第5話 由姫が感謝の言葉を!

無事に参加をする事ができた由姫。運営から断られると思ったが

逆に歓迎された。それも会って由姫はよりやる気を出した。


ライブの方もこなしていき、さらに由姫達の知名度も上がって

いる。ライブの後のファミレスでの反省会もその店の人からも

応援していると言われ、デザートをサービスされたりするなど

環境が少しずつ変わっていくのを実感した。


それはライブも同じでライブハウスだけではなく、他の所からも

依頼がやってきた。それは由姫達が通う学校からの依頼で

学校でライブをやってほしいと言う事だった。


とある昼休み、由姫達は生徒会室にいた。生徒会から正式に

ライブの依頼を受けていたのだが由姫は渋っていた。


「学校でライブをやる意味がないわ」

「そうかもしれないけど、こいう所も引き受けた方が印象も

良くなるよ。印象が悪かったらどこのライブにも呼ばれる

事も無くなっちゃうし」

「新井さんの言う事も一理あります。ライブはどこでやっても

経験になりますから」

「私もやりたいです」

「私も」

「由姫」

「わかったわ。じゃぁこの依頼引き受けるわ」

「ありがとう。それじゃライブをする日ですけど」


そうして学校でのライブが決まった。日時は今から二週間後

になった。その間も他でライブがあるのでそれと一緒に

調整もしていく。もちろん練習もあるので由姫達はほぼ毎日

スタジオに通っていた。


「いらっしゃい。頑張るね」

「当然よ。休んでる暇はないから」

「まぁprayerにも出場が決まったんだから当然だな」

「?あなたに言ったかしら」

「いや、ホームページに載ってるのを見ただけだよ。出場する

人達は随時更新されるからね。それに音楽雑誌にも取り上げ

られてるよ。crosswise参戦ってね」

「勝手に載せられるも困るわ。ま、気にしないけど」

「健さん。私達優勝できると思いますか?」

「里奈ちゃん。そうだね、決勝までは行けるかな。まだ全部の

出場者が決まってないからなんとも言えなけど」

「誰が参加しても私達は負けないわ」

「自信があるのはいい事だがあまり確信すると負けた時の

負担が多くなるから気をつけなよ。上には上がいるからね」


健は現在参加するバンドやアーティストを由姫達に伝えた。そこ

にはアストレアもいて、他にも今勢いのあるバンドが次々と

参加をしている。そして、そこにはuranosの名前もありそれを

聞かされた由姫が反応する。


「uranosが出るの?」

「ああ。つい最近参加が決まったよ。だから今一番盛り上がってる

のは彼らだね。正直、優勝候補ナンバーワンだ」

「uranos」


由姫は黙ってスタジオに入った。そこではいつも以上に力強い

歌声を出していた。その様子を見ていた里奈が家に帰り

由姫の部屋で聞いた。


「孝弘?」

「ええ。確定ではないけど、あの中に孝弘がいた気がする」

「でも、それならあっちが声かけてこない?」

「入れ違いだから向こうは気づいてないと思う」

「ちょっと写真見てみよう」


里奈はスマホで彼らの写真を見た。見たが里奈には誰が

孝弘かわからなかった。


「え?この人?いやいや違いすぎでしょ。あの孝弘だよ?

容姿も普通で体格も普通もしかしてそれ以下みたいな子

だったのに」

「私だってそうだけど、体力をつけて変わったわ」

「でも、ここまで変わるの?でも、確かに楽器もキーボード

担当になってる」

「ええ。彼はピアノが好きだったからそこは間違いない

と思う。でも」

「やっぱり確定はできないよね。よし、次会ったら確認

しよ。そうすれば」

「やめとくわ。もし、孝弘だったとしても今は会うべきじゃない」

「どうして?」

「孝弘とはプロの世界でたいの。じゃないと約束が

違うから」

「由姫」


本当はすぐにでも会いたいが、孝弘との約束を優先する事にした

由姫。里奈が帰った後、由姫はお風呂に入り、それから孝弘を

思って一人エッチをした。実は離れたから週4、5回はしていて

孝弘らしき彼を見てからは余計にする事が増えた。


「孝弘、早く会いたい」


そういう事をしつつも練習は欠かさない。学校の方も

準備は進んでいて、あっという間にライブの前日になった。


放課後、明日の本番に向けて体育館で楽器の設置をしていた。そこ

には美麗や夕子、由姫達のクラスメイト達が準備を手伝って

くれていた。


「ありがとね手伝ってくれて」

「全然。あの美波さん達の手伝いをできるなんて嬉しいよ」

「本当だぜ。特に美波ちゃんのあの胸を見れるなんて」

「こら男子!バレたら怒られるわよ。由姫さん鍛えてるから

男子より強いと思うしね」

「そ、それでも俺達は」

「本当、男子はスケベだね」


美麗達は楽しそうに準備をしていた。その頃由姫はステージ上に

ある放送室からステージを見ていた。そこで曲を流すので

色々試していた。


そうして準備もできて作業は終わり、皆帰ろうとした時

由姫がマイクを持ってステージの中央に立った。曲も

流れていないが由姫はアカペラで歌を披露した。その歌に

全員が聴き入った。


「すごい」

「曲も流れてないのにあの歌かよ」

「やっぱり美波さん素敵」


由姫は一曲歌い、その後に手伝ってくれた人達にお礼を言った。


「手伝ってくれてありがとう。明日は最高のライブを見せるわ」


その言葉に全員が湧いた。その言葉通り、翌日由姫達は制服では

なくライブで着る衣装にしていた。ライブは放課後に行われる

ので、その前に着替えた。この為に今日の部活は全てなしなり

ライブを一時間することになっていた。


「さぁ始めるわよ」

「ハイ」

「まさか、学校でこの衣装を着るなんてね」

「そうだね。でも、せっかく準備してくれたんだから本気で

やらないと」

「里奈の言う通りよ。どこだろうと私達は全力で届ける。皆

行くわよ」

「了解!」


そうして学校でのライブが始まり、一時間館内は盛り上がり

続けた。そして、最後に由姫が感謝を伝え、さらに拍手喝采が

ずっと続いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る