第15話 アストレア 朝日奈さくらの目標
演奏を終えた由姫達。ステージを下りるとそこにアストレアが
やってきた。
「お疲れ様です。さすがに迫力がありますね」
「そうでもないわ。これぐらいは当然だから」
「そうですか」
彼女達はステージに向かった。由姫達はそれを楽屋で
見ている。
「彼女達もすごいよね」
「ええ。私達に続いて三位に入ってたし。油断はできない
子達よ」
そのライブをしてるアストレア。
ボーカルの朝日奈さくら、ギターの黒木翔子、ベースの柴崎菫
キーボードの八坂朱美、ドラムの向井静香の五人で結成した
由姫達と同じ女子高生バンドだ。
彼女達もプロを目指し、この大会に参加していて、アリーナに
行くことを夢見ている。
「ありがとうございました」
ライブが終わり、楽屋に戻る。衣装から私服に着替え、少し
ゆっくりしてから他の参加者達に挨拶をしてから出た。
コンビニにより、それからさくらの家に行く。さくらの家は
剣道の道場をしており、さくらの部屋も和室で五人は余裕で
入る広さだ。
「今日、どうだったさくら?」
「よかったと思う。ただ」
「相手が強すぎるよな。特にトップにuranosは」
「だよね。いきなり結構離されたもん」
「今更文句を言ってもしょうがないよ。わかってて
参加したんだから」
「朱美の言う通り。私達は誰が相手でも勝つ。プロになるんだから」
「そうだな。さくらと一緒に絶対プロになる」
「うん。この大会で実績を積めば家族の人にもわかってくれる
だろうしね」
「だよね。絶対さくらを奪うぞ」
さくらは家から音楽でプロになるのを反対されていた。家の道場を
継がせるために。でも、さくらは朱美達とやったバンドの方が
楽しかった。だからそれを続ける為にプロを目指す事にした。
大会に出る前にもどこのバンドよりもライブをして今の
人気を得た。それでもさくらの親は認めずにこのまま
続けるなら家を出て行ってもらうとまで言われた。
それを聞いて朱美達がこの大会に出て優勝して認めさせようと
決意した。
皆が帰った後、さくらはお風呂に入る。ライブは土日なので
明日からはまた学園生活に戻る。寝る前に勉強をし好きな
バンドの動画を見る。
さくらは真面目でバンドをするまでは娯楽も全然知らない
ほどだった。なので恋もまだしたことがない。そういう
事をよく知るメンバーの静香から色々エッチな事を聞いた
時はずっと顔を赤くしていたりした。
夜二十三時、さくらは就寝する。バンドをする前は二十二時には
寝ていたので、さくらにとっては遅い就寝だった。
翌日、五時に起きて、顔を洗い着替えて道場に向かう。バンドに
集中したいが、稽古も続けると言う事でバンド活動を許されて
いる為、朝の稽古は欠かさずに行っていた。稽古を終え、シャワー
をしてから制服に着替える。
それから登校して学校で皆と合流する。休みの時間に集まり
ライブの演出を考えたりする。さくら達も有名なので
休みに集まったりすると周りが騒ぎ出したりする。
アストレアの中で特に人気なのがさくらで、男女問わず
声をかけられる。男子達から人気なのがドラムの静香だ。
ボーイッシュな感じで誰とでも話して仲良くできたりこの
メンバーの中で一番の巨乳だ。スタイルも良いので当然
男子達から視線が多かった。静香はそう言う事も嫌いじゃ
ないので余計に男子が集まってくる。
逆に女子から人気があるのがベースの菫だ。クールで
一番大人っぽい感じで同じ女子達が憧れる様な容姿だ。
そんな彼女達も学校ではよくライブをする。単純に学校の
体育館はライブハウスより広くステージが大きいので
本番のようにできるからと定期的にライブをしていた。
そうして平日を過ごし、土日のライブに備えている。その
土曜のライブ前夜、さくらの家にある小さい道場の方で
リハをする。
「さくら、これでいい?」
「大丈夫だよ菫。これで今週をやりきろう」
「次はトップに立つよ」
「だよね。絶対勝つぞ」
そうして次のライブを迎えた。この日はラストになり、それまでは
楽屋で他バンドの様子を見る。時間になり、彼女達の出番が
回ってきた。
「よろしくお願いします」
さくらが挨拶をするとファン達が拍手をする。アストレアのライブで
さくらの真面目なあいさつがファン達の間で話題になっており彼女の
礼儀の正しさに魅かれるファンも多かった。
この日のライブは和風をイメージした衣装にして、曲もそれに
合わせる。しかもさくらは自前の竹刀を持っていて、それを
歌の間に曲に合わせて演技をする。その演出が今日一番の歓声
になった。
ライブを終え、楽屋に戻ると由姫達がいた。
「お疲れ様。インパクトのある演出だったわね」
「どうも。これぐらいしないとあなた達を出し抜けないですから」
「明日が楽しみね」
「はい。失礼します」
楽屋で着替え、この日はここで解散した。
翌日、昼過ぎに昨日の結果が出た。ファミレスで集まっていた
さくら達、朱美が結果を読み上げた。
「さくら一位だよ!」
「よかった」
「やっぱり昨日の演出が良かったんだな」
「でも、二位のuranosとは数票差」
「本当に油断できないわ。今日も全力でするよ」
「了解」
この日も昨日と同じ和風で攻めたが、翌日の結界ではやはりすぐに
uranosに一位を奪取されてしまった。
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