第13話 霧沢楓の生き方
ここはボロいアパートの二階の部屋。そこに住んでいるのが
uranosのリーダーでもある楓だ。本名?霧沢楓はここで
一人暮らしをしている。とある事情で一人暮らしをしていて
学校に通っている。
早朝、四時には起きて、色々準備する。部屋はいかにもな
男の一人暮らしの部屋なので全然物を置いていない。
準備を早めに済ませ、少しゆっくりしてから学校に向かう。その
時間はまだ六時だ。
部活には入ってないのでそこまで早く行く意味はないが楓は
誰も来ていない時間に学校に着く。混雑を避けるという事
では意味がある。楓はこの辺りでは有名人だからだ。
さらにイケメンでもあるので、電車に乗る時、必ず他校でも
女子達が話しかけてくるのでそれを避けるためにこの時間に
登校していた。
それよりも楓はこの静かな教室が好きだった。
普段は騒がしく、人が多いがこの時間は誰もいないので静かで
好きなようだ。
自分の席に荷物を置き、教室を出る。向かうのは屋上だ。ここも
誰も来ないので楓のお気に入りの一つだ。ベンチもあるので
そこに横になって寝る。それは今だけではなく授業をサボる時も
ここにいる事が多い。
楓は授業をよくサボる。もう自分で勉強しているので二度も
聞く必要はないので、サボっている。普通なら何か注意
されそうだが、楓は学園一の秀才なので先生達も何も言えな
でいた。中にはちゃんと言える先生もいるが。
そのまま午前中はずっとそこで寝ていて、お昼になり午後から
教室に戻る。戻るのは休み時間ではなく授業が始まって
からだった。そんな感じであっという間に放課後になる。
「楓、たまにはどこか行こうぜ」
「断る」
「俺らがおごるからよ」
「余裕のない奴らからもらおうとは思わん。それに
これから練習なんでな」
「バンドか。いいよな楽器ができるのって」
「ああ。それだけでモテそうだよな」
「まぁこいつはそれが目的じゃないだろうけどな」
そんな話をしてから楓は下校し、スタジオへ向かった。そこで
他のメンバー達と合流する。楓以外のメンバーは同じ学校だ。
受付を済ませ、スタジオに入る。
マイクを準備しているのがボーカルのヤスでギターを持って
いるのがユージ、ベースがカイでドラムがキヨタカの
四人とキーボード楓のこの五人がuranosだ。
最初はヤス達が四人で結成していたのだが、そこに楓が
加わり、今の形になった。その楓のスパルタ指導の
おかげでヤス達はレベルが上がり、今一番プロに近い
バンドと言われるようになった。
「なぁ楓。最近あの子達といるけど何かあったのか?」
「別に大した事じゃない」
「そういえばそうだよな。あの子達も有名だろ?」
「ああ。実力あってしかも可愛い子ばかりだぜ」
「楓俺らにも紹介してくれよ」
「断る。お前らに教えるのは楽器だけだ。さっさと
力をつけろ。今のお前らじゃまだまだだ!」
「了解リーダー」
楓にきつく言われてから練習を始める。自分の楽器以外も
こなせるので、一つずつ違ったら注意する。
なので練習が終わる頃には楓以外はヘトヘトだった。
そうして今度行われるprayerに向けてライブもこなし
たりしている。楓は練習が終わった後はバイトに
向かう。そこはファミレスで楓は仕事全般していた。
家事も一人でするので料理の腕も一流で店を出せれる
レベルだ。つまり楓はほぼパーフェクト人間だった。
そのファミレス中でも楓は人気者で、楓を目あてに来る
女の子達が多いので、女の子が多くなったらホールに
出て接客をする。基本は厨房で料理を作っている。バイト
だが楓はもう店長より仕事ができていた。
仕事が終わり、家に帰ってくる。それを見計らってか
誰かが楓の部屋にやってきた。
「おかえり。楓、飯」
「今作るから待ってろ。それと何か着ろ。そんな格好で
くるんじゃねぇ」
「照れちゃって可愛いんだから」
背中から抱いてくるのは楓の部屋の隣に住んでいる大人の
女性の霧沢めぐみだ。彼女が楓での保護者の役割をして
くれていた。彼女のおかげで楓は今生きている。
ちなみに彼女はキャミソール姿で来ていた。
食事を終え、めぐみが楓に色々聞いた。学校の事や
バンドの事を。それを楓は淡々と応えた。
「へぇその子達があなたを誰かと勘違いしてるんだ」
「いい迷惑だ。俺は俺だからな。他の誰でもない」
「それだけ似てるんじゃないの。なんならあなたが
本当はそうだよって言ってあげた方がその子達には
良いことなんじゃない?」
「違う事を言ってもただの嘘だ。俺は本当の事しか
話さん。余計な事は言わないんでな」
「余計な事ね」
めぐみはすぐに帰った。楓はベッドに横になり、そのまま
眠った。そうして楓は今を生きている。
それから美麗との後、楓は少し考えていた。やはり
誰かと関わらない方がいいと。それでも楓は生きる為に
バンドをして成功しないといけなかった。
そして、prayerの予選が始まる週になった。同じ会場で
何組か演奏し、お客による投票で勝敗が決まる。
楓達、uranosは準備万端でその日を迎える事にしたが
由姫達はギリギリまで調整をしていた。
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