第10話 まさかのアクシデント!それを救ったのは?
夏休み後半のとある登校日、由姫達は体育館で準備をしていた。式の時に
出来なかったライブを今日するからだ。
その準備をする為にメンバー全員で楽器の設置などをした。今回は
手伝いもなく由姫達だけで準備をしていた。
二回目という事もあり、準備はスムーズだった。あとはどの曲を
演奏するかだ。
「やはりこれは外せないですね」
「私もそう思う。由姫さん、これをラストにしましょうよ」
「最初じゃなく最後にするのね。それも悪くないわ」
「じゃあ曲順はこれで」
そうしている間に時間が来て、生徒達が体育館に集合した。先に先生達
の話を聞き、そこから式でできなかったライブをすること告げると
生徒達は歓喜した。
照明が暗くなり、幕が張られていたステージが徐々に見えてくる。そこから
由姫達が現れて演奏が始まる。
そして由姫が歌いだすと館内は湧いた。順調に進み、あっという間に
最後の曲になった。その曲に入る前に由姫が式でできなかった事を
謝罪した。その後に由姫がマイクをどけてアカペラで歌い出した。
さっきまでの歓声も静まり返り、館内に由姫の生歌が響き渡る。その
歌に感動して泣く人も出ていた。一番を歌い終わり、そこから
里奈達の演奏が加わり、また盛り上がった。
そうして学校でのライブは無事に成功した。
ライブが終わった後、由姫達はファミレス寄った。反省会では
なく、ただ食べにきただけだった。
「美波さん、最近よく食べますね」
「ええ。食べなければ体力もつかないし、健康にもなれないわ。だから
あなた達も食べれる時は食べなさい。人にとってそれが一番大事な
事なんだから」
「そうですね。特にこういう時は楽しく食べないと」
「うん。楽しいね美麗」
「里奈、あなたはもう少しお肉を食べなさい。痩せすぎじゃ
ないかしら?」
「そんな事ないよ。これでももう少し痩せたいって思ってるぐらい
なんだから」
「荒井さんはそのままでいいと思います。私の方が痩せないと」
「洋子もそのままでいいよ。それに一番痩せないといけないのは
由姫のこのおっぱいだからね」
「こら里奈やめなさい」
由姫達は楽しくご飯を食べた。それから夏休み最後のライブの事も
確認して、この日は解散した。
そのライブまで後、四日後になった。この日は会場で最後のリハを
する事になっていたが、アクシデントが起きてしまった。
それはキーボードの美麗が手を怪我してしまったのだ。家の階段で
転んでしまい、手を痛めたみたいだ。病院に行くと一週間は安静に
しないといけないらしい。
「ごめん、もうすぐライブなのにこんな事になっちゃって」
「仕方ないわ。誰だって怪我はするもの。今はしっかり治す
のが先決よ」
「そうそう。あまり気にしないでね美麗」
「そうです。私達だけでなんとか成功させます」
「美麗、大丈夫?」
「大丈夫だよ夕子。何もしてないければね。でも、やっぱり参加するよ!
片手だけでも演奏はできるし」
「それで怪我の方の手をどこかに当てたらどうするの?あなたと
場所が一番怪我しやすいのよ」
美麗のスペースにはたくさんのキーボードが置かれていた。だから
どこかにぶつけたら余計に怪我を悪化させてしまうと思い
由姫は美麗を止めた。
その日の練習は美麗なしでのパターンで行われた。一応デジタルも
取り入れているのでそこまで違和感なく演奏できたが、やはり人が
演奏するのとでは違っていて、由姫はそれに納得がいかなかった。
それから家に戻り、美麗はお風呂で考えていた。
「私がこんな怪我をしなければ皆に心配させなくて済んだのに。どう
しよう。これじゃ一人エッチも満足にできないよ。何か変わりの
道具でも、あ!変わり」
美麗は何か思い付いた。それがわかったのは二日後だった。
ライブまで二日後になったが、由姫達はうまくできていなかった。それを
スタッフも心配して、作業が進まないでいた。
「美麗、来てないね」
「安静してるだけだと思いますけど」
「そうね。休んでもらわないと治るのも治らない!」
由姫が話を止め、ステージ横を見るとそこに美麗がやってきた。
「遅れてごめん」
「あなた安静にしてないと」
「大丈夫だよ。荷物はないし。それより由姫さん。私の変わりに
スケットを入れていいかな?」
「スケット?」
「うん。彼なら絶対大丈夫だからさ」
「彼?」
「じゃぁ呼んでくるね」
美麗はまた戻って行ったがすぐに戻ってきた。そして、美麗の
後ろに現れたのは楓だった。
「楓!?」
「楓さんだ」
「どうしてあなたがここに?」
「こいつに頼まれてな。どうしても変わりに演奏してほしいって」
「でも、いくら楽器ができても後二日で私達の曲を全部演奏
できるとわ」
そう言われて楓はキーボードの所に向かった。電源を入れ、少し
弾き始める。そして、由姫達の曲を弾き始めた。その音は美麗と
はまた違ったが、そこにいた全員が驚く程の音を奏でていた。
楓は曲のサビをメドレーで弾き、全部弾ける事を確認させた。
「どうして全部弾けるの?」
「昨日私がデモを楓さんに聞かせたんだ。そしたら一回聞いた
だけで全部演奏したんだよ。それには私も驚いたね」
「一回聞いただけで」
「まるで絶対音感があるみたい」
「それで、どうするんだ?俺を入れるかどうかはそっちのリーダーが
決めることだろ。後、関係者の奴らもな」
楓が言う様に決めなければいけなかった。悩んでる時間はなく由姫は
すぐに決断した。
「お願いするわ!ただ、美麗も一緒にいる条件でね」
「美波さん!君島さんは休ませるんじゃ」
「そうしたいけど、美麗も出れなかったら余計に落ち込むでしょ」
「そうだね。演奏は無理でも一緒にステージに立ちたい。私も
Crosswiseのメンバーなんだから」
「そういうわけでそれでいいかしら?楓さん」
「ああかまわん。ちゃんと対価は貰ってるからな。どんな形でも
しっかりやるさ」
「対価ってもしかしてごちそうしてもらうのかしら?」
「よくわかってるな。飯一回分で手をうった。学生にそこまで
高望みはできんからな」
「なら、私からも奢らせてもらうわ。もちろんライブが
成功したらね」
「俺に失敗はない」
そうして楓が急遽ライブに参加する事になった。スタッフもそれを
快く引き受けた。すぐに全体でのライブのリハをやり直し最終日
直前まで続いた。
そして、いよいよライブ当日。まだ時間まであるのに会場の外は
ファンでいっぱいだった。由姫達も早くに入り、最終チェックを
して、楽屋で待機した。
徐々に時間が近づき、ついにその時間がやってきた。
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