どちらにしてもプロにならないと意味がないからね。でも」

「うん。できるならすぐにでも会いたいよね。エッチもしたいし」

「里奈、あなたもやっぱり」

「まぁね。小さい時はもう二人が一緒になってくれたらなって思って

た。今でもそうだけどね。でも」

「性欲には勝てなそうね。里奈は」

「あははっ!まぁでもあくまでできるならだからさ。里奈は心配

しなくていいから」

「それを聞いて心配しないなんて言えないわ。孝弘が良いって

言うなら三人でしましょ。あなたとは喧嘩したくないわ」

「由姫。愛してるよ由姫」

「こらっ離れなさい」

「今、三人でエッチするって言ったのに」

「た、孝弘が良いって言ったらよ」


里奈はしばらく由姫から離れなかった。流石に夜中には戻ったが

由姫は里奈に攻められていたせいか、そのまま一人エッチを

してから眠った。


翌日土曜日。由姫達はライブハウスに向かった。そこにはもう

今日参加する組のファン達が並んでいた。ライブは夕方前

からだが、先週の反響もあり多くのファンがやってきていた。


裏から入り、楽屋に向かう。そこになんと楓がやってきた。


「楓さん!」

「早いな。まだ午前中だぞ」

「今日は私達がトップですからね」

「そうか」

「そういうあなたこそ早いわね」

「暇だからきたが、ここにいてもあれだから、今から飯食いに

行こうと思ってな」

「余裕だね。今日、いえ、この先は私達が勝つわよ」

「そうか。まぁそれはいいが、少しこいつを借りていいか?」

「え?」


楓は里奈の腕を掴んだ。


「なんで私?」

「一番話しやすそうだからだ」

「まぁそれはそうだけどね」

「里奈!」

「大丈夫、リハまでには戻るから。それで良いよね楓さん」

「ああ。ちゃんと返す。だから借りてくぞ」


そう言って楓は里奈を少し強引に連れてった。連れて行った先には

ライブハウスの近くにあるラーメン店だった。


「どうしてラーメン?午前中から」

「俺が好きだからだ。嫌なら食べなくていいぞ。この後ライブ

だしな」

「どうしよう。まぁ一杯だけなら良いかな。さっぱりしたのもある

みたいだし」


と里奈は仕方なく注文した。楓は当然大盛りで頼んでいた。とりあえず

それを食べて、里奈は楓に聞いた。


「それでどうして私を?」

「ただの気まぐれだ。深い意味はない」

「できればあって欲しかったんだけどね。まぁ今はまだ良いけどね」

「孝弘ってやつの事だな。あんたはどうしてそこまで会いたいと

思ってるんだ?何年も会ってなかったら向こうも忘れてるかも

しれないだろ」

「それはないよ。孝弘から言ってくれたんだから。プロになったら

会いに行くって。それは私達も同じで私達がプロになれば会いに

きてくれる。どんなに離れても、好きな人は会いたいって思うのが

普通だからね」

「普通か」


楓はしばらく沈黙した後、もう一杯頼んでそれを食べてから二人で

会場に戻った。里奈はそのままリハに入り、それが終わって楽屋で

待機する。


「里奈、彼と何を話したの?」

「特に何もないよ。普通に食事しただけ。まぁラーメンだけど」

「ライブの前にラーメンって」

「一杯だけだよ。彼は大盛り二杯頼んだけど」

「だ、大丈夫なんですかそれ?」

「大丈夫だよ夕子。彼超大飯食らいだから」

「あのスタイルで大食いはすごいわね。どうしたらそんなに食べれる

のかしら」

「食べたら動けばいいと言ってたから。そうしてるんじゃないかしら」

「本当に不思議な人ですね」


そんな風にメンバーで楓のことを話し合っていた。それから時間になり

由姫達がトップバッターでライブを始める。曲は先週と同じだが

アレンジをしていて、かなり違う雰囲気で演奏をする。他のバンド達は

そこまでアレンジをしていないのでファン達は斬新に聞こえた。


それは日曜日も同じで由姫達はこれからアレンジをして攻めていく

形にした。それがよかったのか、僅差だがuranosを抜いて由姫達が

一位になった。


ライブも二周目を終えて、今学生達は二学期の醍醐味、学園祭に

向けての準備をしていた。それは由姫達も同じだった。


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